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『遺棄された列島』を重機で掘り起こせ! ~元現場監督の50歳、ゾンビアポカリプスで道を作って日本を再建する。返事は「ご安全に!」  作者: さじ


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第5話:鉄の咆哮と、硝煙の交渉

第4話までお読みいただきありがとうございます。 拠点を整えた剛田が直面した、燃料不足という現実。 それを解決するために向かった先で待っていたのは、重機ではなく「銃」を持つ男たちでした。 「ご安全に!」

「親方、見えました。……あそこです」


 タケルが指差した先、廃墟と化した物流センターの巨大なゲートが見えてきた。  だが、そこは死の静寂に包まれてはいなかった。ゲートの前には有刺鉄線が張り巡らされ、土嚢が積まれている。その上には、自動小銃を手にした数人の男たちが、冷徹な視線をこちらに送っていた。


「……ありゃあゾンビじゃねえな。人間だ」


 剛田は重機のスロットルを緩め、アイドリングのまま停止させた。  すると、土嚢の陰から一人の男が歩み出てきた。  煤けたタクティカルベストを纏い、背中には抜き身の日本刀を背負っている。鋭い眼光。その男こそ、この一帯を実力で支配する武装集団『再興軍』のリーダー、九条くじょうだった。


「そこまでだ、おっさん。その黄色い化け物から降りろ。……ここは我々の管理下にある。一歩でも進めば、その鉄クズごと蜂の巣にするぞ」


 九条の冷たい声が響く。タケルは恐怖で身を縮めたが、剛田は鼻で笑い、重機のドアを蹴開けた。


「……管理下だぁ? 笑わせるな。看板も出てねえ、養生もされてねえ現場を、誰が管理してるってんだ」


「口の減らない男だ。……見てわからんか? ここにある燃料はすべて、我々が新しい秩序を作るための資源だ。泥棒に分ける分はない」


 九条が手を上げると、土嚢の陰の銃口が一斉に剛田の胸元に向けられた。  一触即発の空気。だが、剛田は動じない。彼はゆっくりと重機のブーム(腕)を上げ、九条の頭上でバケットをピタリと止めた。


「小僧。銃で俺を殺せても、この重機は動かせねえぞ」


「……何?」


「この地下タンクは、震災対策の緊急ロックがかかってる。無理にこじ開ければ爆発するか、中の燃料が汚染されて使い物にならなくなる。……それを安全に『抜く』技術を持ってるのは、この場に俺しかいねえ」


 剛田のハッタリではない。土木屋としての経験から、この施設の構造とロックの仕組みを瞬時に見抜いていた。九条の眉がわずかに動く。


「……俺たちが欲しいのは燃料だ。あんたらが欲しいのも同じだろ。だったら、ここで殺し合って一滴も手に入らねえより、俺に掘らせて分け合う方が賢い工事しごとだと思わねえか?」


 剛田は操縦席から、使い古された「KWキロワットカード」の雛形となる木製チップを一枚、九条の足元へ放り投げた。


「これは、俺たちの拠点との『協力の証』だ。……暴力で奪い合う時代は、俺が道を作った瞬間に終わらせてやる」


 九条は足元のチップを拾い上げ、剛田をじっと見据えた。  周囲の部下たちが引き金を引くのを待っている中、九条はゆっくりと日本刀の柄から手を離した。


「……面白いおっさんだ。いいだろう、掘ってみせろ。もし一滴でも無駄にしたら、その場で首を跳ねる」


「上等だ。……タケル! サンドポンプを持ってこい! 仕事を始めるぞ!」


 銃口に囲まれた異常な現場で、剛田の怒号が響く。  それは武力でも略奪でもない、「技術」という名の新しい秩序が、暴力に打ち勝った瞬間だった。

九条との危うい協力関係が始まりました。 次話、剛田の神業的な「掘削」が炸裂し、燃料を巡る一悶着が決着します。 面白ければぜひ、ブックマークと評価をお願いします。重機の燃料になります! 「ご安全に!」

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