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スリザーリンク回廊 解答編(後)


挿絵(By みてみん)



 くそっ、どうなってんだ! 経路が特定できねえ! なにかルールに見落としがあるのか!?


 俺はヒントを探して周囲を見回した。次に地図を隅から隅まで確認する。だが、何もない。


 ……駄目だ。手掛かりが見当たらない。解くのに必要なピースが足りてねえ!


 このパズルは元来た道を引き返すことはできない。だから俺たちは絶対に見落としがないよう道中を徹底的に確認して進んできた。だから見落としはないと仮定しよう。もし見落としがあったとしても今となってはどうしようもないからな。


 手掛かりが出そろっているなら解けるはずだが……。




 まさか……、解けないのか? このパズルは。ひょっとして……


「出題ミスなんじゃないか?」


 それは、解き師にとっては敗北を意味する言葉だった。





 俺は床に座り込んでいた。意気消沈しながらも紙とにらめっこは続ける。進展はない。


 俺は何か間違っていたのか? どこで間違った? 扉の前でもっと手掛かりを探すべきだったのか? ルールが間違ってるのか? それとも依頼を受けたことが間違いだったのか?


 まずいな。思考が後ろ向きになってる。今考えるべきなのはそんな事じゃないってのに……。


 幸いこのパズルは時間制限らしいものはない。食料も持ってきてるから数日は持つ。いったん休憩するか。


「メル、食い物出してくれ」

「了かーい」


 俺がすっかり参ってしまっているにも拘らず、メルはいつも通り気楽に返して来た。悩んでいるのは俺だけかよ、畜生。


「まあまあ、そんな自己嫌悪しないで。はい、ビスケット」

「サンキューな」


 咀嚼するが唾が出てこない。パッサパサだ。俺は水を口に含み無理やり喉を通した。


 ふうっ。



 …………。


 もう一度見直してみるか。さっきと変わんねーけど。



挿絵(By みてみん)



「それにしても、最初に右に行ってたらよかったね」


 俺の持つ紙を覗き込んで、メルがそんな事を言い出した。


「なんでだ?」

「だって、そうしたら一番右端まで行けて柱を全部確認できたのに」

「ああ、そういう事な」


 確かに初手を右に進むこともあり得た。まだその時はルールを把握してなかったからな、どちらにでも進む可能性があった。


 正解の経路は同じだ。ただ逆回りに通るだけ。初手右ルートはマップの右端までの道のりが確定しているから、残り2つの柱も確認出来て……


 ……ん? いや、違うぞ?


 初手右ルートは右端までたどり着けない! M9分岐点で立ち往生する!



挿絵(By みてみん)



 これが初手右ルートの場合だ。現状ではここから先の経路を決定できない。


 ただし、それは俺が柱N2の数字を知らないからだ。柱N2の数字を仮にXとする。




 そうだ! パズルは正しい順序で考えれば解けるように出来ているはずなんだ!


 すでに必要なヒントが出そろっているはずだ!



 考えろ。初手右ルートはこの先の経路をどう決めるのか。言うまでもなく、Xの値を見て決めるはずだ。


 俺は右に進むのが正解だと知っている。Xがどんな値ならここから右に進む?



挿絵(By みてみん)



 X=1なら右に進むので確定だ。ならX=2は?



挿絵(By みてみん)



 だめだ。確定しない。X=3はどうだ?



挿絵(By みてみん)



 前に進むと確定してしまう。よってX=1だ!



挿絵(By みてみん)



 行ける! 行けるぞ! これで経路が確定する!


 これで完成だ!



挿絵(By みてみん)



「解けた……」

「やったね、師匠!」

「メルに、助けられちまったな」

「私は何もしてないよ。解いたのは師匠」


 全く、よく言うぜ。


 俺の完敗だな。




 その後俺たちは経路に沿って進み、道中に宝箱を発見した。



挿絵(By みてみん)



 宝箱の中には石板があった。外のくぼみに綺麗に嵌まる形だ。これがカギだな。


「ゴールに戻るか」

「了かーい」


 その後、俺たちは何事もなくゴールに到達。石板を使い扉の鍵を解除することに成功した。


 扉の先には25層が広がっていた。そして俺たちはワープポイントから地上に帰還した。




 こうして、俺たちは依頼を達成したのだった。


 久しぶりの空は、晴天だった。


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