表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛍影  作者: 紅玉
18/20

第17話 突然は必然に

「嬢ちゃん、お前がいないと寂しそうだぞ」

「そう」

寂しそうにする彼女の姿が浮かび、キュッと僕の胸を締め付けた。

「何でか知らねぇが、避けてんのは可哀相だぞ」

わかってる。だって、こんなにも胸が痛い。

「大切なもんは、失くなった時にはもう取り戻せねぇよ」

苦しさから逃れる為に、彼女から離れたのに、余計に苦しくて、痛い。

僕は、どうしたらいいのかわからなかった。



闇は、光を恐れた。光は闇を打ち消すから。

でも、光は闇が思っている程、強くはなかった。それどころかもろかった。

闇はその事実に気づかなかった。光を求めていながらも、それから逃れようと背を向けたから。


 僕は

「はっ」

とし、頭を持ち上げた。

「おい、どうしたんだ?」

一緒に薬を運んでいた一人が、僕に声をかけた。

「…行かなきゃ」

僕は呟いた。

「は?」

声をかけた男は、僕の顔を訝しげに覗く。

「呼んでる」

僕はそう言うと、走り出した。

「おい!ちょっと待てよ!!」

僕を呼び止める男の声は、僕の耳に届いていなかった。

ほたるがいなくなる。

今、逢いに行かないと、二度と逢えなくなる気がした。僕は無我夢中で、街中を駆け抜けて行き、彼女の居る集落へと向かう。

「ほたる!!」

彼女は地面に膝をつき、両手で顔を覆っていた。

息を切らしてやって来た僕を彼女は見上げた。彼女は、大粒の涙を流していた。

「…ほたる?」

僕はそっと、彼女の肩に手をかけ、それと同時に驚いた。彼女の体は、透けていた。

「クロ…クロ…」

彼女は僕に助けを求めるかのように、僕にしがみついた。

「ほたる、これは…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