聖女でもなんでもないんで、お国を見捨てます。~馬鹿じゃねぇの~
聖女追放物の、長編小説を書き始めました。ページ一覧からみてくださると、嬉しいです。
この小説は短編になります。
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これは、私が、馬鹿じゃねぇのって感じた話です。
馬鹿じゃねぇの。
「聖女、フラウ!!貴様、男に溺れて、正気を失ったか!?追放だ!聖女を追放だ!」
「え?」
私は驚いた。私は聖女だ。お国を守る聖女。
これまで、国に対して貢献してきた。自らの、祈りの力で。
しかし、目の前のお偉いさんは、私を追放すると言っている。
「貴様は疫病神だ。祈りだとか、なんだとか喚いていたが……先代の聖女がいた頃は、魔物の氾濫など、無かったのだ!!それに比べて、お前はどうだ!!魔物の群れも防げんのか!!」
まくし立てるお偉いさん。国王である。
確かに、魔物は最近増えている。しかし、規模が少なくて済むのは、私がお祈りで、魔物を出来る限り遠ざけているからなのだ。
別に、お礼を言われたいわけではない。だが、疫病神呼ばわりは、見当違いである。私は、今にもキレそうだった。
「こ、国王。私は、出来る限りのことをしています。国王様からは、悪く見えるかもしれませんが、全体の意見を……」
「意見など、取っておるわ!!だから、怒っているのだ!!民は皆、お前を疫病神と呼んでいる!!選挙の結果だ!!」
「は?」
これには、流石の私も態度を表した。
「疫病神、ですって?」
にこにこ。
「そうだ!!お前は聖女でありながら、この始末!!どうするつもりだ!!この役立たずめが……」
「なるほどなるほど。では、私がいなくなったら、どうなされるおつもりですか?」
「いなくなったら?ふん、望むところだ。次の聖女を、呼び出すことが出来るからな。お前など、不必要になる。さっさと消えればいい」
「あ、そうですか。じゃあ、失礼しますね」
キレるを通り越して、私は、呆れの境地に達していた。
憤っている国王を無視して、必要最低限、本当に必要最低限の物だけを、すっと取り、部屋から出ようとした。出る間際。
「疫病神、二度と帰ってくるなよ!!」
国王の声が響いた。私は、一瞥をくれて、部屋から出て、ドアを閉じた。
街から出る時に、致し方ないとはいえ、町の外に続く門まで、歩いて出ることにした。
すると、どうだろう。町の人々の罵声が聞こえてくるであった。
「税金泥棒!!」
「聖女辞めろ!!」
「平和を返して!!」
などなど、多種多様、方向性としては、攻める類の言葉が、私に飛んできた。それが、私を笑顔にさせた。クズか。
祈りの力とは、目に見えさえしないものの、強力な力なのである。魔力にすら、引けを取らない。その祈りを、恩恵を、彼等は感じていないらしい。
「二度と来ませーん」
私は、颯爽と門から立ち去った。町の外へ。
「どこの町に向かおうかしら」
私は、首を傾げて、迷った。責務から解放されたのだから、自由万々歳である。恋愛だって出来るし、美味しい物も食べられる。
後ろを向くと、私が祈りで食い止めていた、凶悪な魔物たちが、町の方に群がっていくのが、遠目に見えた。一時間ももたずに、崩壊するだろう。あの国は。
私が最後にかけてあげたい言葉があるとすれば、一つだった。
馬鹿じゃねぇの。
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