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好きな人を困らせたくないから
俺―伊月は今日の事を思い出す。
いつものように休日を透と過ごせた。
幸せだった。
でも、あれは反則だろ。
『じゃあ僕も伊月にだけ甘えるな』
あいつは本当に思わせぶりだと思う。
なぁ透。俺はお前が好きだ。
ずっと昔から。
小学四年生の時に気づいたんだよ。
でも、透は女子が好きだろうからずっと隠してきた。
好きな人を困らせたくないから。
それに、親友でいれるだけで十分だと思っていたから。
なのに男五人に告白されたってなんだよ!
しかも透の意見ガン無視とかそいつらマジで許せねぇ!
俺ってさ、周りからは穏やかだって言われているんだよ。
でも…さすがにこれは許せない。
好きだよ。
でも、困らせたくないよ。
ただでさえあいつらに困らされているお前を困らせたくない。
俺だけでも透の心に寄り添いたい。
平凡で平穏な透との日々を守るんだ。
そんなことを決意していると弟が部屋に来た。
「兄さん。何ガッツポーズしてんの?」
「透は俺が守るんだ」
「はぁ?」