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そんな馬鹿な

 そそくさとみんなのもとへ帰ってきた俺だったがやけに道中視線にさらされた。そんなにさっきの冒険者強かったのか? 気にしたらだめだ。視線に気が付いてないふりをしよう。


「やっぱりすごいや、センヤは。相手Aランク冒険者の八位だよ。確か名前はサンダースだったかな。何もさせずに倒しちゃうなんてさすがだね」


 さっきのAランク冒険者だったのかよ。それで会場の盛り上がりの説明がつくな。ただのイケメンにしては登場だけで異様に盛り上がってると思ったんだよ。俺の対戦相手がAランク冒険者ならそうと言っておいてくれればもう少し苦戦した感じを出したのに…………はあ、そりゃ目立つに決まってる。


「なんか無駄に煽ってきてうざかったからついやっちゃったんだよな。あいつがAランク冒険者なら先にいっておいてくれよ。無駄に目立ってるから今」


「いや、私もトーナメント表までは把握してないよ。見てからあれって思ったんだ」


「それならしょうがないか。もう目立たずにやり過ごすことはできないな。吹っ切って暴れまくるか」


「お願いします。センヤさん。チームセンヤの宣伝をしておいてください。いつでもクエストの指名をお待ちしていますって」


 そこまでやる気は流石にないな。チームセンヤっていうの恥ずかしいし…………ほんとどうにかならないのかなこのパーティ名。


「やっぱりセンヤにかけておいてよかったよ。たぶん今の試合を見てからだったらセンヤのオッズも下がってたと思うし、前半は押さえてくれててナイスだよ」


「別に狙ったわけじゃないんだけどな。まあ、次からは普通にやることにするわ」


「私よりも目立つなんていい度胸ね。見てなさい、次は私が特大の魔法をぶちかましてやるんだから」


 それは絶対にやめてほしい。目立つ以前に観客に被害が出るだろう。対戦相手も普通に死んじゃうだろうな。


「それはやめてくださいよ。大会をぶち壊すつもりですか? そんなことしたらとんでもない額の賠償金を請求されますよ」


「賠償金は嫌ね。くうぅ…………少し抑えめにやってあげるわ」


 まさかのお金で解決。テリアナイス!! 今度から俺もそれ使おうかな。


「次は私の番だよ。まだSランク冒険者と当たるわけじゃないから少し気は楽だけど、結局今日当たるんだよね。はあ…………頑張ろう」


「先のことを心配してもしょうがないだろ、今はとりあえず次の試合のことだけ考えてればいいんだよ。Sランク冒険者なんて気にしても意味ないしな」


 Sランク冒険者と言えばもう別次元の存在とまで言われてるし、城で戦ったあいつは何かの手違いでSランク冒険者になったんだろうきっと。全然大したことなかったしな。


「まあまあ、モエナの試合までは少し時間もありますし、ここは外の出店にでも行きましょう」


「そうだね。モエナにもいい気分転換になると思うかな。あまり気負いすぎるのもよくないし賛成だよ」


「私も何か食べたいわ。ルリ私をおんぶして連れて行きなさい」


 全員で行っても大丈夫なのか? この場所取られたりしない? 荷物を置いておくのも逆に怖いよな。


「俺が留守番しておいてやるから行って来いよ出店。みんなでいったら荷物とか危ないだろ」


「そんなの気にしなくてもいいですよ。もしも私たちの荷物を取るような不届きものが居たらセンヤさんとユウナでぼこぼこにすればいいだけですから。それに荷物を取られても私の探索魔法でどこにあるかすぐにわかるので安心です」


 そこまでテリアの探索魔法は優秀なのか。荷物にマーキングでもしてるのかよ。でもそれなら安心して全員で出店に行けるな。


「じゃあ、俺も行くとするか」


「センヤ、ユウナがおんぶしろって言って来るよ。助けて」


「ちょっとまたセンヤに私をおんぶさせるつもり? 試合の度にどれだけ私が恥ずかしい思いをしてるの思ってるの? 少しくらいいじゃない」


 恥ずかしいのがユウナだけだと思ったら大間違いだ。俺がそれでどれだけの視線にさらされてると思ってるんだ。中には羨望の眼差しで見てくるやつらもいて大変なんだぞ。裏で何を言われてることやら。


「そうだな、少しくらいユウナをおんぶしたところでもう変わらないか」


「待機場に行くのとは人数が違いすぎるわ。さては私を辱めて喜んでるのね、この変態!!」


「そこまで言うなら自分で歩けよ。俺だって恥ずかしんだぞ。一日目に陰口言われてるの聞いただろ。もう手遅れだし、別にいいだろ」


 尚も渋るユウナだったが覚悟を決めたようにこちらを見た。


「そうね、もう私はおんぶの魔法使いとして噂が広まってるだろうし今更気にしたところで無意味ね。いいわ、今回もセンヤにおんぶしてもらうことにするわよ」


 そこまで広まったりしてはないと思うけど、別に言う必要もないか。それにしても昨日といい今日いい、いつもならテリアやモエナもおんぶしろっていってくるんだけどな。やっぱりユウナの体力のなさが大会に影響を与えないよう気を使ってるのか。


「それじゃあ、行くか」


 会場の外へ出ると、中にも引けを取らないくらいの人数であふれかえっていた。もう完全に祭りだな。大体どこも並んでいる。最初はどこに行こうか? うーん、迷うな。


「さっきの威勢はどこに行ったんですか? センヤにべったりくっついて顔を隠してるじゃないですか」


「やっぱり恥ずかしいわよ、こんな歳にもなっておんぶしてもらって出店に行くなんて…………」


 気にしないようにしてたのに、テリアめ。テリアの言う通り、ユウナが俺の首元に顔をうずめている状態なのだ。これのせいで余計に恥ずかしさが倍増している。ユウナは顔が隠れていていいかもしれないが俺なんて丸見えなんだぞ。どんなバカップルだよ。俺らは。


「まあ、いいです。それよりも早く何か食べたいです」


 三人は楽しそうにどこに行くかを話しているが俺はもはやそんな状況ではない。俺は無事に会場に帰り着けるのだろうか?

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