第8話 一緒
彼女はちらっと不安げな表情を見せた。
なるべく人を遠ざけてきた自分が、ほたると暮らす。想像がつかなかった。でも、何故かこの強引な展開を自然に受け入れてしまった。
僕は彼女に惹かれているのだろうか?
「タダでは住まわせない。自分の飯とかは、自分で調達する事。だけど、住まわせるのはずっとてわけじゃないからな。ほたるが家に帰りたくなるまでだからな」
「本当!?いいの?」
彼女は素直に喜び、満面の笑みを見せた。
「ああ、どうせ帰れって言ったって、帰らないだろ?仕方なしにだ」
「まずは何をすればいいかな?」
彼女は、顔を緩ませたまま言った。
「…金の調達じゃない?この世は全て金で成り立っている。仕事を探すといいんじゃないかな?僕の場合はまともな仕事はできないけど、君なら何か見つかるんじゃない?」
自分でもちょっと無責任な言い方だと思ったが、この世界には保証なんてものはない。絶対なんて事はありえない。だから、こう言うしか僕にはできなかった。
「じゃぁ、お仕事探そう」
彼女はそう言うと、僕の腕を掴んだ。
「え?」
僕は彼女に引っ張られながら、集落を出て、街へとやって来た。
「ちょ、ちょっと待ってよ。何で僕まで君と一緒に。まさか、仕事探しを手伝えて言うんじゃないだろうね」
「私、街の事よくわからないの。教えてよ」
礼どころか、借りを作ってどうするんだ。
街に来ると、どうしようもなく吐き気がする。昼夜を問わず欲望の塊が街を埋め尽くし、何処かにその掃きだめを探し、さ迷っている。自分もその中の一員だと思いながらも、認めたくなかった。