5話
この物語は、日本を舞台に作られておりますが、並行世界としての日本という設定になります。
現実世界とは、似て非なるものとして作品をお楽しみ下さい。
また、この作品に登場する人物や、国名、地名、政党名、政治内容など全てフィクションです。
「そうか…。わかった。」
「遂に衆議院が解散することになった。総選挙の準備をする。」
父さんや徒党を組んだ議員の働きにより、周辺国の諜報員と繋がっていた議員が多数が逮捕された。政治資金が周辺国から議員個人へ流れており、その見返りにその国へ便宜を計っていたようだ。私が提示した証拠が決定的となり、合計162名の議員が議員資格を失い、逮捕された。
衆議院の3分の1の議員が不正を働いていたことは、メディアで大変話題となっていた。そして、この件によって国会議員に対する国民の信頼は地に堕ちてしまう…。衆議院は、大量の議員を失い大混乱である。結局、衆議院は解散し、総選挙を行うことになった。
父の所属する日本飛翔党は、曽我雅之氏、川合大介氏、藤村喜平氏などの重鎮達や、同じ派閥の仲間も数人逮捕され、党を去って行った。党内も大混乱し、派閥の分裂などが起こっていた。そんな中、今回の騒動で功績を上げ、新たな派閥を誕生させたのは、防衛大臣であった野方義朝氏である。今回、父が徒党を組んで一緒に尽力してくれたのは野方氏であった。野方派には、父や多くの価値観を共有する者たちが集まった。
母や麗美は、私と一緒に選挙で父をサポートした。父は、多くの応援を受けて見事に再当選を果たした。野党は、多くの候補者を逮捕で失い、各党から立候補を立てるので精一杯だったようだ。選挙は、日本飛翔党が圧勝という結果に終わった。選挙の投票率は、今回の騒動で国民からの信頼を失い、過去最低を記録した。
選挙は終わり、総裁選も終了した。新総裁は、野方義朝氏。野方総理大臣の就任が決定した。新内閣の閣僚に父が選出された。父は、今回の件の功績や、防衛副大臣の時の功績を認められて、防衛大臣に就任することが決定した。
今回の議員不正の件によって、スパイ防止法が推進路線に急浮上した。今後、野方新政権の重要な改革プロジェクトの一つとなるようだ。
「父さん、防衛大臣就任おめでとうございます。」
「ああ。ありがとう。みんなのサポートのお陰だよ。」
「今後は、どうするおつもりですか?」
「諜報員からの情報で、わが国は侵略のターゲットにあることが露呈したからな。早急に防衛体制を見直さなければならないだろう。とはいえ、兵器を整えるにはかなり時間がかかる。その間は、未瑠叶。お前達に即応戦力として力を借りることになるだろう。当然、政府として正式に依頼できる訳ではないのだが…。」
「はい。わかっておりますよ。こちらも対応できるように準備はさせて頂きますよ。お任せ下さい。」
「頼んだぞ。」
父が、防衛大臣に就任と同時に、セバスが秘書官として公務に同行することが決まった。普通ならセバスが秘書官になることなど有り得ないが、情報操作魔法を使用して、存在していないセバスの経歴を作り上げた。業務中の名前は、瀬蓮 尊と名乗ることになっている。
瀬蓮 尊
性別 男性
年齢 56歳
住所 東京都
経歴 新東京大学卒業、文部科学省職員、財務省税務局長
上記の通りの経歴が完成した。セバスの仕事に関しては、前防衛大臣秘書官との引き継ぎをする際に、セバスが情報魔法"トレース"を密かに発動し、その方の知識や経験を習得することに成功している。これによって前防衛秘書官と同等の業務の遂行が可能となった。
私は、セバスをはじめとした魔導生命体のみんなには、知能も高くなるように手を尽くしてある。魔法による支援も含めて、父さんの公務ではきっと役立つことだろう。
「さて、レーダーにも反応が有りますし、少々ご挨拶に行きますか…。エンゼル君は、ムスカ君と我が家の警護をお願いします。ロニー君は、私と分担して領空侵犯の対応をお願いします。私は南国諸島沖に行きますので、北斗海沖をお願いします。航空機に対する対応方法は、先日レクチャーした通りでお願いします。」
「マスター、承知しました。」
「ミルカ様、お母さんは任せて。」
「御館様、了解しました。」
私とロニーは、それぞれの場所へ時空魔法"テレポート"にて瞬間移動した。
ーーー
ここは、南国諸島上空。日本の領空識別圏から約50キロ地点。私は、空中に浮かんである物を待っていた。
「おー!絶景絶景!この辺りは、海が綺麗ですね。」
「探知魔法通りでしょうか…あれはツーゴルの戦闘機CN01ですね。合計15機。この地点では、明らかに領空侵犯ですね。では、早速ご退場頂きましょうか。」
私は、飛行魔法"フライ"と転移魔法"テレポート"を駆使して戦闘機に接近する。私は、難なく機体の上に着地した後、右手を翳すと、戦闘機のジェットエンジンからの噴射が突如停止した。同様なやり方で、CN01の15機全てが、機動力を失ってしまう。音速飛行ができなくなり、作戦不能となった機体は、これ以上の侵入を諦めてUターンして帰って行く…。
「じぁあね~。」
私は、CN01の背中を見送りながら手を振った。
Shun!
