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ギャップ萌え

 ブリザードドラゴンを倒して、テリアたちと合流しようとしたのだが…………遭難した。完全に迷った。

 少し考えたら気が付いたはずだ、元の場所に帰る方法がないことくらい。俺たちはあほだった。さらに困ったことに俺もユウナもこの世界に疎すぎて地形が全く分からない。この山に来るときでさえルリにまかせっきりだった。


「これどうするんだ? どうやってテリアたちと合流するんだよ」


「そんなこと私に言われてもわかるわけないでしょ。大体来た道を覚えてないって何? そりゃ遭難するでしょうね」


 何も言い返せない……元はと言えば俺が道も確認せずただひたすら走ったのが原因だ。俺におんぶされていたユウナはずっと目をつむっていたので来た道を覚えているはずもない。


「はあ、どう考えても今回は俺が悪いな。すまん」


「そうね。だから、何とかしなさいよ。大体適当に山を下りてるけど、本当にこっちであってるの?」


「あってると思うんだが…………正直自信はない」


 登山経験もない俺には少々荷が重い。それと山頂からの景色からしてこの山は日帰りで挑むような山ではなさそうだった。富士山と同じくらいの標高はあると思うんだよな。まじで。


「立ち止まってても意味ないでしょ。寒いから雪が消えるところまでは急いで行きなさい」


「悪い。そうだな、とりあえずはそうするか」


 山を下りている途中に今の状況に気づいた俺たちは大して進みもせずにただ茫然と立ち尽くしていたわけなのだ。いまだに山頂付近の雪が積もっている場所にいる。

 ユウナの言う通り、とりあえずは雪が消えるところまで下山することにした。


 少し走ると、すぐに雪は消え、植物もだんだんと目につくようになった。


「これでセンヤと凍死しなくて済むわ。でも急がないと二人でドラゴンを倒した意味がないじゃない。野宿なんて絶対に嫌よ、私」


 まったくもってユウナの言う通りだ。ここで無駄に迷って時間を使ってしまえば野宿は確定したも同然だ。俺も今まで頑張った意味がなくなるのは好ましくない。


「テリアたちと別れた場所はここよりもかなり下だよな?」


「あんたの足が速すぎて正直どのくらい進んだとか予想がつかないのよね。それにここで雪が無くなってるだけどここがどのくらいの標高かもわからないし……」


 自分でも距離感がわからないんだよ。元の世界であんなに足が速いわけもないだろう。こういう時にテリアがいればいいんだけどな。やっぱりテリアちゃん必須だわ。


「もう少し降りてみるしかないな」


「あんまり速く走るんじゃないわよ。二人が居ても気づかないで行っちゃうかもしれないから」


 それもそうだな。あの速さだと周りに気を配るのは難しいし、気が付かないで行ってしまう可能性のほうが高いかもな。それにしてもこの山でまだ一度もモンスターと遭遇してないわ。やっぱりドラゴンがいるようなところにはモンスターも寄り付かないか。


「わかった、少しゆっくり目に走るから周りを見といてくれよ。さっきみたいに目をつむらないでな」


「なんで知ってるのよ。あ、木にぶつかったときなんか前見てなかったとか言ってたわね。もしかして私のこと見てたんじゃない? 私がしがみついてて焦ったとかも言ってたし。また私に欲情してたのね。この変態!!」


 なんでだよ、さっきは何も言ってなかったから気にしてないもんだとばかり……。


「ピュアな高校生にあんなに密着してくるほうが悪い。あれで何も感じないのはホモだけだ。俺は普通だ、悪くない」


「開き直るのはやめなさいよ。そんなこと言われても嫌悪感しかないわ。それはテリアにでも行ってあげなさい。……でも、私からくっついたから……まあ今回は許してあげるわ。ちょっと楽しかったし」


「ありがたき幸せ。ぜひとも今も密着していただけると嬉しいです」


「それは嫌よ、好き好んであんなことするわけないじゃない。不可抗力なんだからあれは」


 なぜかあっさりと許してもらえてこっちとしては拍子抜けだ。俺のおんぶがお気に召したようでなによりでございますな。あのスピード感は新鮮で、俺もテンション上がったし。


「じゃあとりあえず、山を下りるぞ。今度はぶつかっても飛んでかないくらい捕まっとけよ」


「それは暗に密着しろって言ってないかしら? でも、そうねちゃんと捕まっとくわ。今度は雪もないから、もろに地面にダイブすることになるしね。センヤがぶつからなったらいいだけだけどね」


 返す言葉もない…………完全に俺の不注意が招いたことだしな。


「今度はしっかり気をつけさせていただきます。マジで、ごめんなさい」


「いいわよ、ちょっと怖かったし、死にかけたけど……楽しかったってのは本当だから」


 そういうと、ユウナがほほ笑んだ。こんな表情見るのは初めてかもしれない。いや、絶対に見たことないぞ。少なくとも俺に向けてしたことは無い。これはマジで可愛いわ。いつもの態度とのギャップでやばい、反則だわ。


(センヤさん、何してるんですか? 早く帰ってきてくださいよ。もう時間があまりありません)


 なんだ? テリアの声が聞こえる。直接脳内に声が響く感じだ。


(もしかして迷ってるんですか? それなら今から私が案内するので言う通りに動いてください)


 察しが良すぎるまるで俺たちのことが見えてるみたいだ。


「ユウナ、なんかテリアが脳内に直接語りかけてきたんだけど。道案内してくれるって」


「何者なのよ、あの子は? まあそれなら安心ね。任せたわ」


 この後は無事テリアの案内で合流することができた。ほんとにテリアはサポートにパラメータ全振りだな。安心感が違うわ。それと、俺たちは全く別の方向に行っていたみたいだ。それで、おかしいと思ったテリアが助けてくれたらしい。テリアちゃんありがとう。


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