獣の穴 1
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名前 :ウィム
クラス :ウィザード
Lv :43
クラスLv:26
HP :302
TP :533 クラス補正+30
力 :1
体力 :1
器用さ :34
魔力 :8 クラス補正+15 魔力アップ+11
速さ :10
装備 :アークワンド
スロット1:ゴブリンリーダーの魔石
ワンダーバックラー
古代魔術師のローブ
時空の帽子
火輪の耳飾り
ブローチ
スキル:【ステータス】【ファイアボールLv10】【アイシクルLv1】【ブラインLv1】【ポイズンLv1】
【魔力アップLv5】【術式研究Lv9】
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名前 :ユユル
クラス :ヒーラー
Lv :15
クラスLv:7
HP :116
TP :80 クラス補正+4
力 :8
体力 :2 クラス補正+1
器用さ :4
魔力 :13 クラス補正+2 魔力+6
速さ :2 +3
装備 :グランドメイス
ワンダーバックラー
風霊の髪飾り
疾風の服
ブローチ
ブローチ
スキル:【ステータス】【ヒールLv2】【杖修練Lv7】
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名前:グランドメイス
分類:杖
スロット数:1
効果:物理攻撃力+65
攻撃時、低確率でスタンが発動する。
名前:ワンダーバックラー
分類:盾
スロット数:1
効果:物理防御力+11 回避率2%
名前:疾風の服
分類:鎧
スロット数:1
効果:物理防御力+20
素早さ+3、低確率で物理攻撃を回避する。
名前:風霊の髪飾り
分類:兜
スロット数:1
効果:物理防御力+6
戦闘中、低確率で素早さが上昇する。
名前:ブローチ
分類:アクセサリ
スロット数:1
効果:魔力+3
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「あ、あの、こんなに高価なものを買っていただけるなんて……いつか必ず代金をお支払いします!」
「いや、代金はいらない。お前の将来への投資だと思っているからな」
あのクソ貴族の件も相まって、つい熱くなって装備を整えてしまった。
一応、手持ちの金だけで揃えられる範囲で揃えてみたけどたぶんいい感じだと思う。
本当は防御寄りの防具を揃えたかったけど、さすがに今は手が出ないからな。
ローゼンクロイツのあの人に安く装備を売ってもらったおかげで予算に余裕ができた。
おかげで殴りヒーラーとして最低限の装備を揃えられたのは大きい。
武器はメイスだ。実は【杖修練】の補正はメイスにも乗る。
前世では周知されていたけどこの世界ではどうだろう?
ユユルにこの事実を告げると目玉が飛び出すんじゃないかってくらい驚いてた。
ユユルが疎いだけなのかどうか、これだけじゃ判断できないな。
ヒーラーはウィザードよりも装備できる防具が幅広い。
前衛クラスに近い防御力が高めの防具を装備できるのが強みだ。
同じ魔法系のクラスでも、ここがウィザードと違う。
ただグランドメイスはかなり優秀な武器だ。
正直、これは他の前衛クラスも欲しがっていると思う。
低確率とはいえ、スタン効果さえ発動すればどんなに速い敵でも必中で攻撃を当てられる。
もちろん味方にも言えることだからスタンは怖い。
我ながらお人好しかもしれない。
ユユルの境遇をオレに重ねている感は否めないが、これでもオレなりのささやかな反逆だ。
だから人助けなんて綺麗な言葉で飾りたくない。
「でも……」
「気にするな。それより次は狩場へ向かうぞ」
「うーん、でも無料というのも……そうだ! 肩をおもみしましょうか!」
「また今度な」
オレはご主人様か。そもそも対価として釣り合ってないんだが。
どうも天然というかよくわからんところがあるな。
まぁ決して安くないものを買ってもらって恐縮する気持ちはわかる。
* * *
狩場は迷ったけどフェルムの森西部にあるダンジョン、獣の穴だ。
ややムルクード王国方面に位置するこのダンジョンは文字通り獣系の魔物が生息している。
全部で五階層からなり、一層と二層は比較的初心者でも戦いやすい。
状態異常を放ってくる魔物が生息していないのもグッドだ。
一応、ヒーラーは毒を治療する魔法を覚えるけどユユルにそんなものに振っている余裕はない。
ここが支援特化型とは違ってつらいところだな。
「ウィムさん。本当にここで大丈夫なんですか?」
「大丈夫かどうかはお前次第だ。Lvや装備も大切だけど、もっとも大切なのはプレイング……じゃなくて動き方だからな」