「ん!?」
突然の気配を察知して振り返る。そこにはロニーの姿があった。
「御館様。任務完了しました。」
「ああ。ロニー君、ご苦労さまでした。突然現れるから、驚きましたよ。やはりアーセナでしたか?」
「ええ。アーセナの戦闘機RFS22が10機。領空侵犯をしていました。御館様の指示通り、ジェットエンジンの燃焼を停止させて、音速飛行能力を無力化しておきました。」
「殺してはいませんね?」
「はい。お約束通りに…。」
「よろしい。では、戻りましょうか。」
ーーー
《北嶺邸》
夜、父が帰宅してから今日の出来事を報告することになった。戦闘機とのやり取りを映像魔法"ミルチューブ"で記録してあるので、実際に観て貰うことにした。
「妨害魔法"ジャミング」
「未瑠叶、何をしたんだ?」
「はい。これから、領空侵犯した戦闘機とのやり取りを動画でお見せします。情報が外部へ漏れないように魔法で対処した所です。」
「お前の魔法は、相変わらず何でもアリなのだな。」
「恐れ入ります。今から映像魔法"ミルチューブ"にて撮影した動画をこのDVDに記録します。テレビで皆さんで観てみましょう。」
「情報魔法"複写"。これで完成です。エンゼル君。」
「お任せ下さい。では、再生致します。」
どうやら、撮影も複写も上手にできたようだ。私が戦闘機に瞬間移動した様子や、魔法でジェットエンジンの燃焼を停止させている様子が映されている。ロニーの分もあるので、観て貰おう。
「未瑠叶。これは、本当にお前なのか?瞬間移動しているし、空を飛んでいるし…。フム。これは、ツーゴルのCN01だな。見事な造りをしている。実際、空自と戦闘になればどれ程の被害が出てしまうか…。恐らく無傷で撃破するのは難しいだろうな…。」
「こっちは、ロニーさんか。これは…アーセナのRFS22じゃないか。新型だぞ。もう完成していたか。ほう…彼も凄まじいな。」
「如何でしょうか?撃破して開戦の理由を渡す訳にもいかず、メカニカルトラブルを引き起こさせてお帰り頂きました。」
「ああ。それでいい。良くやってくれた。ありがとう。まあ、何か言ってくるかも知れないが、知らぬ存ぜぬで押し切るさ。最悪、衛星写真で領空侵犯であることは抑えてある。問題にはならないだろう。だが…。」
「日本側に何か異変があるのでは?と、もう気づいている。」
「そうだ。軍部やら特殊情報局やらが動いて、派手に探りに入るかも知れないな。こちらにも何らかの接触があるかも知れないから注意しないとな。」
「父さんにおいては、セバスがいます。諜報員や、悪意を持った者が接近すれば、セバスがすぐに察知し、対処するでしょう。」
「ああ。そうだな。だが、諜報員が活発化する可能性が高いな。これまでの様に、今後上手く取り込まれる輩が出てくるかもしれないな。まだ、スパイ防止法も可決までは時間がかかる。総理に進言しておくか…。」
その後、総理から与野党関わらず、諜報員に関する情報が全ての議員に送られた。特に野党は、前の一件で大打撃を受けているのでより敏感に対処するだろう。
(恐らくは、完全には防ぎ切れないだろう。それだけ諜報員の手口は巧妙で、厄介なのだろう。)
私は、自分の手の届く範囲では、何とかしてやりたいと、そう心に決めたのであった…。
ーーー to be continued ーーー
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