五話~村長~
キリが住む村は裕福とはとても言えない貧しい村だった。
二人が村に入ると1人の老人が立っており、キリを見た瞬間、二人のもとに駆け寄って来た。
老「キリ!!無事だったか!・・・どうしてこんな危険な事を!!!」
キ「ごめんなさい・・村のみんなを救いたくて」
老「・・いや、わしら大人が早く行動すべきだった・・禁断の樹海を恐れて・・すまない」
老人はキリに深々と頭を下げた。
キ「いいんですよ村長!!私も村のみんなを救いたかったんです。この命草でみんな助かりますね!!」
キリはしっかり手に握っていた、しわくちゃになった命草を村長に満面の笑みで見せた。
老「キリ・・・お前これを取るために。ありがとう・・ありがとう」
キ「いいんですって!みんなを助けに行きましょう!」
しかし、その言葉を聞いた村長は暗い顔になった。
老「キリよ・・すまないが、これだけの命草では1人しか救えないのだ。せめてお前の妹を救ってやれ」
キ「そ、そんな!!・・・みんなは救えないのですか・・」
キリは膝から崩れ落ち悔し涙を流していた。
二人の間に短い沈黙の時間が続いた。
ゼ「・・あの、その疫病にかかった人達を見せてくれないか?」
今まで空気になっていたゼノアが初めて喋ったのて村長は少し驚いた。
老「これはこれは、今まで無視してすみません。しかし、あなたに疫病がうつるかもしれないので会わせるわけにはいきません。この村から立ち去ったほうがよろしいかと・・旅のお方ですか?」
キ「紹介遅れました!ゼノアさんすみません・・村長!こちらは私が禁断の樹海で魔物に襲われているとこを救ってくださり、ここまで送ってくれた人です。」
村に着くまでに様付けからさん付けに変わっていた。
村「なんと!!!あの禁断の樹海の魔物を・・キリを助けて頂きありがとうございました。」
ゼノアは村長に手を握って感謝され、また戸惑っていた。
村「私はこのレイア村の村長のダルトと申します。お礼したいのですが・・この村は貧しく、さらに疫病が流行っておりまして・・申し訳ありません・・」
ダルトは深々と頭を下げた。
ゼ「・・お礼はいいんです。それより疫病の人達を見せてくれないか?」
ダ「それは危険ですのでおやめ下さい。疫病にかかってしまうかもしれないですので。」
ゼ「・・いいから連れていってください。」
ダ「・・分かりました。感染しても知りませんよ。」
三人の長話が終わり、ようやく村の中心部に向かい始めた。