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7話

この物語は、日本を舞台に作られておりますが、並行世界(パラレルワールド)としての日本という設定になります。


現実世界とは、似て非なるものとして作品をお楽しみ下さい。


また、この作品に登場する人物や、国名、地名、政党名、政治内容など全てフィクションです。

(北嶺邸)


「何だこの速さは!?」


「ええ、凄まじいですね。」


「お母さんは、速すぎて良く見えなかったわ。」


私達家族は、父の要望で、昨晩発射されたノコーシュのミサイル映像を鑑賞している。この映像は、天に映像魔法"ミルチューブ"を遠隔発動して貰った時のものである。ミサイルが水平線の向こうから表れて、こちらに向かって接近して来る様子と、ミサイルの斜め後方より並行して撮影しながら、異空庫へと吸い込まれる様子が収められていた。確かに、表れたと思ったミサイルが直ぐにこちらに接近した様子を見ると、数分で日本に到達してしまう理由も頷けてしまう…。


「あらあら。黒い雲谷(もや)の様な所に吸い込まれて消えちゃたわ。」


「母さん、あれが異空庫ですよ。」


「魔法って凄いのね?」


「そうですね。でも科学だって、とても凄いと思いますよ。」


ノコーシュからの弾道ミサイル発射は、その後も日本に向けられて続いていた。しかし、天によるミサイル捕獲システムより、新日本海上で全て異空庫に捕獲されている。これまで、捕獲したミサイルは、23個。全てが新日本海上で消息不明になっており、この件に関して、疑問の声や、不安の声が上がっていた。


「ふぅ~。」


「父さん、随分とお疲れですね。大丈夫ですか?」


「あぁ。ありがとうな。ノコーシュのミサイルの件だがな…。あれは、本当に大変だぞ。この科学の世界で、未瑠叶の魔法のことを説明しても、絶対に理解はして貰えないからな。国家機密だと吹かしたのはいいが、総理や周辺の諸々から国家機密の内容を問い詰められる始末だ。まあ、それは謎の民間団体が秘密裏に捕獲したのだと説明して置いたがな。」


「なるほど…。お手を煩わせてしまって、申し訳ありません。」


「いいさ。未瑠叶には、随分助けられてるしな。私も、国民もな。お前は、私の自慢の息子だよ。」


「そうよ。未瑠叶は、お母さんにとっても自慢なんだから。」


「父さん、母さん…。何だか照れますね。」


「わっはは。」

「あはは。」


「それにしても、ノコーシュ側は、だいぶ慌てているだろうな。自慢のミサイルが全部封じられてしまったからな。しばらくは自重することだろう。」


「ええ。そういえば、捕獲したノコーシュのミサイルは、どうしましょうか?このまま異空庫で保管し続けることもできますが。」


「いや、出来れば研究機関に引き渡したい。今後の日本の防衛力強化の為には、このミサイルの仕組みを研究しておいた方がいいだろう。」


「確かにそうですね。それなら、そのうち匿名か何かで、謎の民間団体として防衛省に接触しないといけませんね。ミサイルの受け渡しがありますから。」


「そうだな。流石は私の息子だ。私の意図が分かっているようだな。未瑠叶、済まないが力を貸してくれ。」


「はい。勿論協力しますよ。」


「ありがとう。実は、もうある程度は考えていたのだ。民間団体とは、未瑠叶が活動する際の仮の組織の事だ。名付けてJAWT(ジャウト)だ。」


「ジャウト?ですか?」


「Japan Wizard Teamを略している。」


「日本 魔法使い チームですか。」


「そうだ。」


「ジャウトですね。わかりました。」


父の提案により、私が秘密裏に国防に関わる場合には、ジャウト(JAWT)という組織として国と接触することになった。これは、魔法により、北嶺未瑠叶と言う存在が表沙汰にならないのを前提としている。父が言うには、ジャウトは、いずれはテロ組織として国に扱われるだろうが、絶対に足がつかない私ならば、問題はないのだと言う…。


