アフリカの角
9月8日 1411時 ジブチ チャベレイ空港
エプロンに駐機しているIl-76のカーゴランプが開いた。中からコンテナがフォークリフトで大型のセミトレーラーに乗せられる。周囲には自動小銃で重武装した警備員がおり、こんなに暑いにも関わらず、彼らは重たいボディアーマーやPASGTヘルメット、銀色のミラーサングラス、肘と膝に強化プラスチック製の保護パッドを付けている。
「周囲を警戒しろ」
『第4チェックポイント、異常無し』
『第5チェックポイント、周囲に車や人はいない』
空港の周囲には、L96A1狙撃ライフルや20インチバレルのHK417A2を持ったスナイパーチームが潜んでおり、近づいてくる不届き者に目を光らせている。他の運送会社などだと、現地の警備会社を雇ったりするが、ユーロセキュリティ社はこの点については自己完結できるので、その必要は無い。
荷物の移し替えを終えると、ドライバーが一斉にトラックやマックスプロ耐爆装甲車に乗り込んだ。車両の上部は改造され、ブローニングM2重機関銃やMk19自動擲弾銃がマウントされている。
先頭車両の銃手が手を上げると車のエンジンが一斉に周り、それぞれ20メートルほどの間隔をあけた車列が動き始める。RPGや対戦車ミサイルによる攻撃を警戒してのことだ。更に、マックスプロにはスティンガー対空ミサイルまで収納されていた。
この車列は基地に辿り着くまでの間、パイオニア無人偵察機や重機関銃を搭載したベル412EPI、エアバスH160の援護を受ける。ジブチの治安は比較的安定しているが、油断はならない。一応、この国には多国籍軍が未だに駐留しており、アメリカ海軍の第5艦隊の指揮下に空母戦闘団や揚陸戦闘団、駆逐艦隊が定期的にパトロールしている。
近年、ジブチに駐留するPMCの部隊は増える一方だ。と、言うのも多国籍軍にPMCが取って代わっている、という表現が正しいだろう。ジブチに派遣されている多国籍軍の任務部隊は、必要最小限とも言える程度にまで減少している。
この国の治安は比較的安定している。時折、物乞いと思しき連中が近づいてくるこのもあるが、PMCの警備員たちはそいつらをその場で拘束して置き去ることで対処している。
9月8日 1423時 ジブチ アルタ郊外
赤茶色の土に覆われた荒れ地にユーロセキュリティ社の警備部隊のキャンプがあった。ユーロセキュリティ社の拠点は2ヶ所あり、司令部を兼ねたここと、舟艇部隊が駐屯してるタジュラだ。距離が離れているため、連絡にヘリコプターは欠かせないため、この拠点で使うためにベル412EPI、エアバスH160、エアバスEC225を急遽調達した。
周囲は頑丈な鉄筋コンクリートの壁で覆われ、その上には鉄条網、更には狙撃手や機関銃手がいる櫓が立てられている。
中には食堂、宿舎、車庫、武器弾薬庫、整備工場、更には娯楽施設まであるという、米軍顔負けの基地と化していた。
重機関銃や自動擲弾銃を搭載したブッシュマスター耐爆装甲車の車列が出発していく。これから、アルタ市内の学校建設現場の警備へ向かう部隊だ。空を見上げると、アメリカ海軍のP-8Aポセイドン対潜哨戒機がやや低く飛んで東へと向かって行くのが見えた。この飛行機は、これからアデン湾の上空を長時間飛び回り、海賊船を見つけ出して、必要とあらば駆逐艦で待機している海軍の臨検部隊を呼び出す任務を行うことになる。
「よし。じゃあ、政府の連絡所から発行されているレポート内容の説明をする。ジブチ国内は比較的安定していて、街中にいるスリやひったくりとかを除けば、そこまで注意するようなことは無い。ところが、その隣のソマリアでは状況が一変している。我々の任務は、アデン湾を通行する船舶の警備だ。クルーザーに搭載する武器はブローニング重機関銃とブッシュマスター25mmチェーンガン。それから、ジャベリン対戦車ミサイルとスティンガー対空ミサイル、カールグスタフ無反動砲だ。勿論、ぶっ放す時は各自の判断とする。基地の中も外でも、常時拳銃と自動小銃または散弾銃を携行し、防弾チョッキと防弾ヘルメットを着用とすること。持ち歩く手榴弾は閃光と発煙とするが、必要とあれば破砕手榴弾の携行を命じる。他には特殊警棒、テーザー銃、コンバットナイフ、催涙スプレー、応急手当セット、水筒、虫よけクリームが標準装備だ」
集まった警備要員に状況の説明をしているのは、ここの警備責任者であるミカ・カタヤイネンだ。カタヤイネンはフィンランド陸軍猟兵連隊出身で、海外派遣の経験も豊富だ。
エプロンに駐機しているIl-76のカーゴランプが開いた。中からコンテナがフォークリフトで大型のセミトレーラーに乗せられる。周囲には自動小銃で重武装した警備員がおり、こんなに暑いにも関わらず、彼らは重たいボディアーマーやPASGTヘルメット、銀色のミラーサングラス、肘と膝に強化プラスチック製の保護パッドを付けている。
