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非合法探偵  作者: 狩瀬
第一章
27/32

26 その扉を殴るのは

ーゴンゴンゴンゴン!!

扉を叩く音が、朝の静寂を破る。

それに気づいた水無瀬は重い瞼を開けた。

吹き抜けの窓から涼しい風が吹き込み、カーテンが揺れている。玄関扉や窓から差し込む光が室内を照らし、舞い落ちる埃がキラキラと輝いていた。

「もう朝ですか」

ゆっくりと重い体を起こし,大きく伸びをする。

ふぅ、と一息ついたところで、目元に違和感を覚えた。辺りを見渡し、いつのまにか外れていたサングラスを拾い上げ、着用。とてつもない安心感を得た。


「おい!一条真央!ここにいることは分かっているぞ!さっさと出てこい!」

耳が破裂しそうなほど大きい声と、扉を破壊しそうな勢いで叩く音で我に帰る。

さっきから扉を殴っている人は誰だ?

一条に用があるようだが、当の本人はまだ夢の中だ。

いそいそと一条に駆け寄り、肩をゆすって声をかける。

「一条さん、起きてください。来客ですよ」

…………起きない。

「一条さん!起きてください!」

…………起きない。すぐ近くで爆発が起きても起きないような人だ。こんなもんじゃびくともしない。

「一条さぁん?死んでるんですかぁ〜?起きてくださぁ〜い?」

そろそろ水無瀬もイライラしてきた。煽りっぽい口調で喋っても尚、起きない。

「クソが!いい加減起きやがれください!ええい、もうどうでもいいです!あとで文句言わないでくださいよ!」

そう叫ぶと、一条の背中と足に手を回し、持ち上げた。

扉を殴っている人の口調だと、かなり長い間一条を呼んでいたのだろう。これ以上待たせたら扉を蹴破るかもしれない。寝たままだろうが出した方が財布のためだろう。

「うわっ重っ!一条さん!体重何キロですか!」

怒ったら起きるかとも考えたが、これもまた失敗。

もう諦めて玄関まで運んだ。


鍵のつまみを捻り,ガラガラと音を立てながら扉をスライドさせる。視線を取っ手から正面に移動させると、

「………は?」

十数人の警察官が建物を取り囲み、橋本が銃を構えていた。

「一条真央、お前を……………

橋本は決然とした表情で、言い放った。

「殺人の容疑で、逮捕する」

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