4話
この物語は、日本を舞台に作られておりますが、並行世界としての日本という設定になります。
現実世界とは、似て非なるものとして作品をお楽しみ下さい。
また、この作品に登場する人物や、国名、地名、政党名、政治内容など全てフィクションです。
《北嶺邸 リビング》
私は、今後の活動を支援して貰う為に、前世で自分が造り上げた魔導生命体の五体をこちらに連れて来ていた。私は、彼らに両親や麗美を警護して貰おうと思っている。そこで、麗美を家に呼んで、三人に魔導生命体の五体を紹介することにした。
「いきなり何だね!?あなた方は…。」
「父さん、落ち着いて下さい。彼らは、我々の味方です。私が前世で造った魔導生命体です。」
「造っただって?いやいやいや。そんなこと…出来る訳が…」
「出来ますよ。父さん。私は、前世では世界一の魔法使いだったのですよ。」
「全く無茶苦茶な…。それで、彼らをどうするつもりなんだ?」
「驚かせてしまって申し訳ありません。日本を取り巻く情勢については、先日父さんに報告した通りです。今後、私だけでは手がまわらなくなりますし、父さんや母さん、麗美君の安全が心配です。彼らには身辺警護をお願いするのと、私だけでは対処困難な案件には協力して貰うつもりです。」
「未瑠叶の言いたいことは理解したが、私は彼らの能力を知らないのだ。本当に大丈夫なのか?」
「わかりました。では、セワズ君。」
「承知しました。旦那様。浮遊魔法"フローティング"。」
セワズが右手を軽く挙げて魔法を放つ。父は、そのままフワッと浮かび上がり、宙に浮いた状態になる。
「ミルパパ、すご~い。浮いてるわ。」
麗美は、初めて目にした魔法に目を輝かせている。ミルパパというのは、麗美が父を呼ぶ際の愛称である。
「う、うわぁ。またか!わかった。もういい。降ろして貰えるか。」
「承知しました。大旦那様。」
セワズが魔法操作して、父は元の位置に戻っていた。
「クスッ。ミルパパったら…。」
「あの人、だいぶ慌てていたわね。怖かったのではないかしら?」
「おい、二人とも聞こえているぞ。」
麗美と母は、昔から仲が良い。母と麗美の母は、親友でご近所様なので、家同士がずっと付き合いがある。父や母は、昔から麗美を娘の様に可愛がってくれていた。
「セバスさんでしたかな?大旦那様とは?」
「"セワズ"でございます。創造主たる旦那様の父君でいらっしゃるので、大旦那様と呼ばせて頂きました。」
「なるほど…。では、本当に息子があなた方を?人間にしか見えないが…。」
「真実でございます。大旦那様。私供は、旦那様に魔法を使って生命を吹き込まれております。旦那様の魔法使いとしての知識や腕が優れておりましたので、より人間に近い容姿を授けて頂きました。しかし、本質は、皮膚は特別な魔法繊維で造られており、骨格は…」
「セワズ君。長い…。」
「旦那様、これは失礼致しました。つい余計な事まで。」
「父さん。安心して下さい。彼らは非常に優秀です。申し訳ありませんが、総理のSPとは比べ物にならないでしょう。そして万が一、他国の海兵隊や、特殊部隊などが束になって襲って来たとしても、彼らを倒すことは難しいでしょう。」
「そんなにか…。だが、都市にまで敵兵が現れて白兵戦になるのでは遅い。敵国には、高性能な戦闘機に巡洋艦や潜水艦や弾道ミサイルなどの軍事兵器があるのだからな。本来は、上陸させる前に手を打つ必要がある。」
「ええ。仰る通りです。父さんは、ご存知でしょうか?約二週間前に領海侵犯した潜水艦九隻の件です。一斉にトラブルを抱えて帰還したはずです。」
「未瑠叶。何故お前がそのことを?確かにそういった情報は、私の耳にも届いているが、情報封鎖させた情報だぞ。」
「父さん。それは、私が当事者だからですよ。領海侵犯した潜水艦は、私が対応してお引き取り頂きました。勿論、平和的にですよ。魔法でタービンの回転能力に障害を与えました。人命に関わる損害はありません。スクリューの回転能力が低下したり、発電に影響が出たでしょうから、帰らざるを得なくなったのですよ。」
