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冒険者登録

今回から一章が始まります。四話更新です、ではどうぞ。

俺と兄さんは冒険者になるために冒険者ギルドに向かっていた。冒険者ギルド-それは世界中に存在し、多くの依頼を冒険者へと凱旋する場所だ。依頼は一市民から国まで、あらゆるところから舞い込んでくる。内容は無限と言っていいほどあり、冒険者は世間の認識的になんでも屋と言える存在だろう。冒険者のランクはFからSまで存在する。何故FからSという形式になったのか、それは過去に転移してきた転移者が前形式の銅、銀、金という形式を細分化し、ランクに適した依頼を凱旋するために用意したらしい。これにより討伐系の死亡者が減ったため現在でもこの形式が採用されている。兄さんと話した今後の方針だがまずはランクを上げることを優先して行うことにした。ランクが上がるとギルドからの優遇措置を受けられ、シスターを探す手掛かりになるからだ。兄さんはCなので俺は追いつくために頑張らないといけない。長考しているといつのまにかギルドについたようだ。なんだか緊張する。自分が冒険者になるという実感がないからだろうか。


「グレイ、緊張しているのかい?」

「い、いや覚悟はもう決まってる。」


兄さんに緊張を悟られてしまった。そんなにわかりやすかっただろうか?


「まあ、そんなに気を張る必要はないよ。なるだけなら誰でもなれる。なってからが本番だよ。」

「ああ、そうだよな。絶対にシスターを探し出すんだ。こんなところで怖気付いているわけにはいかないよな。」


そうだ。俺はもう決めたんだ。必ずやり遂げて見せる。意を決して俺は冒険者ギルドへと入っていく。そこには多くの冒険者、右手には依頼が張り出されている掲示板、左手には酒場、そして中央には受付があった。冒険者になるための手続きをしに受付に向かうと美人の受付嬢さんが笑顔で対応を始めた。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「弟の冒険者登録をしようと思ってね。よろしくね。アイナさん。」

「ゲオルグさんの弟さんですか。受付嬢のアイナと言います。」

「よろしくお願いします。兄さんとはどのような関係なんですか?随分親しそうにしていたので。」


兄さんが孤児院の仲間以外の人と仲良く話しているのをみたことがなかったので質問してしまったが、失礼だっただろうか。仕事として仲良く話しているだけで実はこれといった関係が無かったら気まずい雰囲気にしてしまうかもしれない。


「ゲオルグさんとの関係ですか〜。彼女って言ったらどうします〜?」

「えっ!」

「アイナさん、弟をからかわないでくれよ。グレイは素直な子なんだから。」

「ごめんなさいね、グレイ君。私は彼の担当受付嬢なの。」

「担当受付嬢?」

「冒険者はCランク以上になると担当する受付嬢が固定されるの。このシステムは有能な人はその実力を十分に発揮できるようにその人に合った依頼を掲示板に貼られる前に凱旋するためね。」


兄さんの凄さを具体的に知って自分が追いつけるかどうか不安になる。兄さんが五年かけてなったランクに俺は果たしてなれるのだろうか。


「まあ詳しいことはあなたがCランクになったら話すわね。今日は登録に来たんでしょう。」

「あ、はい。」

「じゃあ登録の手順を説明します。まずは名前、そのあとは加護の量と魔力について調べて登録完了です。ちなみに冒険者には登録後、冒険者カードが渡されます。これは謂わば身分証みたいなものだから無くさないようにしてください。」


アイナさんは仕事モードに戻ったのか、敬語に直して話し始めた。


「名はグレイで姓はチェスティーノです。」

「グレイ、姓は持ってる人が少ないから登録の際は必要ないんだよ。」


姓を持っているのは貴族を除いては施設の名前を姓としている人だけなので納得だ。


「では神の加護の量を測定します。ついてきてください。」


アイナさんに連れられてくるとそこには様々な大きさの銀色の鉱石があった。


「アイナさん、これは何ですか?」

「それは神の加護を持ったメタルという特殊な鉱石よ。」


神の加護-それは例外はあるが人間と魔獣がもつものである。それは多ければ多いほど身体能力や魔法の力が強くなる。生まれたときの加護の量は千差万別でその後増やすには魔獣を滅するという方法しかない。また生まれたときの加護の量の多くはは両親の加護の量に影響されるらしい。増えかたも生まれつき多い方が増えやすいので生まれつき加護が多いのはいいこと尽くめだ。このメタルというものはその例外の一つだろう。


「加護の量を測るってどうやってやるんですか?」

「加護は同程度の量をもつものに共鳴します。相手を意識して共鳴の感覚が有れば大体同じ量の神の加護を持っているということです。逆に差がありすぎると共鳴の感覚がないのでわかりません。」

「つまりこのメタルに共鳴を起こしたら量がわかるってことですか?」

「その通りです。このメタルというのは大きいものほど加護を多く持っています。また同程度の加護の量を持つものに触れられることで発光します。10段回に分けられてでは大きいのから順に触っていってください。」


俺は言われた通りに大きい順に触っていく。しかし一番小さいやつの手前まで触ったのに一切反応しない。もう一番小さいのに決まったはずなのにアイナさんはにこにこしながら何も言わない。俺は仕方なく一番小さいのに触るが何にも反応がない。そういえば10段回なのにメタルは9個しかない。どういうことだろうか?。


「やっぱり、グレイ君もゲオルグさんと同じ10段回目だったのね。」

「10段回目?」

「そう、たまにここにあるどのメタルより加護を持っている人がいるの。ゲオルグさんの弟って聞いてたからまさかとは思ったけどびっくりしちゃったわ。10段回目の人はEランクからのスタートよ。」


アイナさんは興奮しているのか敬語が崩れていた。俺はひとまず安心した。シスターを探すには高ランクにならなきゃいけない。あのシスターを連れ去ったやつを倒すためにも大きな力は必須だろう。


「じゃあ、この中にある一番大きなメタルを砕いてね。メタルは大きな加護を持つものに衝撃を加えられると砕け散るから。」

「はい、わかりました。」


アイナさんが離れたのを見計らって俺はメタルを殴ってみた。しかし、俺は全力で殴ったが一向に砕ける気配はない。


「グレイ君、本気で殴ってるの?」

「はい、本気で殴ってるんですが...」


アイナさんは怪訝な顔になってまさかね..と小さく呟いている。もの凄く嫌な予感がする。


「グレイ君この一番小さいを握り潰してみてくれる?」

「は、はい。」


俺は全力で握り潰すがまったく砕けない。殴ってみても全く砕けなかった。


「グレイ君、あなたにとってとっても辛いことだと思うけど覚悟して聞いて。あの一番小さいメタルは存在する中でも最小のメタル。持つ加護の量はないに等しいわ。それが砕けないってことは加護はないと言ってもいいわ。」


俺の冒険者としてのスタートダッシュは俺の想像を超えた最悪なものだった。


まさかの加護ゼロからのスタート。グレイに救いはないのでしょうか。次回もお楽しみに。

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