プロローグ
僕―夏川 透。
ちょっと変わった中学校に通っている。
僕は今日から中二だ。
今日は始業式。
いつものように生きているだけだった。
なのに、どうしてこうなった?
今、僕は五人のイケメンに囲まれている。
話した事もたいしてない奴らだ。
じゃあなんで囲まれているんだ?
考えたらすぐに分かる。
きっと、カツアゲだ!
こいつらきっと不良だったんだ!
「お金は持ってないです!」
そう叫ぶと「は?」という顔をされた。
「本当です。だって学校にお金持っていったらダメでしょ?」
そう訴えると「俺は別に金がほしいんじゃない」と言われた。
じゃあなんだというのだろうか?
「じゃあどうして校舎裏に呼び出したの?」
そう言った瞬間、金髪の男。同級生の二葉 晴がこう言った。
「好きだ」
は?・・・は、はあああ⁉
スキ?すき?好き⁉
ま、まじで言ってんの?
僕に?
この地味男に?
こんがらがり過ぎて頭を抱える。
次に栗色の髪の男―栗原 晃。
「好きなんだ。透君」
どういう事だ?
五人がかりのドッキリ?
朝からおかしいとは思っていたよ。
五人に呼び出しをくらうなんて。
しかもイケメン五人組だしさ。
だからってからかうのは酷くないか?
そんな事を考えている間に三人目の男。
透き通るような青色の髪をした…ってもはやおかしいぞ?
青色の髪ってゲームかよ?
金髪と栗毛は現実にも本当に居るよ。
でも、青は現実には染めなきゃいないだろ!
「水野 渚だ。
お前の恋人になりたくて呼び出した。中三だ」
ご丁寧にその青髪は自己紹介をした。
しかもはっきりと恋人と言った。
もう、嫌だ。
後の二人に目を移す。
一人は知っている。去年、クラスが一緒だった。
赤毛の奴だ。目立っていたからよく覚えている。
名前は赤松 結弦。
「あのさ、赤松はなんの用だ?」
「俺の…」
「?」
「俺と結婚してくれ‼」
「はぁあ⁉」
「いきなりでごめん‼」
「謝るのに言うんだ?」
「本当のことだからな‼」
からかわれているのかまじなのかわからなくなっていく。
最後の一人を見つめてしまう。
真っ白な透き通るような雪のような髪に赤い瞳。
色素がないのだろうかと心配になる。
「えっと、大丈夫ですか?」
気付けばそう聞いてしまっていた。
その人は黙って頷き紙を渡してきた。
それは、もういうまでもなくラブレターだった。
夏川透先輩へ
好きです。俺でよければ付き合ってくれませんか?
俺は今年入学して来た者です。
中一で白浜 昴といいます。
小学校の頃からずっと先輩が好きでした。
今日やっと伝えられて嬉しいです。
俺を選んでください!
と書かれていた。
「えーと…僕は恋とか興味なくって」
そう言ったのに気づけば変な中学校生活が始まってしまった。
卒業するまでに誰と付き合うか選べだってさ…。
ふざけてんのか?
選ぶってそんなゲームみたいに…。
五人とも人間なのにさ。
それに僕の意見ガン無視だし!
モテ期って誰しもくるっていうけどさ…。
絶対こんなんじゃないよな!