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VS ベノムフライ

━━━━━━━━━━━━━━━━

ベノムフライ

Lv  :41

HP  :859

MP  :0

使用スキル:【毒攻撃】【毒鱗粉】【急降下】

弱点:火

━━━━━━━━━━━━━━━━


 初手ファイアボールでオレがしっかりとターゲットを取った。

 こうしないとベノムフライは繭の時に攻撃した少年シーフを狙ってしまう。

 オレを認識したベノムフライが羽を動かして揺れ動く。


「ブライン!」


 オレは【ブラインLv1】をベノムフライにかけた。

 これは暗闇状態にして敵の命中率を下げる魔法だ。

 Lvが上がると成功率が上がるが、Lv1でもそこそこ使える。

 

 ベノムフライは暗闇耐性がないからほぼ確実に効いてくれた。

 ウィザードはこんな風に魔法ダメージ以外の強さもしっかりある。

 そのためにはしっかりと相手に効く状態異常を把握しなきゃいけない。


「すっげー! 暗闇ならオイラも!」

「ダメだ! 暗闇でもしっかり当ててくることはあるし、お前の短剣じゃほとんどダメージソースにならないからな!」

「がーーん!」


 ベタな反応しやがって。だけど事実だ。

 シーフは【追加攻撃】のおかげで手数が多いけど、短剣の一発あたりのダメージは低い。

 下手に戦闘に参加させて死なれたら元も子もないから、ここはオレ一人のほうが都合がいいんだ。


「ピギャアァァ……!」

「虫野郎がキレてるな」


 ベノムフライの動きは何パターンかある。

 羽ばたいて宙を舞う動きは不規則に見えて、何も知らなければ攻撃を当てることすら難しい。

 アーチャーがいれば比較的楽に討伐できるけど、接近を許せば終わりだ。


 毒状態は時間経過でHPが【1/16】ずつ減っていく。

 更に受けるダメージが1.5倍に増えてしまう。

 被ダメージが増えるのもやばいが、今のオレにはスリップダメージのほうが怖い。


 このスリップダメージを受け続ければ当然HPがゼロになる。

 せっかく勝っても毒殺されてしまったら意味がない。


 ベノムフライがかすかに揺れると同時にオレは左に動いて回避した。

 直後、バッサバッサと直進して飛ぶ。

 ベノムフライの事前のモーションで次の動きをある程度は予測できる。

 暗闇状態のおかげで狙いが定まってないのも追い風になっているな。

 

 次は直進、次は左に揺れ動いてから右旋回、次は右に揺れ動いてから左旋回。

 すべてのパターンを叩き込んでおけば素早さが最低値でも回避するのは不可能じゃない。

 ただし元々素早さが足りてないから、本当にギリギリだ。


 事前モーションを見極めて動くなんて、もちろん口で言うほど簡単じゃない。

 似たようなモーションが多くて見極められるのは極一部のプレイヤーのみだ。

 オレもゲームで何回も死んで覚えたからな。


 ベノムフライがオレに向けてふわりと飛んでくる直前、オレは二発目の【ファイアボールLv10】を叩き込む。

 今のは急降下モーションだ。これは威力は大きいけど、隙も大きい。

 器用さに振ったおかげで奴よりも速く【ファイアボールLv10】を叩き込むことができた。


「ピギャアァッ!」

「よしっ! 火傷が入った!」


 ここでオレの狙い通りのことが起こる。

 ベノムバタフライが火傷状態になった。

 【ファイアボールLv10】になると、一定確率での追加効果が発生するのだ。

 火傷状態は毒と同じく少しずつHPが減る上に攻撃力が半減する。


 攻撃力が半減したなら、今のオレでもギリギリ一発は耐えられる。

 もう一つ重要なのはスリップダメージだ。

 おかげであと一発、【ファイアボールLv10】を当てれば早い段階で自滅を狙える。


「あと一息じゃん!」

「黙ってろ!」


 少年シーフがはしゃぐ気持ちもわかるが、まだ決着がついたわけじゃない。

 暗闇と火傷状態とはいえ、毒鱗粉をまかれたら面倒だ。

 グリーンポーションを一つストックしているけど、しょせん一つだからな。

 狩場から町に帰るまでが狩りとはよく言ったものだ。


 ここで追撃したいところだけど、ベノムフライの様子がおかしい。

 ベノムフライの動きがほんの一瞬だけ止まったからだ。

 オレは咄嗟にその場から離れる。

 その直後、ベノムフライから【毒鱗粉】が放たれた。


「あぶねっ! 離れて息止めてろ!」

「わ、わかった!」


 少年シーフと共にオレはベノムフライから距離を取った。

 これがあるから、まとまって戦っていたら大変なことになる。

 毒鱗粉が不発と見るや、ベノムフライがまたひらりひらりと動いた。


 火傷のスリップダメージ込みであと一発だ。

 ベノムフライは【急降下】を仕掛けてきたけど、そりゃ悪手だよ。

 ただでさえモーションがわかりやすい上にお前は暗闇状態だ。

 

 お前は勝負を焦った。

 回避した後でオレは遠慮なく【ファイアボールLv10】で止めを刺した。


「ピギャアァッ!」


 ベノムフライが炎で散っていく。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ウィムはLv【27】 → 【32】に上がった!

クラスLvが【9】 → 【11】に上がった!

【蝶の羽】をドロップした!

【鱗粉】をドロップした!

【ベノムフライの魔石】をドロップした!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「い、いらねぇ……!」


 おい、ちょっと待てや。

 こんなところで運なんか使いたくないんだが?

 ドロップしたものはしょうがない。


 落ち込んでいても始まらないからステータスや振り分けといこう。

 スキル共にすでにプランはできている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

器用さ:27【+3】 → 【30】 UP!

素早さ:1【+2】  → 【3】  UP!

SPを【1】消費して【魔力アップLv1】を習得した!

魔力補正が【+1】された!

SPを【1】消費して【アイシクルLv1】を習得した!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 少し予定変更して素早さに振ることにした。

 どうもゲーム以上にこの素早さは自分の動きに影響しているみたいだ。

 ベノムバタフライ戦でそれがよくわかったよ。


 そして忘れちゃならないのがこの【魔力アップ】。

 魔力補正だけ考えたら割に合わないのだけど、オレが目指すスキル習得のためだ。

 アレさえ出てくれたら、魔法の威力がまた上がる。


 よしよし、いいぞ。

 なんてニヤニヤしていたら、少年シーフがオレをじーっと見ていた。


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名前   :ウィム

クラス  :ウィザード

Lv   :32

クラスLv:11

HP   :195

TP   :373 クラス補正+10

力    :1

体力   :1

器用さ  :30

魔力   :8  クラス補正+7 魔力アップ+1

速さ :3


装備 :布の服


スキル:【ステータス】【ファイアボールLv10】【ブラインLv1】【魔力アップLv1】【アイシクルLv1】

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