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通りすがりの陰陽師2  作者: チャーハン・神代
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五、失礼な

「うひゃー。やっぱり花粉すごい。目痒過ぎ!」


「くしゅんっ。千晶ちゃん、気持ちは分かるけど何回も同じこと言わな…クションッ。あぁあぁああ!」


 私たちは茉恋さんたちと合流し、山中を歩いていた。狒々のせいで発生している風により舞った花粉が、花粉症もちのメンバーを苦しめる。


「少し落ち着きましょうです。私は残念ながら花粉症の方の気持ちが分かりませんが、それ程までに情緒不安定になっていると、狒々に足をすくわれてしまいますよ?」


 若葉ちゃんがそう言った直後、一際強い風が一行の横を通り抜けた。


「ひゃー!」


「もうやだ!」


 花粉から目を守るべく、目をぎゅっと瞑る。


『ヒヒヒヒヒヒ。ひぃ。ふぅ。みぃ。よぉ。これはいい。』


 唐突に山に生えている木々のどこかから、不気味な笑い声が聞こえてきた。


『1人鮮度の悪いのがおるが、暫くの食料には困らんぞ。ヒヒヒヒヒヒグハァッ!』


 ーードサッ。


 うめき声と何かが落ちた音が聞こえると風が収まり、私はそっと開けた。左斜め前に、木から落下したと思われる、草刈り鎌が刺さった大きな毛玉と、顔に青筋を浮かべいる紡さんがいた。

 紡さんが鬼の形相で悶える毛玉に歩みより、それを鷲掴みにする。


「てめぇ。だ〜れの鮮度が悪いって!?もういっぺん言うてみぃ!!!耳の穴から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせ…!!!」


 紡さんが最後まで言い終わる前に、毛玉は彼女の腕を振り払った。あっと言う間に、毛玉ら山中へと姿を眩ます。


「紡さん!大丈夫ですか?」


 眉間に皺を寄せている紡さんに駆け寄り、声をかける。


「…あのやろう。」


 先ほどまで毛玉を掴んでいた紡さんの腕からは血が滴り、獣に引っ掻かれたような傷ができていた。

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