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確信

 6月1日 0609時 ソマリア


 ジョン・ムゲンベは、仲間たちが武器や爆発物などを船に積み込むのを眺めていた。ここまで、ずっと作戦は失敗半分、成功半分といったところだった。先日の、ギリシャでの作戦は―――少なくとも、最大の目的を達成するという意味では―――成功したと言えた。だが、ギリシャ警察や軍によって、作戦に関わった仲間を全滅させられた、という点では、失敗に終わったと言えよう。また、実行した奴らがヘマをして、何か自分たちの組織につながるようなものを残してしまったとも限らない。ムゲンベは、それを最も危惧していた。


 6月1日 0835時 ユーロセキュリティ・インターナショナル


 カート・ロックは、自分のオフィスでPCのキーボードを叩いていた。先日、テロリストがホテルに残していったラップトップに入っていたデータを、ギリシャ警察がコピーしたものがインストールされている。PCはネットワークから隔離された、使い捨て用のものを使っていた―――万が一、ウィルスやマルウェアが仕掛けられていた場合に備えて、だ。


 柿崎一郎は、ハマーを駐車場に停め、ダッシュボードの下に収納されたシグザウエルP320を取りだし、ホルスターに納めた。9mmのホローポイント弾が17発装填された予備のマガジンは、腰のパウチに6本、納められている。柿崎は、車から降りると、再度セキュリティチェックを受け、警備員からHK416Dと予備弾倉が入れられたベストを受け取った。


「おはよう、ブルース」

 柿崎は、コーヒーの入ったカップを手に、先に出勤していたブルース・パーカーに話しかけた。

「おはようさん。ボスなら、またさっき出掛けたぜ。多分、ギリシャでの後始末かな。そうそう。情報部の連中から、ちょっと面白い話を聞けたぜ」

「おっ、何かな?」

「先日のギリシャのテロリストから奪ったPCにかけられていた暗号、それが西サハラのテロリストキャンプを襲撃した時に手にいれたPCにかけられていた暗号と、全く同じタイプのものだったらしい」

 柿崎の目が鋭くなった。

「と、なると、だ。ギリシャを襲った連中と、西サハラにいた連中は、同じ組織だった、という可能性が高い、ということか」

「ああ。まだ断定はできないが、証拠としては、かなり有力だ。それがわかったのが、お前が来る15分前で、ボスは出掛けたから、メールで知らせておいた」

「なるほど。お偉いさんたちは、知りたがるだろうな」


 6月1日 0923時 ドイツ 国防省


 ジョン・トーマス・デンプシーは、タブレットを手に持ったままHH-60Gから降りた。この情報が送られてきたのは、ついさっきのことだった。もしかしたら、上の連中は知らないかもしれない。デンプシーは、身分証と書類を警備員に見せ、拳銃をホルスターごと預け、建物の中へ入っていった。


「つまり、だ。デンプシー君。ギリシャでのテロとマルタ、モナコで起きテロには、関連性がある、ということか」

 ゲオルギー・シュタインホフ国防大臣が、デンプシーから差し出されたタブレット端末を見ながら言った。

「ええ。そうです。そして、JMG-0107なる人物から、何度も命令とおぼしきメールが送られてきています。恐らくは、このJMG-0107と言うのが、組織の頭でしょう。我々は目下、この人物が何者なのかを突き止める必要がありそうです。まあ、単純にイニシャルだと考えると・・・・・・」

「ジョン・ムゲンベだな」

 シュタインホフの言葉にデンプシーは頷いた。ムゲンベは、ナイジェリア出身の悪名高いテロリストだ。20代の時に政党を組織したが、その過激な思想から、ナイジェリア当局から危険人物と見なされていた。そして、数年前の選挙で有権者に賄賂を送り、更には脅迫などを行った容疑で捜査されていたが、いつの間にか、ナイジェリアから逃走していた。

 ムゲンベは、海外からのあらゆる資本投入に反発し、多国籍企業がナイジェリアの富を奪っていると主張していた。そして、それは主に欧米諸国によって行われていると考え、アフリカが未だに経済発展で立ち遅れているのは、外国によってそれが阻まれているためで、それに対する報復として、アフリカ諸国はヨーロッパを攻撃し、富を奪い返すべきだと主張していた。

「ナイジェリアから追放されたムゲンベは、西サハラやソマリア、スーダンなどを転々としていました。3年前から続いた、アフリカに資本投入を行っていた企業にテロを行っていた、黒幕だと考えられています。そして、去年は南アフリカで爆弾テロを実行しました。その後、南アフリカの特殊部隊がスワジランドに潜伏中だという情報を突き止め、逮捕に行きましたが、どこからか情報が漏れたのか、まんまと逃げられています」

「奴は、アフリカの約三分の一の国から指名手配されている。ヨーロッパや西アジアでも要注意人物扱いだ。これまでのテロが奴の手によって行われていたとしたら、何としても排除しなければならない」

「ええ、そうです。奴を野放しにしていたら、また、いつ、どこでテロを引き起こすかわかったものではありません」

「ああ、そうだ。我々も、奴を追わなければな。こうなっては、君らに任せっきりにはできなくなった」

「潜伏先として、最も有力と考えられるのが、アフリカ諸国です。問題は、アフリカには54もの国がありますからね。これは、9.11の犯人の残党を見つけるよりも苦労するでしょう」

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