第14話 まったりの時間 改訂
「龍星、それを返してくれないか?」
「それは聞けないことだな」
万里がそう言うと龍星は笑顔で答える。
双牙はおろおろと2人を見ていた。
「そこをなんとか」
「駄目だ、秀久が困ってるだろう?」
「そうですよ、万里。そういうことはダメです」
「………(りゅうくんと日菜ちゃんの言う通りだよ?)」
頼みこむ万里にそくざに却下する龍星と龍星の意見に賛同する日菜と芹香。
常識人の2人にはそれぞれハリセンとぴこぴこはんまーが握られているが、そこは気にしないでおこう。
「久しぶりの手乗りつぐちゃん♪」
「みゅあ!?」
ひょい、と持ち上げて手のひらにのせていた。
その刹那カメラを構えた少年が滑り込んできた…が
「撮れない…だと」
愕然とした様子で落ち込んでいた。
それもそうだろう、龍星がつぐみのスカートの中を見えないようにして抑えて乗せているからだ。
「何、この変態ムッツリスケベは」
「情報網には長けている忍者の末裔…みたいな者じゃね?」
瑠奈の呟きに富士也が興味なさそうにつげた。
「もう収集がつかなくなってきてるよ、どうする?龍…」
「ん?」
この光景に呆れている秀久が龍星に声をかけるために振り向くと、右肩にはつぐみを左肩にはひばりを右腕にはふうかを左腕には希を乗せていた。
ちなみに、本人達はまんざらでもなさそうにまったりしていた。
それを見て硬直する秀久に瑠奈達が気づくのに数時間かかったのはいうまでもないだろう。
「…………(いいにゃあ…)」
「わきゅ……羨ましいですの」
芹香と白姫がこの光景を見て羨ましげに見ていたので龍星はひばりとふうかと希を下ろして芹香と白姫を同じように乗せた。
「わきゅ~♪」
「………(にゃあ!りゅうくん、いきなりすぎー!)」
「お兄ちゃん分補充~♪」
すりすりと龍星に甘え始めるつぐみと白姫と恥ずかしそうに龍星を叩く芹香。
なんともほのぼのする光景であるが
『『『『『ちっ…リア充め』』』』』
とこの光景を見ていた普通科の男子達が呟いていた。
この反応は龍星の周りには美人が集まっているのだから当然といえば当然なのだろう。
「………」
「秀久…なんというか…がんばれ」
つぐみに甘えてもらっている龍星を羨ましげに見つめる秀久。
それを見た万里が苦笑いしながら励ましていた。
「もっと…強くなるしかないな」
「カズくん、どうしたの?」
一晃が決心してそう呟いたのを聞いてそんな幼なじみを不思議そうに見つめるひばり。
彼女もかなりの鈍感であったようだ。
「ひひゃい、なにふるの~!!」
「悪い……なんか、ムカツクから…つい」
じたばたと暴れるふうかの頬を不機嫌そうに輝が引っ張っていた。
可愛らしい嫉妬?なのだろうか?
謝りながら頬から手を話す輝。
「なにがムカツクのさ」
「わからん」
ふうかが不機嫌そうに尋ねると即答する輝。
これには呆れてしまうふうかがいたのはいうまでもないだろう。
「……(ぎゅ~」
「???富士也くん?」
「ちょ、富士也!?」
ちなみに富士也は希と瑠奈を後ろから抱きしめていた。
そんな彼を不思議そうに見つめる希。
「……万里も嫉妬してくれるでしょうか」
ぽつりと日菜が呟いて万里をちらちらを見る。
「失礼な!俺は鈍感じゃないぞ?」
「誰に言ってるのさ、万里」
万里が突然そう言うと秀久が不思議そうに尋ねた。
「いや、誰かに鈍いと言われた気がして」
「だから、何に鈍いんだよ」
万里がそう言うと秀久は呆れながら聞き返してきた。
「……さぁ?」
「「さぁ?」ってわからないのかよ!?」
万里は肩をすくめて言うと秀久が万里の襟を掴んでゆらしていた。
「く、苦しいって!目が回るからな!」
「あ、すまん」
万里が秀久に言うと謝りながら慌てて襟から手を離した秀久。
「たっく…殺す気か?」
「うぅ……めんぼくない」
万里の呟きにしゅんと落ち込む秀久。
「万里くん!ヒデくん、そろそろ授業がはじまるから行こう?」
と、そこへお肌ツヤツヤのつぐみが駆けてきて笑顔で促す。
それを聞いて腕時計をみるとお昼の時間が終わる頃だった。
「そうだな」
「うん、行こうか」
「なら、急いで!」
万里と秀久が頷くとつぐみが2人の後ろに回って背中をぐいぐいと押し始める。
「行くのはいいが、秀久はつぐみを抱っこな」
「「なんでそうなるの!?」」
万里がからかいまじりに言うとつぐみと秀久がツッコミをいれた。
万里は笑って走るとそれを秀久とつぐみが追いかける。
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