「なるほどですね。実戦経験あるのみですね」
「そういうことだ。幸いここの魔物は小賢しい攻撃をしてくる奴は少ないし経験値も悪くない」
本当のことを言うとLv【15】のユユルには少し早い。
だけど装備品とオレを加味すれば十分いける。
適度な相手で自分のHP管理を行えば、いざ支援に回った時も動きやすい。
支援が適切な判断を下せばパーティの生存率はグッと高まる。
つまり支援と前衛を兼任できる殴りヒーラーだから覚えることは多いな。
今は自分のことを考えて戦ってもらいたい。
「さっそく来たぞ」
「わっ! うさぎぃ!」
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キラーラビット
Lv :17
HP :104
MP :0
使用スキル:【突進】
弱点:なし
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獣の穴最弱の魔物がやってきたな。
このLvにしてはやや動きが早いが、装備のおかげで負けることはないだろう。
ユユルはさっそく事前に教えた通りに戦いを始めた。
初めての近接戦ということでやっぱり苦労しているな。
キラーラビットは大した魔物じゃないからダメージはかなり低いけど、ユユルはあたふたして余り動けていない。
「は、はやっ!」
「軽く一回跳ねた後は突進してくるぞ! 相手をよく見ろ!」
「はひぃ!」
「落ち着いてヒット&アウェイを意識しろ!」
スパルダだけどオレは手心を加えるつもりはない。
ここはゲームと違って一度死ねば人生ゲームオーバーだ。
優しくして生き残ることができるならオレはいくらでも優しくする。
ユユルが傷つきながらもグランドメイスを振ってキラーラビットに当てた。
残念ながらスタンは発動しなかったけどいい感じだ。
「ちぇりあああぁーーーーーーーーーーッ!」
二度目の【突進】を回避しつつ、ユユルがグランドメイスをスイングしてキラーラビットを倒した。
すごい雄叫びだな。どこからそんな声が出るんだ。
自分で教えておいて何だけど、大人しそうな見た目なのにメイスを振る姿のギャップがすごい。
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【獣の毛】をドロップした!
【うさぎ肉】をドロップした!
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「やりましたぁーーーー! ウィムさん、ぶっ殺しましたぁ!」
「お、おう。あまり大きな声は出さないようにな」
「はっ!? すみません……」
急にしおらしい声に戻ったな。
うん、こいつはもしかしたら素質ありかもな。
動き方も大切だけど、あの勝気な気質は前衛向きかもしれない。
ドロップアイテムを忘れず拾っておこう。
獣の毛はあまり高くないけど塵も積もれば山となる。
うさぎ肉はいざとなれば食べてHP回復ができる優れものだ。
いらなければ冒険者協会に納品すればいい。
討伐依頼じゃないから成功報酬はないけどな。
「よくやった。初めてにしては上出来だ」
「ほ、ほんとーですか? 私、上出来なんですか?」
「下手な前衛より動けていたぞ」
「う、嬉しい……」
ユユルが気恥ずかしそうに頬をかすかに赤くする。
オレは誇張抜きでユユルを褒めた。
被ダメージが多かったものの、相手をよく見て動いているのがわかる。
【突進】は前兆があるものの、慣れてなければ速くて回避が難しい。
それなのにユユルは二回目には対応していた。
引くときには引く、出るべき時には出る。
前衛だからといってゴリ押しで前に出ればいいわけじゃない。
タンククラスは除いてな。
ちなみに下手な前衛というのはユユルが所属していた鉄人団のことだ。
ギルドマスターのブランタークを含めてひどいものだった。
無駄に前に出てあっという間に囲まれて、ギルドマスターが怒鳴り散らす。
自分が相手にできる敵の数すら把握してないんじゃ話にならない。
あんなもん駆け出しのヒーラーがカバーできるわけがなかった。
いくらTPがあっても足りんわ。
「キラーラビットは前衛の練習相手にはうってつけだ。まずはこいつでコツを掴もう」
「はいっ! なんかメラメラしてきましたぁーー!」
やる気があるのはいいことだけど、変な方向にいかなきゃいいけどな。
グランドメイスをぶんぶん振って次の敵を今か今かと望んでいる。
下手に自信をつけ始めた時が厄介だから、オレがしっかりと制御しないと。
あわよくばクロスホープに勧誘するつもりだからな。
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