赤松の想い
俺がアイツを好きになったのは去年のことだ。
俺は昔から目つきが鋭く背が高いことから怖がられていた。
だから、友達なんていなかった。
ほしいとも思っていなかった。
昔はできなくて必死に悩んだりもしたさ。
でも…無駄だった。
必死に声をかけても、笑顔を作っても怖がられるだけだった。
その時、あぁ俺には無理なんだと諦めた。
なのに、アイツは『赤松だっけ?よろしくな!』
笑顔で俺に気軽に声をかけてくれた。
心臓が跳ねた。
こんな…こんな俺でも声をかけてくれる人はいるんだ。
その事実に涙が溢れそうになったがなんとか堪えったっけな…。
あの日から少しずつアイツをー夏川を好きになった。
透って呼んでいいのかわかんねーからさ。
でも、いつか透って呼びたいと思ってる。
きっとアイツは俺がお前に救われたのか知らねーんだろうな。
それでもいい。
話すつもりもないからさ。
こんなに自分が弱かったなんて知らなかった。
弱い自分をアイツには知られたくないんだ。
でも、甘えたい俺も居る。
ほんと厄介だよな(笑)
絶対に俺を選んで欲しい。
俺にはお前しかいねーんだよ。
そんなふうに言ったらアイツはなんていうんだろ?
困ったように笑って
『できるだけそばにいるよ。でも、恋人にはなれない』
きっとそう言うんだろ。
傷ついた俺の顔を見て
「だって俺ら友達じゃん?」
俺がずっと、幼稚園の頃からほしかった言葉を言うんだろう。
だけど、俺にはアイツの一番が欲しいんだ。
それが結婚だと思った。
幼稚だって言いたいのか?
まぁそれはさておき、だから俺はあの日。
『俺と結婚してくれ!!』
あんな恥ずかしい言葉を放った。
あの時の夏川の驚いた顔を思い出す。
でも、アイツは笑わなかった。
それだけは俺の救いだった。
ちゃんと考えようとしてくれた。
今まで誰一人として俺に親身になってくれなかった。
『結弦なら大丈夫でしょ』
『結弦君ってこわーい』
『赤松こえー』
俺が何したってんだよ?
目つきや身長が高いのがそんなにもダメかよ?
なんで親すらも親身になってくれねーんだよ。
何度、俺は泣いただろう。
その度に、何度アイツに救われただろう。
なぁ…夏川、俺を…俺を見てくれよ。
お前だけは見放さないでくれよ。
いつまでだって、待つから。
だから、俺を選んでほしいんだ。