第10話 異形の怪物? 改訂
つぐみside
万里君達が外に出て行くのが見えた。
そしたら雅先生が心配だからという理由で追いかけて行った。
「お兄ちゃん」
「追いかけるんだろ?」
「うん!」
わたしが声をかけると笑顔で答えてくれた。
お兄ちゃんはわたしが実行しようとすることをちゃんと理解してくれている。
それがとても嬉しかった。
「それなら早いとこ見に行かないとな」
「そうだね!」
ヒデくんがあたしに近寄ってきて頭を撫でながら言ってくれた。
ちょっと照れるけど、不思議と嫌じゃない。
これもヒデくん効果かな?
外に出ると誰かがいた。
ここの生徒かと思ったがなにか違う。
なぜなら…異形な姿をしていたからである。
あれはミノタウルスかと思われる怪物だ。
何をしているのかと思い、覗こうとするといきなりお兄ちゃんに目を塞がれた。
ごきゅ…ぐちゅ…ずず
何かを食べてる音が聞こえてきた。
次には何をすする音も聞こえてくる。
身体が震える、あたしはお母さんみたいに修羅場をくぐってきたわけじゃない。
だから、本当に異形にあうと足がすくみ、動けなくなる。
それを理解してくれているのはお兄ちゃんとソウくんと芹ちゃん達。
「……っ」
「えげつないなぁ」
「これはえぐいな?万里達は大丈夫なのか?」
がくがくふるえるあたしをお兄ちゃんとヒデくんは抱きしめてくれた。
それだけで少しは身体の震えが落ち着いてきたような気がする。
「アイツと会ってなければ大丈夫だろうよ。それに雅先生がついて行ったんだぜ?」
「あの…輝。目を塞がれたら見えないんだけど」
途中で輝くんとふうかちゃんも合流したのだろう。
その2人の声も聞こえてきた。
「けど、何を食ってんだろうな」
「…………(りゅうくん、見ないほうがいいじゃ)」
お兄ちゃんの呟きに芹ちゃんが震えた声でそう言った。
そうだよね、やっぱり怖いし。
「チカラ…カンジル」
異形な怪物が食べる行為をやめてそうぽつりと呟いた。
そして周りを見渡した。
その力の主を捜しているのだろうか。
どうか気づかないで!
そう思っていてもその異形はこちらに気づいたのか、走ってくる…が
「そっちはダメだよ~」
という声が聞こえた。
その瞬間に異形な怪物はなにかの光に引きずり込まれるように消えていく。
声の主の方を見るとサーミ先生がいた。
どうやらさきほどのはサーミ先生が対処してくれたようだ。
「あの、お兄ちゃん。手、離してよ~」
「輝もだよ?」
あたしとふうかちゃんは2人で抗議したのはいうまでもないだろう。
それに気づいた2人は手をあたし達の顔から離す。
「地震の正体はコイツなのか?」
「うーん……それは違うと思うよ~?」
ヒデくんの呟きにサーミ先生が否定した。
どうして違うと思うのかな?
「この塔の傷を見てよ」
「何かが爆発した感じの傷だね」
サーミ先生は塔にあるどでかい傷をしめした。
なにかが爆発したような跡だった。
「これはすさまじい威力のようだな」
「ランチャーとかの傷かな?」
あたしとお兄ちゃんはそれぞれ予測を立てるけど、どれも違う気がした。
なんでかわからないけど、そう思うのだ。
*****
万里達side
俺達の前にゆらゆらと揺れるゼリー状の化け物が多数いた。
ツクモかと思ったが違ったようだ。
一つ目の赤い大きな目がぎらぎらとこちらを見ている。
これはいったいなんだ?
俺がそう思っていると
「う~ん…妖か神魔のなれの果てだろうね?もしくは…ここの守り神の堕ちた姿かもしれないね」
いつのまにか傍に来ていた雅がそう俺達に説明する。
ちらっと見てからゼリー状の化け物を見る。
どこか虚空を見ているような気がする。
それにしてもうにょうにょと動いていて、どれも気色わるい感じだ。
「塔を壊そうとしたのはあいつ等か?」
「そうかもね、紫色のアレは…ここにある物を掘り起こしたい一心で塔に硫酸を吐いたか、爆発魔法を唱えたか……だね」
俺の問いに雅はにこにこ笑顔で答える。
あのゼリー状の化け物は物理に強いのかねぇ?
「万里、ここをどう乗り切ります?」
「戦って乗り切るしかないだろうな」
「それが最善か」
「久々に腕がなるね!」
「が、頑張るよ!」
俺達が動こうとすると何かをゼリー状の奴が吐きだした。
慌てて避けると
どちゃどちゃどちゃ!!という音と共に俺達がいた辺りに降ってきた。
降ってきた物をよく見ると骨だった。
まっ白な骸骨らしきものがあるのがわかる。
「みんな、こいつ等に飲まれていたのか?」
「その可能性が高いんじゃないかな」
俺の推測に雅は苦笑いしながら答えるとランチャーを構えた。
どこから取り出したんだろうか?
わかることだけは、どこぞの未来の棒ロボットみたくなんでもだせるということだけだろう。
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