魔法をぶっ放すだけの簡単なクエストです。
ユウナが持ってきたクエストは街の近くの平原に出没するというあばれうしという牛型モンスターの討伐だった。報酬金は四匹で四万Rと昨日受けた森トカゲのクエストよりも少し報酬が高めに設定されていた。さらに食用にもなるらしくいい状態で持ち帰ることができると買い取ってもらえるらしい。
まあうしをもって街に帰るのはかなり難しい気がするけどな。それにしてもユウナは昨日のテリアようにあほみたいなクエスト持ってこなくて安心したわ。
平原には森につながってるのと反対側の門から出ればすぐ着くらしく、そのまま向かうことになった。
今日はテリアも元気いっぱいなようで自分で歩いている。なんか昨日一日でテリアをおんぶするのが当然みたいになっていたので背中が少し寂しい気もする。
平原に着いたのはいいのだが、すぐに見つかるものだと思っていたあばれうしもさすがにそんな街の近くにはいないらしく少し歩くことになった。
そのまま進んでいるとなんだか横を歩いていたユウナの顔色が悪くなり、歩くペースが落ちていた。
「全然いないじゃないの。どうなってるのよ。あばれうしっていうくらいだからそこらへんで暴れまわってるんじゃないの? もう私疲れた。歩けない」
ユウナはぺたりと座り込んでしまった。
「なにやってるんだよ? まだ街から出て十分も歩いてないぞ。ふざけてないでさっさと探すぞ」
「そうですよ。私だって今日はセンヤさんにおんぶしてもらわずに頑張って歩いてるんですよ。さあ早く立ってあばれうしを探しましょう」
「私はほんとにもう歩けないのよ、あんたたちもさっき聞いたでしょ私の身体能力がびっくりするくらい低いって。……そうよ!! 私もセンヤにおんぶしてもらえばいいんじゃない!! いやでもなんか屈辱ね。でもこのままここにいるのも嫌よね。それにどのくらい離れたら神罰を食らうかまだわからないからこの際仕方ないか」
一人で色々言って納得してるみたいだけど………俺、今日はユウナをおんぶするの? でもユウナも実際すごい美少女であることは間違いないしな。ここは役得ってことでしておんぶしてやりますか。どうせ昨日のテリアみたいに大して重さも感じないだろう。
「しょうがないな。俺も神罰とかいうのは食らいたくないし、流石にここに置いていくのもかわいそうだしな」
そう言い俺はユウナに背を向けてしゃがんだ。
「変なところ触ったら許さないわよ。私の魔法で塵も残さず消してあげるんだから」
なんか物騒なことを言いながら俺の背中に乗ってきた。うん、やっぱり全然重くないわこれなら俺が疲れる心配もないな。でもやばいこれ……ユウナのやつあんなことをいっときながら俺の背中に完全に体を預けている。そのせいでテリアよりも幾分か大きい胸が完全に俺の背中に当たっている。いや、最早押し付けられている。疲れてるからって何してんだよ。こっちはピュアな男子高校生なんだぞ。くそ、背中に神経が集中しすぎて全然周りに気を配れない。これじゃいつまで経っても見つけられねえよ。
「いいわねこれ。自分で歩かないでいいって最高」
なに呑気にそんなこと言ってんだよ。でも俺も違う意味で最高。
「くっ、ずるいですよユウナ。センヤさんの背中は私の特等席だったのに! 仕方ないです。まあ今回はいいでしょう。でも次は私ですからね」
「なにいってるのテリア? あなたは普通に自分で歩けるじゃない。私はそうじゃないのよ。だから次もセンヤは私の足ね」
何誇らしげに言ってんだよ……ユウナのやつ。こんなに体力なくてはずかしくないのか? まあいいかこんなにかわいい子たちが俺の背中をかけて争ってくれるなんてもう俺感激。今までの生活じゃこんなこと考えられなかったわ。とりあえずこっちの世界に来てよかったと今心底思っている。ああ、あほだな俺。でも仕方ないよな、これも男の性だ。
そうこうしながら平原を歩き回っていた俺達だが予想以上にあばれうしが見つからない。もうかれこれ一時間以上は歩き回っている気がする。
もしかして報酬がいいのってなかなかみつからないせいでもあるんじゃないか? なんだかユウナの機嫌がどんどん悪くなっているような気がする。背後から負のオーラを感じて俺は少しビビっていた。
「もうなんで見つからないのよ!! うしのくせに生意気ね。私の大切な時間をこんなに奪うなんて。なかなか能力の決まらないどっかの誰かさんみたいじゃない!!」
「やめろよ。俺の考えてる時間と今あばれうしを探してる時間を一緒にするな」
「もう無理だわ。適当にその辺に魔法を打ちまくれば四匹くらい倒せるでしょ」
「おいやめろって何しようとしてんだよ危ないだろ。ほかに人がいたりしたらどうするんだよ」
「私がそんなへまするわけないでしょ大丈夫よ。じゃあいくわよ。よいしょっと」
なんかすごい微妙な掛声とともに、遠くのほうで何度かすごい爆発が起きていた。
は? 本気でやりやがったぞこいつ!! 全然人の話聞かねえな。しかもすげーななにあれ? おんぶされてるやつが繰り出すようなレベルの魔法じゃないだろ。
「なんですか? あれユウナがやったんですか?」
いまいち今の状況がつかめていないテリアがそんなことを聞いた来た。
「そうよ。すごいでしょ。えーと、倒したモンスターはこのカードに記載されるのよね?」
といいながらユウナが冒険者カードを取り出していた。俺の背中でもぞもぞ動くなよずっと胸が当たっててやばいっていうのに。
「ふふっさすがは私ね」
すごいどや顔とともにカードをこちらに見せてきた。
「なになに、え? あばれうし十匹……嘘だろさっきのでそんなに倒してんの? 今までの俺達の努力はなんだったんだよ。おいしかも違うモンスターもいっぱい倒してるじゃない。この方法最高だな。次からもこれで行こうぜ」
「当たり前でしょ。私にかかればこんなもんよ。さっさとギルドに行って報告しましょう」
「また私出番なかったです」
なんだかテリアが少し落ち込んでいたが、まあでもしょうがないよなこんなチートじみたやつと行動してるんだから。こういうこともあるだろ。
「まあそう落ち込むなって、クエストは今回だけじゃないんだしな。次頑張ればいいだろ」
「次は私も役に立てるようなクエストに行きましょうね……お願いですよ」
こうして俺たちのパーティの初クエストはユウナが適当に魔法をぶっ放すだけで終わったのだった。
後日この方法でのモンスター討伐は危険ということでギルドから禁止されることになった。まあ当然といえば当然だな。
明日も更新予定なのでよろしくお願いします。