「周囲を警戒しろ」
『第4チェックポイント、異常無し』
『第5チェックポイント、周囲に車や人はいない』
空港の周囲には、L96A1狙撃ライフルや20インチバレルのHK417A2を持ったスナイパーチームが潜んでおり、近づいてくる不届き者に目を光らせている。他の運送会社などだと、現地の警備会社を雇ったりするが、ユーロセキュリティ社はこの点については自己完結できるので、その必要は無い。
荷物の移し替えを終えると、ドライバーが一斉にトラックやマックスプロ耐爆装甲車に乗り込んだ。車両の上部は改造され、ブローニングM2重機関銃やMk19自動擲弾銃がマウントされている。
先頭車両の銃手が手を上げると車のエンジンが一斉に周り、それぞれ20メートルほどの間隔をあけた車列が動き始める。RPGや対戦車ミサイルによる攻撃を警戒してのことだ。更に、マックスプロにはスティンガー対空ミサイルまで収納されていた。
この車列は基地に辿り着くまでの間、パイオニア無人偵察機や重機関銃を搭載したベル412EPI、エアバスH160の援護を受ける。ジブチの治安は比較的安定しているが、油断はならない。一応、この国には多国籍軍が未だに駐留しており、アメリカ海軍の第5艦隊の指揮下に空母戦闘団や揚陸戦闘団、駆逐艦隊が定期的にパトロールしている。
近年、ジブチに駐留するPMCの部隊は増える一方だ。と、言うのも多国籍軍にPMCが取って代わっている、という表現が正しいだろう。ジブチに派遣されている多国籍軍の任務部隊は、必要最小限とも言える程度にまで減少している。
この国の治安は比較的安定している。時折、物乞いと思しき連中が近づいてくるこのもあるが、PMCの警備員たちはそいつらをその場で拘束して置き去ることで対処している。
9月8日 1423時 ジブチ アルタ郊外
赤茶色の土に覆われた荒れ地にユーロセキュリティ社の警備部隊のキャンプがあった。ユーロセキュリティ社の拠点は2ヶ所あり、司令部を兼ねたここと、舟艇部隊が駐屯してるタジュラだ。距離が離れているため、連絡にヘリコプターは欠かせないため、この拠点で使うためにベル412EPI、エアバスH160、エアバスEC225を急遽調達した。
周囲は頑丈な鉄筋コンクリートの壁で覆われ、その上には鉄条網、更には狙撃手や機関銃手がいる櫓が立てられている。
中には食堂、宿舎、車庫、武器弾薬庫、整備工場、更には娯楽施設まであるという、米軍顔負けの基地と化していた。
重機関銃や自動擲弾銃を搭載したブッシュマスター耐爆装甲車の車列が出発していく。これから、アルタ市内の学校建設現場の警備へ向かう部隊だ。空を見上げると、アメリカ海軍のP-8Aポセイドン対潜哨戒機がやや低く飛んで東へと向かって行くのが見えた。この飛行機は、これからアデン湾の上空を長時間飛び回り、海賊船を見つけ出して、必要とあらば駆逐艦で待機している海軍の臨検部隊を呼び出す任務を行うことになる。
「よし。じゃあ、政府の連絡所から発行されているレポート内容の説明をする。ジブチ国内は比較的安定していて、街中にいるスリやひったくりとかを除けば、そこまで注意するようなことは無い。ところが、その隣のソマリアでは状況が一変している。我々の任務は、アデン湾を通行する船舶の警備だ。クルーザーに搭載する武器はブローニング重機関銃とブッシュマスター25mmチェーンガン。それから、ジャベリン対戦車ミサイルとスティンガー対空ミサイル、カールグスタフ無反動砲だ。勿論、ぶっ放す時は各自の判断とする。基地の中も外でも、常時拳銃と自動小銃または散弾銃を携行し、防弾チョッキと防弾ヘルメットを着用とすること。持ち歩く手榴弾は閃光と発煙とするが、必要とあれば破砕手榴弾の携行を命じる。他には特殊警棒、テーザー銃、コンバットナイフ、催涙スプレー、応急手当セット、水筒、虫よけクリームが標準装備だ」
集まった警備要員に状況の説明をしているのは、ここの警備責任者であるミカ・カタヤイネンだ。カタヤイネンはフィンランド陸軍猟兵出身で、海外派遣された経験も豊富なユーロセキュリティ社の海外派遣警備部隊の部隊長を務めるベテランだ。坊主頭に剃り上げ、綺麗に整えた口髭を生やしている。
「この国では、強盗もそうだが、蚊に注意しろ。衛生部隊はマラリアなどの薬をしっかり用意している。それから、ご覧の通り、ここはアホみたいに暑い。常に水と塩のタブレットを補給し、ブッシュハットを着用のこと。希望者には、頭に被るタイプの虫よけネットも支給している。それでは、昨日、ジブチ政府のPMC連絡所から発行されたレポートの説明から始める・・・・・」




