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灰色ワンピースと黒のスニーカー
「生きろ!お願いだ!生きてくれ!」
僕は必死に心肺蘇生を繰り返した。
灰色の修道服と漆黒の藁靴を身に着けた金髪の少女が道端に倒れていた。
僕はトレーラーに轢かれていたはずなのにトレーラーは僕を通り抜けていなくなった。
そして、人気のない町外れの今はあまり使われなくなった工業団地のこんなところに何故少女が倒れているのか?
どうして僕は無傷なのか?
わからないことだらけだ。
考える事はよそう。
少女が倒れている。
ならば、助けるだけだ。
僕がスマホを持っていれば、救急車を呼べるのだが、そんなものは持っていない。
助けを呼ぼうにも、誰もいない。
だから、僕は必死に彼女に声をかければ、心肺蘇生を試みた。
そして少女の心臓は動き始める
「よかった…」
少年は安堵した。
そのせいか彼は気付けなかった。
彼女の服装が灰色のワンピースと黒のスニーカーに変わっている事に