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七、不自然
「おったか?」
「いや。こっちにもいねぇ。」
陰陽師の面々は手分けして、狒々と新たな陰陽師の仲間を探して山中を駆け回っていた。
性質上、縁のあるもの同士は引かれ合う。そうならば、新たな陰陽師の仲間もこの山の中にいる可能性は高い。そう思って探してみるが、人間の気配は愚か、先程逃げた狒々の気配さえはっきり感じることは出来なかった。
「どうもおかしいな。」
紡さんが腕を組んで、疑問を口にした。
「何がです?」
「気が付かへんか?さっきから気配たどって、ウチらが近くに行こうとする度に、ヤツの気配は反対方向へ逃げとる。まるでウチらの行動を読んどるみたいや。」
紡さんの淡々としたその言い方に、私は少し鳥肌が立った。