表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/125

街へ行こう! 2

新しい材料をいくつか購入し、私は売買カウンターを後にした。

何故か最後までおじさんは笑ってた。

何がそんなに面白かったんだろ、変な人だなぁ。

……さて、このギルド、かなり広いけど、あと何かすることあるかな?

私は立ち止まってキョロキョロとギルド内を見回した。

あ、食堂がある。

いや、酒場かな?

冒険者の為の酒場。

何か飲みながら、少し、休憩しようかな。

きっとお酒以外の飲み物もあるだろうし。

私は酒場がある方向へ足を向けた。


「……!!」


いくつかテーブルを横切ると、そのうちのひとつに、女の子が座ってるのが目に入った。

歳は私より少し上くらいだろうか?

でも、同じ年頃の、女の子には変わらない。

淡い緑の髪に、緑がかった青い瞳。

可愛い……!

と、友達になれないかな?

相席とか、頼んでみようかな?

お喋りして、仲良くなれたり、しないかなっ?

街へ来た目的のひとつは、友達を作る事だ。

ここは、行動に移すべきでしょう!

私は女の子が座ってるテーブルに歩を進めた。


「あ、あのぅ……こんにちは」


私がそう声をかけると、女の子は顔を上げて私を見た。


「あれ……こんにちは。初めて見る顔だね? ここで私より下の女の子なんて、初めて会うよ」

「あ、はい。初めて来ました。……それで、えっと、ここ、いいですか? 少しお話できたら、と、思うんですけど」

「ああ、うん、いいよ。どうぞ」

「わ、ありがとうございます!」


やった!

私は急いで飲み物を注文し、席についた。

女の子は、リィンさんというらしい。

歳は12。

つい先日なったばかりで、やっと見習いを卒業できたのだと嬉しそうに言った。

両親も冒険者で、一緒にあちこち冒険しながら旅してるらしい。

……なるほど。

この世界では、12歳から一人前の冒険者になれるんだ。

それまでは見習い、という事なんだね。

私とリィンさんは色々な話をした。

主に、この街について。

どこの店が一番安くていい品が手に入るとか、服を買うならどこかとか、市場は見るだけで楽しいとか、美味しいレストランとか、宿に泊まるならどことどこがいいとか、反対にどこが駄目だとか。

うん、街のお店情報ですね!

参考にします。

そのうちに、リィンさんのご両親が迎えに来て、リィンさんはじゃあね、と言って去って行った。

うん、楽しかった。

また会えるかなぁ、会いたいなぁ。

ギルドに来れば、会えるよね?

初めてのお友達、GETしたいです。

私は席を立ち、ギルドを後にした。







外に出ると、陽が傾いてきていた。

朝に出たのに……やっぱり、来るまでに時間かかりすぎたかな。

仕方ない、今日は宿に泊まって、明日帰ろう。

とりあえず、宿に行く前に、ちょっとその辺のお店覗こうかな。

上手くいけば、錬金術の材料手に入るかもだし。

洋服…は、今の所はまだ、ラクロさんから貰ったので十分だしなぁ。

あんまり一気に散財するのは良くない、うん。

ただ、夏服がないから、夏近くになったら買わなきゃだけど。

あ、リィンさんに聞いたこの街の名物は、食べておきたいかな。

この大通りに売ってるって言ってたし。

よし、探そう。

私は大通りを歩き出した。







「ああ、疲れたぁ!」


陽が落ちた頃宿に入り、私はベッドに倒れこんだ。

宿は、リィンさんに聞いたこの街のいい宿ベスト3のうちのひとつだ。

庶民的な造りの宿だけど、掃除が行き届いていて食事がとても美味しいらしい。 

そういえば、リィンさんとの話で驚いた事がひとつ。

なんと、お風呂は高級な宿にしかないらしい。

なので、この宿にお風呂はない。

一般家庭にもお風呂がある家はなく、お風呂は湯屋に行って入るそうだ。

その話に私が驚いていたら『え、知らなかったの?……クレハって、貴族なの?』と驚かれ、大変な誤解をされかけた。

貴族なら、家にお風呂があるらしい。

あれは、まずかった。

まさか、元異世界人だから知らなかったの、なんて馬鹿げた事を言えるはずもなく、必死で誤魔化した。

……もう少し、ラクロさんに一般常識を聞く必要があるかもしれない。

そう思ってベッドから起き上がると、テーブルが光った。


「あ、ラクロさんからの手紙だ」


ラクロさんから手紙が来るときは、必ずこんな風にテーブルが光る。

……もしかして、偶然今日の事見てて、私が常識を聞いてくると思って先に書いてくれたのかな?

私はテーブルに現れた手紙を手に取った。


『ようやく街へ行ったようですね。初めての街はいかがですか? 今日の用件は、ウォンについてです。貴女が望んだ動物の中にウォンが含まれていた事を覚えていますか? 望んだのにウォンがいない事について、貴女が何も聞いてこないのを不思議に思っていたのですが……ウォンは、種類がとても多いため、貴女に好きなウォンを選んで貰おうと思っていたのです。街の動物屋にウォンがいますので、確認したのち、どのウォンがいいかを手紙で知らせて下さい。すぐにお届けします。ラクロ』

「あ……そっか。ウォンがいないのって、そういう理由だったんだ。……いや、何でいないのかなとは思ってたんですよラクロさん? でもラクロさんが約束を破る事はないだろうと思ったから、そのうちにくれるだろうと……うん、これはちゃんと手紙で言おう。……というか、常識に関する手紙じゃなかったんだね……常識、聞かないと」


私はラクロさんからの手紙を置き、籠から便箋を取り出した。


今回書いたウォンについてですが…はい、私はうっかりウォンの記載を忘れてました。

読み返して、そういえばウォンいない!と気づいた時の衝撃といったら……何をしてるのでしょう私。

でも今回の記載でフォローできた……はず。

以後気を付けます………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