9 夕日の差し込む事務所にて
「会いに行くって…無理です!夏帆は人を怖がってて、あなたたちにどんな危害を加えるかわかりません!危険です!」
立ち上がり声を荒げながら、女子高生は叫んだ。
「落ち着いてください」
水無瀬は感情が消え失せた声で女子高生をなだめ、椅子に座らせた。女子高生はまだ納得のいっていない様子であった。
「でも…夏帆に誰かを傷つけて欲しくないんです。夏帆だって…本当はこんなことしたくないはずなんです…」
腕の傷をながめて目を細める。今にも泣きそうな表情だった。
そんな女子高生の様子を、一条は同情の眼差しで見ていた。そして、それでも、と言った。
「君は夏帆さんの不安を取り除きたい。これ以上夏帆さんが怖がっているのを見たくない。そう思って依頼してきたのではないかな?」
一条が静かに言った。
「それに、私たちなら大丈夫だよ。一般人の暴力ぐらい痛くも痒くもないし、なにより私たちが危険でないとわかってくれれば、危害が及ぶこともないんじゃないかな」
人差し指を立て、にっこりと笑った。
これ以上反論しても無意味だと悟ったのか、女子高生は躊躇いながらも首を縦に振った。
「決まりだね」
一条はふふ、と不気味に嗤った。
その後、明日の夕方に夏帆の家を訪問することが決まり、女子高生は不安げな面持ちで帰って行った。
玄関の外に出て、一条と水無瀬は背中を見送った。
半袖短パンで寝たら早く起きれました。




