第17話 突然は必然に
「嬢ちゃん、お前がいないと寂しそうだぞ」
「そう」
寂しそうにする彼女の姿が浮かび、キュッと僕の胸を締め付けた。
「何でか知らねぇが、避けてんのは可哀相だぞ」
わかってる。だって、こんなにも胸が痛い。
「大切なもんは、失くなった時にはもう取り戻せねぇよ」
苦しさから逃れる為に、彼女から離れたのに、余計に苦しくて、痛い。
僕は、どうしたらいいのかわからなかった。
闇は、光を恐れた。光は闇を打ち消すから。
でも、光は闇が思っている程、強くはなかった。それどころかもろかった。
闇はその事実に気づかなかった。光を求めていながらも、それから逃れようと背を向けたから。
僕は
「はっ」
とし、頭を持ち上げた。
「おい、どうしたんだ?」
一緒に薬を運んでいた一人が、僕に声をかけた。
「…行かなきゃ」
僕は呟いた。
「は?」
声をかけた男は、僕の顔を訝しげに覗く。
「呼んでる」
僕はそう言うと、走り出した。
「おい!ちょっと待てよ!!」
僕を呼び止める男の声は、僕の耳に届いていなかった。
ほたるがいなくなる。
今、逢いに行かないと、二度と逢えなくなる気がした。僕は無我夢中で、街中を駆け抜けて行き、彼女の居る集落へと向かう。
「ほたる!!」
彼女は地面に膝をつき、両手で顔を覆っていた。
息を切らしてやって来た僕を彼女は見上げた。彼女は、大粒の涙を流していた。
「…ほたる?」
僕はそっと、彼女の肩に手をかけ、それと同時に驚いた。彼女の体は、透けていた。
「クロ…クロ…」
彼女は僕に助けを求めるかのように、僕にしがみついた。
「ほたる、これは…」