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ストーカーがいた

 カエントカゲ討伐によるドロップは火の鱗が【6】個、トカゲの尻尾【9】個だ。

 当たり前だけど確定でドロップするわけじゃないから、こんなものか。

 この火の鱗が割といい値で売れた気がするし、金策としても悪くない。


 度重なるレベルアップにより、ついにカエントカゲを二確で倒せるようになった。

 魔力に一切振ってないのにこれだから、ウィザードは惚れ惚れする。

 これも【術式研究Lv7】のおかげだ。


 あれからカエントカゲを狩り続けて、オレは更にレベルアップした。


━━━━━━━━━━━━

名前   :ウィム

クラス  :ウィザード

Lv   :39

クラスLv:23

HP   :264

TP   :481 クラス補正+30

力    :1

体力   :1

器用さ  :30

魔力   :8  クラス補正+13 魔力アップ+5

速さ :10


装備 :ロッド

    ローブ


スキル:【ステータス】【ファイアボールLv10】【ブラインLv1】

    【魔力アップLv5】【アイシクルLv1】【術式研究Lv7】

━━━━━━━━━━━━


 体を動かしたところ、素早さに不足はない。

 これはひとまず【10】で止めておこう。

 このくらいの素早さがあれば【ブラインLv1】と合わせて何とかなる。


 それに【ブラインLv1】はカエントカゲみたいに足が遅い魔物には不用だ。

 【ファイアブレス】のタイミングと距離を間違えなければ確実に狩ることができる。

 あとは【術式研究Lv7】を最大Lvにしたいのだけど、そろそろクラスLvが上がりにくくなってきた。


 このクラスLvはLvと違ってかなり上がりにくい仕様となっている。

 効率よく上げたければクラス経験値を大量に持っている魔物を狩るしかない。

 だけどそいつらはこの辺にはいないし、今のオレじゃ瞬殺される。


 あいつらはどちらかというと前衛クラス向けの相手だからな。

 ウィザードは極端に素早さが早い相手には対応しにくい。

 まぁ高望みをするつもりはないし、この狩場の時点で十分贅沢だ。


 現時点で問題があるとしたら、カエントカゲが一向にアレをドロップしないことかな。

 あれのドロップ率は確か【3】%だったか。

 数値だけ見ればかなりの低確率だけど、廃人にしてみればこれで高確率なんだから感覚がバグってる。


 ゲームと違ってオレは体を使っているし、魔物との戦いは神経をすり減らす。

 ゲームほどサクサク狩れないから入手難易度はかなり高いだろう。

 少し休憩したらまた狩りを再開するか。が、その前に――


「おい、バゼル。そろそろ出てきていいんだぞ?」

「ゲッ!」


 ゲッじゃないんだよ。

 あいつ、少し前からずっとオレを監視してやがった。

 男にストーカーするとか、まさか。

 いや、それは考えまい。


「い、いつから気づいてやがった!」

「最初からだよ。不意打ちを警戒したオレの身にもなってみろ」

「誰がそんなだせぇ真似するかよ!」

「じゃあなんでコソコソと尾行してきたんだよ」

「それはだな……」


 バゼルが照れながらポリポリと頬をかく。

 男のそういう仕草とか求めてないんだが。

 オレなんかが気になって尾行するほど暇なのかよ。


 あれだけ威勢よく吠えておいて内心ではびびっていたんだろうな。

 ウィザードのオレに討伐を成功されたら面目丸潰れだ。

 現実は御覧の通りで、オレはカエントカゲを大量に狩っているわけだが。


「お、お、お前! なんでそんなに強いんだよ!?」

「考えて立ち回っているからだよ。見ていたなら少しはウィザードの強さがわかったか?」

「ま、まぁ基本的にはな」

「何が基本的なんだよ」


 バゼルが握り拳を震わせて言葉を探している様子だった。

 単にウィザードが気に入らないってだけで尾行までするか?

 それに冒険者協会の時から少し感じていたが、こいつ実はそこまで悪い奴じゃないのか?


 もしこいつがクズ野郎だったら、オレが詠唱している後ろから斬れたはずだ。

 律儀にオレの戦いを見守っていたんだから案外気が小さいのかもしれない。


「……なんでそんなに強いんだよ」

「いや、答えたよな? ループするのやめてもらっていいか?」

「立ち回りがしっかりしていれば強いのか!? だったら」

「後ろ見ろ。カエントカゲが来てるぞ」


 バゼルが振り向くと、カエントカゲがやる気満々だ。

 さて、こいつのヘイトはたぶんバゼルだろう。

 オレはさりげなく離れた。


「ちょ! おまっ! 空気読めよ!」

「魔物がそんなもん読むわけないだろ。それよりがんばれ」

「うおぉぉ!」


 こうしてバゼルVSカエントカゲのマッチングが成立した。

 さぁバゼル君のLvと習得スキルはわからないけど、あの装備ではなかなか厳しい相手だ。

 手持ちのポーション次第で狩ることができそうだが、【ファイアブレス】の直撃は避けたいところだな。


「お前、て、手伝えよ!」

「そいつのヘイトはお前に向いてるからなぁ」

「いや、そういう問題じゃ……いっでぇーーー!」

「わお、強烈」


 いい一撃がバゼルに入った。

 一撃で結構つらそうにしているから、Lvは大体【30】から【40】くらいかな。

 バゼルも負けじとソードファイターのスキル【ヘビィスラッシュ】を放つ。


 おぉ、いいスキルを習得しているな。

 コスパがいい上に追加効果でスタンが発生する優良スキルだ。

 型によっては最後まであれメインで戦うこともある。

 意外とスタン耐性持ちが少ないから、活躍の場面は多い。


 とはいえ、バゼルのHPが怪しい気がするな。

 傷だらけで火属性攻撃も受けてしまった。

 これは通常攻撃に属性がついているだけじゃなく、威力が【1.5】倍なんだよな。


 魔物によっては死ねる威力を繰り出してくるから、属性耐性が重要になる。

 バゼルがひたすら【ヘビィスラッシュ】を放つも、カエントカゲはまだ元気だ。

 スタンも発生しないし、なかなか運がないな。


「助けてくれ! こいつを討伐できるんだろ!?」

「できるけどオレに何のメリットがあるんだよ。お前、オレになんて言ったっけ?」

「悪かった! 謝る! オレは死ぬわけにいかないんだ! あいつに顔向けできねぇ!」

「しょうがないな……」


 オレが【アイシクルLv1】でカエントカゲを討伐した。

 バゼルは助かったと認識した瞬間、腰を抜かしてへたり込む。


「た、助かった……」

「立てるか?」


 バゼルに手を差し伸べた。

 ナイスファイトだったからな。

 立たせてやるくらいは――


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【火の鱗】をドロップした!

【トカゲの尻尾】をドロップした!

【火輪の耳飾り】をドロップした!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 来た!

 オレは思わずバゼルの手を離してしまった。

 火輪の耳飾りこそがオレが狙っていたアイテムだ。

 このアクセサリは火属性攻撃の威力を【1.2倍】に高める。


 これが【ファイアボールLv10】の多段ヒットに乗るんだ。

 威力が格段に跳ね上がるだろう。

 いやー、よかった。一生ドロップしないかと思っていた。


「いてて……」

「おっと、悪かった。立てるか?」

「今の流れでよく手を差し伸べられるな、お前……」

「悪かった。立てるか?」


 バゼルが尻を押さえながら今度こそ立った。

 オレとしてはここでやめるのはなんだかバツが悪い。

 今度こそしっぱりとバゼルを立たせて完了だ。

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