父の働きにより、ミサイルはジャウトより、極秘に防衛省に渡った。その後、防衛省より五菱(いつびし)工業に引き渡され、日本の兵器用に研究されることとなった。


ーーー


《五菱工業 B倉庫》


ミサイルが五菱工業に受け渡しされた後、父と私は、現地視察と言う名目でミサイルが置かれている工場へお邪魔した。


「未瑠叶。弾道ミサイルって、実際はこんなにデカイんだな。」


「ええ。本当に大きいですね~。」


目の前にあるミサイルは、全長が二十メートルを超えており、かなり迫力があった。二人でミサイルをじっくりと観察している所で、工場の所長さんがやって来た。


「大臣、お疲れ様です。良く捕獲できましたね。しかも23個も。一体どうやったのです?」


「やあ、所長さん。ご苦労さまです。実は、これは、国家機密に含まれる内容でしてね、お話できないのですよ。」


「ああ。なるほど…。」


「所長さん、これらのミサイルは、役に立ちそうですか?」


「勿論ですよ。ただ、我々の扱っているエンジンとは、だいぶ形相が異なっておりますね。まあ、極音速ミサイルですしね。大変興味深いです。」


ミサイル技術に関しては、日本はまだまだなので、大量のサンプルは非常に有難いのだそうだ。防衛省としても五菱工業と協力し、国土防衛の為の柱の一つとして、研究・開発して行くそうである。


ーー 3日後 五菱工業 B倉庫 21時47分 ーー


「やはり、現れましたね。そろそろだと思っていましたよ。」


私は、ノコーシュからの諜報員(スパイ)が現れるのを事前に予想していた。実は、ジャウトとしてミサイルを防衛省に受け渡した後、五菱工業への移送を警戒していた。その際に、諜報員の車に尾行されていることは、魔法で気づいていたのだ。流石に突入するタイミングは予想出来なかったので、通信魔法"侵入通知"にて倉庫内に侵入者が来た際に、通知が入るようにしておいた。私は、魔法による通知を受けてテレポートにて移動し、今に到る。


「貴様は、何者だ?我々の言葉がわかるのか?」


「えぇ。様々な言葉に対応できる能力がありましてね。それで、どうしていらしたのでしょうか?とお聞きするのは愚問でしょうかね。」


「直ぐに立ち去れ!邪魔しなければ殺しはしない。」


「ここの警備をお任せされておりますので、それは少し無理な相談ですねぇ。あなた方こそ、無事に祖国に帰りたいのなら、今すぐ回れ右して撤退することをお勧めしておきます。」


「ふん。それは無理な相談だ。死ね!」


黒ずくめの男達は、一斉に私を取り囲み、サバイバルナイフの様な刃物で切りかかってくる。


《能力向上魔法"ステータスアップ"を代理発動します。マスターの筋力をはじめとした、様々な身体能力が向上しました。》


《天、ナイスタイミング!》


「おっと、こちらは丸腰ですよ?こんな幼気(いたいけ)な青年をあなた方は殺めるのですか?」


「よっと。さっと。ほいっと。」


(情報魔法"鑑定")


名前 ロク・サンキ

年齢 42歳

性別 男性

国籍 ノコーシュ

所属 ノコーシュ大宝特殊諜報局

説明 ノコーシュ大宝特殊諜報局の諜報員。幼少期からの英才教育を受けている。諜報員であるが、暗殺のプロでもある。

所持品 サバイバルナイフ 82型拳銃(サプレッサー付き)


「貴様!ちょこまかと。」


「へぇ。皆さんノコーシュのスパイなんですか。なかなかやりますねぇ。」


私は、知っていながらワザとらしくそう言った。相手のナイフは、鋭く空を切る。殺すことに対して一切の躊躇(ためら)いは感じない。


私は、背後から突き攻撃、前方から首を狙った攻撃が入るのを察知する。そして、後方からの男の攻撃を、一瞬で右側へと回避し、左手を使って、ナイフを持つ右腕を掴んだ。私は、掴んだ右腕を、前方から私の首を()ねようとしている男の胸部へと誘導した。


Gusa!

Shu!


