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クロスホープ VS 鉄人団

 GVG当日、冒険者協会には多くの冒険者達が集まっていた。

 当のオレ達が冒険者協会の建物に入ることすらできないんじゃないかと思ったほどだ。


「お! 来たぞ! あれがクロスホープじゃないか?」

「先頭を歩いているのがギルマスか? 美人すぎる……」

「おい、ウィザードがいるぞ……大丈夫なのか? ホントに獣の穴を攻略したのか?」


 クロスホープVS鉄人団のGVGは公開制にしてあるとはいえ、なかなかの人数だ。

 公開にすれば冒険者協会で情報が共有されて、大々的に告知される。

 ギルドの宣伝としてはこの上ない方法と言えるだろう。


 宣伝が成功すれば他ギルドに認知されて縁ができる可能性があるからな。

 合同でギルド狩りなんかも行えるから、知名度は高いに越したことはない。

 面倒なことはないこともないが知ってらえるメリットに比べたら微々たるものだ。


 それにしても告知されるとはいえ、クロスホープはそこまで有名なギルドなのか?

 獣の穴を攻略しただけでそこまで知名度が上がるとも思えない。


「シェリナさん。クロスホープは設立して二年だよな? なかなかの人気だな」

「というより祭り好きが多いんだろう。GVGは冒険者だけじゃなく一般人も観戦する」

「あ、そうか。一般人の存在を忘れていた」


 言われてみればゲームと違ってこの世界には一般人が心を持って生きている。

 そっちで情報が共有されていても不思議じゃない。

 すでに酒瓶を片手に楽しむ気満々の男達が目についた。


「シェリナちゃーーん! 終わったら飲みにいこうぜぇ!」

「あのアーチャーの子めっちゃかわいいじゃん!」

「メルチャ! またいい酒が入ったら売ってくれよな!」


 男達に女性陣が人気だな。

 どこの世界にもそういうのチェックしてる連中がいるわけか。

 ていうかメルチャの行動範囲が広すぎるだろ。一般人相手にも商売しているのか。

 あいつがクロスホープにいてよかったとたまに思う。


「ほんなら二百年ものの怒龍はどうや?」

「入ってるのか!?」

「メルチャ、商売は後にしてくれ」


 メルチャの腕をシェリナさんが引っ張る。

 隙あらば商売をする奴だから、しょうがない。


「な、なんだかすごいなぁ。兄貴、オイラ緊張してきたよ……」

「なに、オレが言った通りに動けば問題ない」


 初のGVGの上にこれだけの人数がいるんだから、そりゃ緊張するだろう。

 フーイーなんか距離感も忘れてオレ達からまったく離れない。

 これが戦いになれば百発百中のアーチャーだからな。皆、驚くぞ。


「鉄人団も来たぞ!」

「鉄人団か……昔はすごかったけど今はなぁ」

「いや、でも見ろよ! あの装備すごくないか!?」


 どうやら鉄人団も来たみたいで、ギャラリーに驚きを与えているようだ。

 GVGともなれば装備を新調するのは珍しいことじゃない。

 というか当たり前だ。対人戦は魔物戦とは違うからな。


 鉄人団もそれを理解していただけのこと――いや、なんだあれ?

 ブランタークを含めて、全員の装備が軒並み高級品になっていた。

 特にデッセンの奴、あれは地竜の剣か?

 確か相場が600万ゼルもする片手剣で、追加効果で【ストーンバレットLv4】が発動する優れものだ。


「やぁやぁ! 今日は鉄人団が行う公開処刑にこんなにも多くの方々に集まってもらって大変嬉しいである!」

「オラオラァ! 道を開けろやァ! ビルキット様のお通りだぁ!」


 ギルドマスターのブランタークに落ち武者頭のデッセンはわかる。

 もう一人、金髪の前髪をかきあげながら気取って歩いてきたのは見慣れない奴だ。

 あれはプリーストか? あんな奴、鉄人団にいたか?

 ビルキットって誰だ?


「フフフ、たまには平民の道楽に付き合うのも悪くないね」

「ビルキット様! あれがクロスホープですぜ!」

「おや、すでにいたのか。一般人と変わらない身なりで気がつかなかったよ」


 ビルキットとかいう奴がつかつかと歩いてやってくる。

 やけに偉そうな奴だけど、これはもしかして助っ人か?

 だとすると鉄人団の奴ら、少しは自分達の立場をわかっていたわけだな。

 助っ人がなければ勝てないという最低限の戦力分析はできていたことになる。


 で、こいつは誰だ?

 さっきからオレを見てないか?


「君達がクロスホープか。噂はほんの少しだけ聞いているよ。なんでもケツの穴を攻略したんだってね?」

「獣の穴だ。私はギルドマスターのシェリナ、あなたは?」

「僕はビルキット、ブルデロン家の当主ウルデンの息子さ」

「ブルデロン家……。これは失礼しました。まさか鉄人団に加わっているとは……」

「まぁ僕はただの道楽なんだけど、パパがどうしてもそこにいるウィザードが許せないって言うものだからね」


 ブルデロン家って確かキラキラボックスを見せびらかしていたデブ貴族のことか?

 ウルデンって名前だったんだな。しかも割と有名みたいだ。

 こいつら、ゲームにも出てこなかったんだよな。


 どうもゲームとこの世界は完全に同じというわけでもなさそうだ。

 シェリナさん達だってゲームでは存在してなかったからな。


「まさかお前の父親がオレに逆恨みしているってのか?」

「聞きしに勝る無礼者だね。口の利き方も知らないわけだ」

「あいにく平民の道楽に付き合う貴族様と接する機会があるとは思わなかったもんでね」

「なるほど、こいつは確かにいけ好かない奴だ。パパが言った通りだよ」


 沸点の低さとプライドの高さは父親譲りだ。

 装備を見るとなかなかいいものを持っている。

 貴族が冒険者をやったらそりゃこうなるか。

 オレ達と違って資産の上限値がまるで違うからな。


 他の奴らもいい装備を与えられてえらい上機嫌だ。

 落ち武者野郎のデッセンなんかずっとニヤついてやがる。


「おい、クソウィザード! ゴブリンレイドの時と同じだと思うなよ! この装備を見りゃ嫌でもわかるはずだ!」

「あぁ、そうだな。こりゃ確かに違う。気をつけないとな」

「ハハハハッ! ようやく自分の立場を理解したか! ざまぁねぇなぁ!」

「お前、勘違いしてないか? オレは『お前が気をつけないとな』って言ったんだ」

「あ?」


 デッセン含めて鉄人団の全員が言葉を失った。

 やれやれ、こいつらもしかしてまだ自分達の状況を理解してないのか。


「なにほざいてやがる。どう見ても気をつけるのはお前だろうがよ」

「そりゃオレ達も気をつけるさ。でもお前らは別の意味で気をつけろよ」

「コラァ! どういう意味だぁ!」

「そのままの意味だ」


 デッセンが鼻息を荒くして、ブランタークが首を傾げた。

 デッセンはともかくギルドマスターは薄々気づいているのかもな。

 何にせよこいつらはユユルを傷つけた。

 その点においては一切容赦する気はない。


「デッセン、調子こくなら今のうちだぞ。じゃあな」

「お、おい!」


 そろそろGVGが始まる。

 オレは踵を返して控室へと向かっていった。

 そこで最後の作戦会議を終えてから、専用のGVGフィールドへと向かう。

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