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超短編小説『千夜千字物語』

『千夜千字物語』その19~告白

作者: 天海樹

「マツモトさんに告っていい?」

突然言ってきたのは親友のマサトだった。

「べ、別にいいんじゃん」

と答えると

「よし!」

そう言ってどこかへ消えて行った。


マツモトさんは隣のクラスにいる

ちょっと大人し目の女子。

目立つ子ではないから、

マサトが目を付けるなんて思いもしなかった。


教室を出ると

廊下でマサトとマツモトさんが話をしていた。

慌てて教室に戻り

話し終わったところでマサトを捕まえた。

「もう告ったのか?」

「まさか!」

おどけて笑うマサトに、何を話していたかまで

訊くことができなかった。


それからというもの

二人でいるところをちょくちょく見るようになり、

気が気じゃなかった。

というのも、本当は僕も

マツモトさんのことが好きだったからだ。

でもチャンスを譲った手前

今更自分も好きだとは

友達だけに言うわけにもいかなかった。

「あー、諦めなきゃダメかー!」

頭を抱えた。


昔からそうだった。

好きな子ができても、

告ることはもちろん人には言えず

ただひたすら一人で思い悩んでいるだけ。

だからこそ、何年も片思いを続けていたり

告りもせずに失恋することなんてしょっちゅうだった。


「好きになったのは絶対に自分が最初なのに…」

そんな思いが日増しに高まっていった。

きっと、二人が付き合ったら

いつも目の当たりにしなくちゃいけない、

そんなの耐えられないという思いからだろう。


「明日の放課後、体育館裏で告ろうと思ってんだ」

なぜマサトがそれを言ったのかわからなかったが、

それならアイツが告る時に自分も告ろうと腹を決めた。


当日の放課後、マサトが教室を出て行ったのを確認すると

急いで体育館裏向かった。

でもマサトはまだ来ていなかった。

隠れて見張っていると

最初に来たのはマツモトさんだった。

「アイツ何やってんだよ!」

いつまで待ってもマサトは現れず

彼女はどうしていいかわからずにいた。

たまらず彼女の前に飛び出した。


モジモジしていると

「話ってなんですか?」

マツモトさんが照れながら訊いてきた。

わけがわからず戸惑っていると

「マサトさんが“アキラから話があるから…”って」

そこでマサトにはめれらたことに気づいたが、

もう遅かった。

意を決してマツモトさんに告った。

「いいですよ」

意外にも二つ返事だった。

どうやらマサトが

しっかりアピールしてくれたようで、

接点はなくともすでに何でも知っていてくれてたらしい。

後ろを振り返ると

「焦れってーんだよ、まったく」

そう言ってマサトが笑ってた。

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