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ドール=チャリオットの魔剣が語る  作者: ぼうしや
誓約都市エレオス
154/199

だてんしのにっき

天獄の門によって封印される瞬間。



私はあの時、下劣な人間の意思如きで救われる事を拒んだ。


だが、それは私にとっての大きな間違いだとあの闇の中で気づく。


我が主の“思い”は背筋を凍らす程の寒々しい絶望を拭うほどに温かった。


この手で噛みちぎった彼の主の“鎖の欠片”は…いつまでも、いつまでも私に未来への標を常に傍らで示していた。


小さな灯火のように…


そして、この温もりに覚えがあった。


女神の祝福を賜る際に受ける神聖な魔力それと同等の質。


いや、それ以上に濃密なもの。


あの悍しき程の濃縮された魔力を押し付けてくる軍服の女とは全く違うモノ。


冷静になってからようやく気づく。



憐憫…?違う


この方の神聖な魔力から受けるものは私の怒りと同調していたのだ。


裏切り、神がまるで自身を否定していたという記憶が流れる。



そう、そこで私は初めて自分の中で同調という感情を覚えたのだ。




ああ…そうなのか…貴様は…化物なんかではなかった。



否、貴方は化物なんかじゃない。



直前まで殺し合った中でありながら


絶望し、ミカイルからの断罪を受けるあの時まで主は私を救おうとしていた。



否、きっと私をアルヴガルズでの封印を解いたのも


私を救うためだったのだ。



私に対して刃を交えたのも、私の怒りを受け止める為のもの。



「ああ、ああああああ、ああああああああああああ、あああああ」



ああ、私はなんて事を…


主は私を…私を愛していたっ!!!



愛がなければこのような事をするわけがない。


愛があるからこそ、この全てに意味が成していく事を理解した。



私の心の中で渦巻く嫌悪が次第に大きな愛へと包まれていく。



愛ッ 愛ッ 愛ッ



「主よ!愛しております!貴方の意思は決して愚かではなかった!!」



嗚呼、そうなのだ。


神は、神々は最多が過ぎるのだ。


故に魂は己が手に収まるのみのひとつの唯一を求める。


全が一ならば一は全。それ即ち我の中でただひとつのあいという結果を想い識る。


そして至った愛は、


我が主は、


そこに居た。


寄り添っていたのだ!


己が咎を受け入れ、その身を醜いと知りながらあのような力の象徴である“剣”に御姿を変わり果てたのだ。



ああそうだ。あの時感じた主の怒り。それは神を騙る俗物への感情。



神よ!我が神よ!!



愛しい、貴方が愛しい!!



私は誓う。



いずれ再び相まみえる時



私は、必ずあなたという主への隷属を誓うと。



この身が、どのように汚れても構わない。


貴方の為ならば!それは私にとって最大なる寵愛!



あなたの穢れを全て!この身に!!



今すぐにでも古の言葉にて伝えたい。



エファイ(大いなる者)



デファニグティア(愛を司る者よ)



グヌシ=ヘステルタクァ(更なる意思を我が魂に)



ガギマダイ(我が天に)

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