プロローグ
ここは天界。
神々や天使の暮らす場所。
辺り一面に花が咲き乱れ、巨大で優雅な建造物が建ち並び、まさに神々の世界。
そこに漆黒の髪色をした黒き神と呼ばれる者がいた。
見た目は18くらいのかなり美少年で、全身黒い服装に身を包んでいた。
天界に住む他の神々や天使は、天界に相応しくない神だと、恐れ、けむたがられ、なぜ闇界の神がいるのだと。誰も近付かなかった。
闇界とはまさに闇の世界である。
黒き神は最初何もない無の世界に生まれた。
自分が何者かも分からず、数億年という孤独に耐えきれず、闇の世界を作り出した。
しかし黒き神の力は闇そのもので、この闇界で生まれてくるものは、邪悪の塊で悪魔と呼ばれる者が瞬く間に増え、天界と勝手に戦争を起こしてしまった。
黒き神は天界を消し去るなど考えておらず、ただ孤独から仲間を創りたかっただけなのに。
黒き神は涙を流しながらも、自分の創った悪魔達を全滅させ、闇の世界をも壊し、また孤独になった。
そんな黒き神を、神々の王ゼウスが天界に招き入れたのであった。
黒き神は大いに喜び、天界での生活を楽しみにしていた。
しかし、待っていたのは同じ孤独。
誰も闇の世界を創った神などと馴れ合うものはいなかった。
黒き神が創った悪魔達のせいで、多くの天使や神が殺されたからである。
そんな中で暮らす黒き神の唯一の楽しみが、宇宙にある惑星を観察する事だった。
数え切れないほどある惑星の中で、黒き神の目に止まった惑星があった。
この惑星には人間やエルフ、ドワーフ、竜人、魔物、精霊、獣人などといった者達が住み着いており、その世界を眺めるのが毎日の日課となっていた。
それを見ていたゼウスは、
ゼ「黒き神よ、この惑星に行ってみたらどうだ?何か変わるかもしれないぞ」
黒「・・・・・いいのですか?」
ゼ「もちろんだ。お主の為にも行った方がいいだろう。わしが転生してやる。我々は見た目は人間と同じだから、種族について聞かれることはなかろう。しかし惑星に着くのは100年後、それでもいいか?」
黒「・・・・・もちろんです。ありがとうございます」
ゼ「うむ。それでは行ってまいれ」
ゼ「それともう1つ。お主に名を授けよう、お主の名は・・・ゼノア」
黒「・・・・・ゼノア」
こうして黒き神は惑星へ転生された。
転生される間際、黒き神が少し嬉しそうな表情を浮かべ、ゼウスも安堵の表情を浮かべるとともに、悲しげな表情になった。
ゼ「行け。我が兄弟よ。その世界で幸せを掴んでくるのだ」
そして黒き神の新たな生活が始まるのだった。