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追撃戦-2

 3月14日 1136時 マルタ バレッタ市


 警官隊のうちの一人がテロリストの脚を撃ちぬいた。しかし、テロリストは脚を引きずったままAKを乱射する。警官隊はパトカーの車体の陰に隠れて銃撃をやり過ごした。やがて、銃声が止む。弾切れになったのだろうか。見てみると、テロリストはAKを手放して、地面を這いながら逃げようとしていた。警官が手錠を取り出し、銃撃犯に近づく。彼は他の仲間を3人呼び、銃口を向けておくように指示を出した。だが、4名の警官が自分から3メートル以内の範囲に入った時、テロリストは右手でコードを握り、思いっきり引っ張った。


 7個の白麟手榴弾が爆発した。テロリストはそのまま焼かれて、死ぬまで叫び声を上げながらのたうち回った。白鱗を浴びた警官の右手が焼かれ、手首から先が無くなっていく。もう一人は首と胸、腹部に浴びた。周囲にいた警官は上着で覆って消そうとしたが、全く効果はなく、ケブラー製のジャケットを白麟が焼いていく。他の警官がペットボトルの水で消火を試みたが、全く意味をなさなかった。そんな中、無線が鳴った。

『本部より各隊員へ通達。敵は白燐手榴弾を所持している模様。自爆攻撃に注意せよ。繰り返す・・・・』

 だが、犠牲者が出た以上、もう遅すぎた。左手を失った警官はなんとか一命を取り留めたが、もう一人の警官は喉を焼かれて死亡した。


 3月14日 1140時 マルタ バレッタ市


「了解だ。捕虜は取らない、だな」

 トリプトンは無線に向かって言った。

『ああ。さっき撃ち殺した奴が白麟手榴弾(ウィリー・ピート)を持っていた。しかも、ピンと手首を紐で繋いでいたから、自爆するつもりなんだろう。恐らく、奴らは生きて捕まるつもりは無いらしい』

 パーカーが言う。

「では、お望み通りにしてやるか」

『そうだな。交信終了』

「交信終了」

「またまた厄介事か?」山本が話しかける。

「ああ、奴ら、自爆用に白麟手榴弾を用意しているらしい。そのせいで警官が一人死んで、一人が重傷だ」

「クソッ」

「それでだ、みんな聞いてくれ。奴らのうちの一人が自爆した。ウィリー・ピートを持っている。そこで、奴とは接近戦を避け、頭を正確に撃ちぬくんだ。確実に息の根を止めろ。さもないと、俺達が丸焼きになるぞ!」


 低空飛行していた2機のヘリからは白燐手榴弾が爆発するのが見えた。最初は、下の連中がスタングレネードでも投げたのかとパークスは思った。だが、双眼鏡を使ってよく見てみると、警官の一人が片手を押さえてもがいているようにも見え、もう一人は顔を押さえてのたうち回り、やがて動かなくなった。もう少しよく見てみようと高度を下げてみた。

「こちらブルーホーク、何があった?」

 パークスが無線で仲間に下の状況を訊く。

『アルファよりブルーホークへ。白麟手榴弾を持ったテロリストが自爆した。警官2人が巻き込まれ1人死亡、1人が重傷だ』

 ポワンカレの声が聞こえる。

「クソッ、こっちに何かできることは?奴を見つけたらミニガンで撃っていいか?」

『いや、こっちで対処する。特別指示があるまで上空から見ているだけでいい』

「了解だ」


 テロリストは逃走するのをやめた。そのかわり、銃撃しながら向かってくる。

「どうしたんだ?逃げていたかと思ったら、今度は向かってきたぞ」

 トラヴィスがサブマシンガンを撃って、テロリストを射殺する。

「クソッタレめ!カミカゼをする気だ!」

 パーカーが死んだテロリストを見て言った。体に手榴弾を巻きつけている。

「こちらブラヴォー・リーダー。奴らは爆弾を持って自爆する用意をしている!繰り替えす、奴らは自爆する用意をしている!」

『こちら、アルファ・リーダー。こっちでも確認している!』

「畜生!みんな、奴を撃ち殺せ!さもないと、俺達が焼き殺されちまう!」


 テロリストが叫びながら突進してきた。もはや破れかぶれで、銃を撃とうともしていない。その敵を柿崎が射殺する。だが、テロリストはもう3人しか残っていない状況で、しかも既に傭兵に包囲されてしまっていた。そこで、テロリストは銃撃をやめ、カラシニコフを置こうとした。しかし、容赦無い銃火を浴びせられ、皆殺しにされた。


 3月14日 1215時 マルタ バレッタ市


 最後に撃ち殺されたテロリストも自爆する用意していた。最終的に、24人のテロリスト、3人の警察官、2人のマルタ軍兵士、6人の市民が死亡した。テロリストは生け捕りには出来なかった。最後に傭兵たちが撃ち殺したテロリストは金属片を埋め込んだセムテックスを縫いこんだベストを着ていて、自爆しようとしていたのは明白だ。除染は進んではいたが、まだ市内の一部は立入禁止になっており、最終的に市民の移動制限が解除されるまでは4日間もかかった。

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