一話~特訓~
ゼ「・・・・ついたのか?」
ゼノアは100年ぶりの背伸びをし、辺りを見渡した。
ゼ「・・・100年とは短いものだな」
数億年の孤独に生きてきたゼノアにとっては、100年なんてあっという間だった。
ゼ「・・・ここは樹海か?・・・転生の影響か体もまだ完全に動かないな・・」
見渡す限り木で埋め尽くされ、霧も薄くかかり、不気味な雰囲気を出していた。
ゼ「・・・無の世界に比べたらとても素晴らしいとこだ・・・ん?」
バキバキバキッ・・
木をなぎ倒していくような音が真後ろで聞こえ、振り返ってみると体長5メートルぐらいの真っ赤で額に角の生えたゴリラがいた。
ゼ「・・・こいつが魔物か?・・たしかになかなかの威圧感だ」
ゴ「か弱き人間よ・・即刻にこの禁断の樹海から立ち去れ」
ゼ「・・・悪いがまだ体が完全に動かないんだ」
ゴ「なら死ぬだけだ!」
その巨体に似合わないスピードでゼノアに近付き、殴りかかった。
ゼノアは止めようとしたが、体がうまく動かず、見事に100メートル先まで吹っ飛ばされた。
ゴ「雑魚め」
ゴリラはつまらなそうに樹海の奥に戻っていった。
一方吹っ飛ばされたゼノアは倒れていたが無傷だった。
ゼ「・・体がまだ自由に動かない。力も全くでない・・・それにあのゴリラ以外にも楽しそうなのがここにはたくさんいるな・・」
ゼノアは何故か嬉しそうだった。
ゼ「・・ここは気に入った。5年間ここで体を慣らしてこの世界の空気に慣れるか」
ゼノアはフラフラと樹海の奥に入っていった。