「まさか、それをお前がか?」
「ええ、そうです。海自がそんなことを出来る訳ないでしょう。北も南もほぼ同時期にですよ。」
「うむ。あれはツーゴルとアーセナの軍事演習だったのではないかという事で落ち着いたのだ。そうか、お前だったのか…。」
「未瑠叶よ。お前は、本当に未瑠叶なのか?」
「お父さん。未瑠叶に何てことを…。」
「母さん、いいんですよ。お二人と麗美には真実を話すつもりでしたので。私の構成する魂の半分は、未瑠叶君。半分は、異世界から転生した賢者ミルカなのです。」
シーン…。
突飛なカミングアウトでどうやら三人の理解を得られなかったらしい…。
「マスター、その説明は簡潔過ぎて全く伝わっておりません。」
眼鏡の端を釣り上げながら、エンゼルがフォローを入れた。
「あぁ。えーと。未瑠叶君が脳死判定をされた時のことを覚えていますか?あの時、彼の魂は、すぐにでも消滅しようとしていました。そこで、私の魂に彼の魂を取り込み、融合させる事で未瑠叶君の記憶や感情、意識、彼が構成する全てを残し、大賢者であった私と共存させることにしました。ですから、これまでの彼は私であり、私も彼であるのです。日本を救う為に動いている意思は、当然未瑠叶君の意思ですし、父さんや母さん、麗美君を思う気持ちも、微塵も変わりなく未瑠叶君のものですよ。」
「未瑠叶君。」
「未瑠叶。」
私の話に安心したのか、母と麗美は、涙ぐんで頷いていた。私は、そっと間に入って二人の肩を抱き、優しく摩ってあげた。
「未瑠叶君、これ覚えてるかな?」
麗美がカバンから取り出したのは、古びたマスコット人形"ルメッチ君"である。
「ああ。それは、小学六年生の時に麗美君にプレゼントしたルメッチ君ですね。ガチャガチャで当てたやつ…。良く持っていましたね。」
「喋りは変だけど、やっぱり未瑠叶君だぁ~。ムギュ~!」
「ああ~麗美君、止めなさいよ。父さん達の前ですよ。」
「まったくお前達は、相変わらず仲良いな。いいよ。存分にやりなさいよ。」
「父さん…。」
「そんな目で見るなよ。男らしく…な。」
どうやら、私のことは、三人に受け入れて貰えたようだ。私は、ホッとして次の通りに切り出した。
「それで、父さん達に付ける魔導生命体ですが…。」
「私は、エンゼルさんがいいかな。議員という職業柄、秘書的な彼女なら自然だろう。」
「痛てて…。美奈子!?」
「あなたは、彼女が美人だからでしょう?この浮気者!」
「えっと、美奈子さん?」
「あなたは、こっちの紳士の方がお似合いです。」
「あぁ。はい。」
「あちゃー。父さん…。」
「五月蝿い。セバスさんだったかな?宜しく頼む。」
「大旦那様。セワズです。」
「セワズ君。父さんは、きっとセバスと呼びたいんですよ。今日からセバスに改名しちゃいましょうか。」
「旦那様。承知しました。では、大旦那様。私の固有名は、セバスとなりました。宜しくお願い致します。」
「私は、ロニーさんがいいわね!未瑠叶、いいわよね?」
(ロニーは、美青年をイメージして造られている。母さん、父さんのことを棚に上げて…やるなぁ。)
「美奈子さんや。」
「何かしら?」
(母さんの目が怖い…。)
「いや、別に…。」
(父さん…。頑張れ防衛副大臣。)
母さんは、美青年ロニー推しだったが、土壇場で前世の私そっくりなムスカに変更した。恐らくは、父さんが気の毒に思えたのだろう。何だかんだ言って、うちの両親は仲が良いのだ。
「私は、この子がいい!」
麗美は、喋る猫型のニャルを選んだ。既に抱き上げて顔をスリスリしている。麗美の猫好きは、相変わらずである。
「主さま~。助けてにゃん!」
「ニャル君…。頑張りなさい。」
「そんにぁ~。」
「きゃあ!この子喋れるの?可愛い!」
どうやら護衛のメンバーは、決まったようである。
ーーー to be continued ーーー
◇◇◇ 読者様へ ◇◇◇
お読み頂きありがとうございます。今後の執筆活動のモチベーションに繋がりますので、ブックマーク登録や、↓の☆☆☆☆☆のご評価を頂けましたら幸いに存じます。




