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非合法探偵  作者: 狩瀬
第一章
21/32

20 硝子の雨

ドアは吹き飛び、周りを囲う装飾硝子は粉々に砕け散る。

砂埃が舞った。


全てがスローモーションのように遅かった。

シャンデリアの光が飛び散る硝子の破片に反射し、キラキラと輝いている。それはまるで晴天の中降る雨ようで、息を呑むほど美しかった。


…そう思ったのも束の間。


宙に浮いていた硝子は瞬く間に地面に向かって加速する。色とりどりの輝きを見せながら、重力に引かれて落下してゆく。

そしてー

「うあぁぁぁぁァァッ!」

入り口付近に居た人々に降り注ぎー

「いやあぁぁぁ!」

血飛沫をあげながらー

「きゃあぁぁぁ!」

人が悲鳴をあげて倒れてゆく。

先程と一変し,この場は地獄と化した。

雨のように降り注ぐ硝子の中、突然起こったその光景は、まるで天からの罰を与えられているかのようだった。

血を被ったガラスに通った光が赤く煌めき、ルビーのような美しさを見せた。そしてその硝子もまた、人々に突き刺さり,新たな血溜まりを作る。

左を向いても右を向いても同じような景色が広がっており、後ろには逃げ惑う人々、中にはパートナーが倒れて泣き叫んでいる者も居た。


ふと水無瀬が入口の方に目をやると,砂埃の中からコツコツと足跡を立てて、黒い影が近づいてきた。

非合法組織『残影』の首領。

一条を殺そうとした張本人であり、一条と接触させるのが一番危険な人物。当の本人はまだソファーで寝息を立てており、起きる気配はない。どうにか気づかれないようにしなくては。

首領の赤い髪は雨に濡れて光沢が増し,ポタポタと水滴を垂らしている。目は虚で、普段は柔らかな笑みを浮かべている口元も固く結ばれていた。

「あ、あぁ、水無瀬くん…少し聞きたいことがある。ちょっと事情があって死体置き場に足を運んだのだけれど、そこに、一条くんの死体が無かった。一条という名の死体はあったが、全くの別人。処理させれる前に逃げ出したのだろう。それで…」

肩に手を置き、上目遣いで水無瀬を睨んだ。

「君、何かした?」

常人なら気絶するであろう殺気の籠った眼。

その顔を見た水無瀬はにこりと作り笑いを貼り付け,言った。

「それで怒っているのですか。でも僕は何もしていませんよ?そこにあった死体を運んで、処理班に渡しただけですから。」

「嘘をつくな」

「本当のことです」

「……………………………………」

「……………………………………」

「まぁ、知らないならそれでいい。」

諦めたかのようにはぁ、とため息をついた。

「彼女には発信機が埋め込んである。この建物の中に居ることは事実だ。それならば…」

懐から小刀取り出し、一条が寝息を立てているソファーに歩み寄り、ほおをツンツンと触った。

一条は一瞬で目を覚まし、大きく目を見開いた。頭上には自分の命を狙う人物その人。メイクと格好のおかげで気づかれてはないようだが、まだ油断できない。頭の中で不安と緊張が入り混じり、声もなく見つめていると、首領は一条の首に腕を回して無理やり立たせた。

「うぁっ」

「五月蝿いよ」

手のひらで口を塞ぎ、もう片方の手で小刀を突きつけながら、フロアの中心へと歩いてゆく。そして、大勢の観衆がいる前で堂々と言い放った。

「一条真央!ここにいる事は判っている!名乗り出てこなければこの女を殺すぞ!」


ピアノを弾いている動画を見て、私も弾きたいなぁと思い練習してみますが、最初の30秒くらいのとこまでで諦めます。

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