Pretty Girl
ーーー愛しい君へ
大切な者はいつもそう
気がつげばいつの間にか消えている
君もやっぱり
消えてしまうのだろうかーーーーーーー
『しぃ・・・ん』
窓からは見渡す限りの青空。太陽は燦々と輝きこの街を照らす。
それさえも見ることが出来ない、見ようとも出来ない。
私の中にあるのはあなたの顔や匂いの記憶と楽しかった想い出だけ。
もう涙も枯れてしまった。疲れ果て、考えるのはこれからのことばかり。
これからどうやって生きていくの?
なぜ私を置いていくの?
あなたがいないと私はこの世界からなんて楽しいこと、何ひとつ見いだすこともできないのよ?
「あー」
突然聞こえる声の方にゆっくりと振り返る。
「あぁーあ?」
色のない世界に、つまらなくなった世界に少しずつ色が広がっていく。
音も壊れかけた心も戻ってくる。
声の主はゆっくり、危なっかしく近づいてくる。
あと少しで届く。
そんなとき上手いのか上手くないのか、小さな手が床にあったタオルに引っかかる。
「あ」
ツルッと滑りそのまま顔から床に向かっていく。
「危ない!」
おそるおそる瞼をあけると目の前には天井が広がっていた。
床に寝転がっていたのである。
胸にはその子を抱えながら。
「はぁ・・・」
「あひゃあひゃ」
こっちが安堵しているのをよそに楽しそうに笑っていた。
「ふふっ」
この子以外の笑い声が聞こえたことに驚きあたりを見渡す。
でも部屋には私とこの子だけ。
「私・・・」
笑ったの?
でも他に人なんていないから。
そう、笑った。笑えた。・・・うん。
もういろいろ吹っ切れたような感覚になった。
このとき初めてあなたの死を理解し、立ち直った。
それはきっと、ううん。絶対この子がいてくれたから。
ありがとうーー
簡単ですが読んでいただきありがとうございます。