第12話 変化
「仕事探してるなんて、よっぽど困ってんだろ。普通、自分達がこんな状況じゃ情けなんてかけないんだけど、あんた顔良いし、良い宣伝になりそうだからね。いいよ。ウチで働きな」
「わあ!ありがとうございます!!嬉しい」
意外にも上手く行ったものだ。
店主の妻がこの街では珍しい優しさというものをただ持っていただけではなく、それを引き出したのは彼女の持つ光の力なんだと、僕は不思議と自然にそんな事を思っていた。
きっと真似をしようとしても、僕にはできない事だろう。僕には、彼女の持つ光がないのだから…
「クロ、ありがとう」
集落に帰る途中、彼女は僕に微笑みかけた。
胸の中に暖かいものがふわりと入り込んだ。
「ありがとうって?」
「お仕事見つかったのは、クロが付き合ってくれたおかげだから」
「そうかな?」
「そうだよ」
彼女は組んでいた僕の腕にぎゅっとしがみついた。
彼女と一緒に居て、僕の何かが変わって行く気がした。それが心地良い気がして。でも…それが恐くもあった…。
このまま僕はどうなってしまうんだろう?
「それじゃあ、頼んだぞ」
ぱりっとした上等なスーツを着こなした男は、僕にそう言うとその場を去って行った。
僕は、男から受け取った旧式の銃を眺めた。
自動式の小型銃。今は弾丸のものは手に入る事はないが、殺しを依頼してくる奴らなら、金を持っている。金があれば何でも手に入る。
僕は試しに、銃を構える。3メートルくらい離れた処にちょうど空き缶が転がっていた。
僕は片目をつぶり、照準を合わせる。銃のハンマーをカチャリと下ろす。引き金を引こうとした時、
「よう、クロ」
と、赤鼻の爺さんがやって来た。