後方から突きの体勢になっている男のナイフは、前方の男の胸部へ、前方の男のナイフは後方の男の首へ、双方が互いにそれぞれを傷つける状況になった。前方の男の胸部からは、大量の出血が見られており、膝を付いて崩れ落ちた。後方の男は、首元から血液が噴き出しており、自らの手で首を抑えながら倒れ込んだ。


「貴様、よくも!」


「自分達で自分達を傷つけただけでしょう?私は攻撃していませんよ。攻撃したのは、あなた方です。相手を殺そうとしている人間が、まさか自分だけは殺されないとでも思っているのでしょうか?それは慢心です。私は、常に自分が殺される死を背負いながら相手を倒してきました。覚悟はいいですか?」


「馬鹿め。我々が刃物だけだと思ったのか。コレだ!見えるか?」


残された2人が手にしたのは、拳銃であった。銃口の先に更に筒の様な物が見えている。鑑定で知ってはいたが、サプレッサー付きの拳銃を所持していた。


(結界魔法"リフレクト"。)


「ええ。素晴らしい拳銃ですねぇ。しかも抑制器まで付けているなんて手馴れている様ですね。」


「これを見れば、誰もがすくみ上がる。お前を殺してミサイルを回収すれば任務完了だ。今更命乞いしても無駄だぞ。」


「ええ。そのつもりですが。」


「生意気な。じゃあ、死ね!」


Pushn!


静音された特殊な音を立てて、銃口より弾丸が飛び出す様子を目で追っている。能力が向上したことで、動体視力も反射神経も格段に向上している。勿論、(かわ)すことも可能ではあるが、ここは…。


Keen!


結界魔法"リフレクト"の効果が発動する。銃弾は、私の手前で反射し、男の眉間へと命中した。リフレクトは、反射の魔法だ。術者や、術者が対象にした物が攻撃された際、攻撃した者へとそのまま攻撃が返ってくる。眉間にヒットしたのは、天が銃弾の軌道を制御していた為である。男は、悲鳴を上げる余裕すらなく、力無く崩れて絶命した。


「うわぁー!化け物!」


様子を見ていた最後の一人は、慌てて逃げだした。今までは奪う側だった者が、奪われる側になったのを本能で感じ取ったのだろう。


(転移魔法"テレポート")


私は、転移で先回りすると、男の腰に装備されているサバイバルナイフを素早く引き抜き、そのまま胸に突き刺した。


「ぎゃあー。」


「だから、今すぐ帰りなさいって言ったのに…。」


《マスター、時空魔法"異空庫"にて、死体の回収並びに、周囲に飛び散った血痕の回収を完了しました。》


《天、ありがとう。》


《マスターに付着した血痕は、生活魔法"クリーン"で洗浄しますか?》


《お願いします。》


《洗浄を完了しました。》


「さてと…。」


《ムスカ君聞こえますか?》


《ミルカ様、聞こえてるよ~。五菱工業の周囲に停車しているトレーラーは、やっばりノコーシュのスパイだったよ。全員殺してトレーラーも死体も異空庫に入れたよ。》


《そうですか。ご苦労さま。周りに見られないようにやりましたか?》


《もちろんだよ。ミルカ様に言われた通り、隠蔽魔法"インビジブル"に妨害魔法"ジャミング"に偽装魔法"カモフラージュ"も使ったからね~。》


《安心しました。では、家に帰りましょうか。》


私達ジャウトは、こうして秘密裏にノコーシュの諜報員からのミサイル強奪を阻止した。この件は、父には秘密にしており、この事実を知る者は、我々以外は誰もいない。この件は、一生闇に葬られるだろう。


今回は、残忍とも取られる行動であったが、綺麗事では済まない状況は、今後も迫られることになるだろう。自分の油断や、情の為に大切な命が奪われることは阻止しなくてはならない。今はそういう風に考える未瑠叶であった…。


ーーー to be continued ーーー

◇◇◇ 読者様へ ◇◇◇


お読み頂きありがとうございます。今後の執筆活動のモチベーションに繋がりますので、ブックマーク登録や、↓の☆☆☆☆☆のご評価を頂けましたら幸いに存じます。

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