プロローグ
全14話、出題は次話からです。
「おのれっ! ルートが絞れん! こんなの出題ミスじゃ!」
白い床、白い壁、白い天井。そこは飾り気のない無機質な空間であった。幅3mはあろうかという広い通路が網目のように張りめぐらされている。老人はその交差点の一つに立っていた。
ここはダンジョンの中である。助けは来ない。老人に出来る事は、一人でこの窮地を脱することのみ。賢者と名高いその老人は必死に頭を回転させ脱出経路を探る。
間違った道を進めば死あるのみ。
前に進むか、はたまた右に進むか。単純な2択だったが、老人はついぞ答えを導くことが出来なかった。ともすれば、後は2分の1の幸運を信じるしか選択肢は残されていない。
「最初の分岐で右に進んでさえおればこんな事には……」
老人の口からはそんな後悔が漏れ出た。
老人はついぞ、ダンジョンから還る事はなかった。
ダンジョン。それは富と名声を求める者が挑む場所。冒険者たちは一攫千金を目指し今日もダンジョンに潜る。
しかしそこにあるのは希望だけではない。財宝を狙う冒険者の行く手を阻むは魔物、そしてトラップ。
否! それだけではない!
冒険者を阻むダンジョンのもう一つの困難。それはパズル!
正解しなければ進めない。正解しなければ死ぬ。そんな凶悪な謎解き要素が存在するのである。
これは、そんなパズルフロアの攻略を専門とする職業、解き師の物語である。
一日一話くらいのペースで投稿していきます。
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