新生パーティ結成
気絶したルリをほたっておくわけにもいかないので、ギルドまでおんぶして帰ってきた。これで俺が女の子をおんぶするのは最後だなと感慨深い気持ちになりながらギルドまでの道を歩いた。でもこれで美少女をおんぶできなくなると考えたら少し残念だな。
ルリをギルドのソファーに寝かせて少し待っているとぱっちりと目を開けてルリが起きた。
「おお、やっと起きたか。デコピンくらいで気絶するなよな」
「え……私負けたの? なんで? なんでセンヤさんみたいな冒険者が無名なの。そんなはずないよ。ランキングの最上位にいても全然不思議じゃない」
一応負けたことは理解しているようで、俺にそんなことを聞いてきた。ちょっと俺に対して怯えているような気もするがたぶん気のせいだろう。
「ていってもな、俺たちが冒険者になったのはつい三日前ぐらいだから。大したクエストも受けてないし有名になるようなことしてないからしょうがないだろ」
「ほんとに最近じゃないか。そんな初心者同然の冒険者に負けたの……私は。センヤさん、怖過ぎる」
すごい落ち込んでるな。てかやっぱり怖がられてた。まあ俺も逆の立場だったらたぶん落ち込んでるんだろうな。しかも俺なんかユウナに身体能力を上げてもらってるだけで、何の努力もしてないし……そう考えると俺もマジでチートだな。
「そんなことはどうだっていいのよ、約束したんだからちゃんと私のおんぶ係としてチームに入りなさいよ」
「そうだったね。当分パーティを組む気はなかったんだけどなぁ、仕方ないか。私はルリ。ランクはA、ランキングは二十三位かな…………この順位はSランク冒険者を抜いた時のランキングだから実際にはもう少し下だよ。あの人たちはほんとに規格外なのであまり考えなくてもいいかな」
二十三位か……Sランクとかいうのを抜いての順位と言っても相当上なんだろうな。これはかなりすごい奴だったんだなルリって。そりゃ周りの冒険者たちも集まってくるわ。
「こちらこそよろしくお願いします。私はテリアです。ユウナやセンヤさんように戦闘は得意ではないですけど、サポート魔法は得意なので困ったときはいつでも頼ってください」
「うん、よろしくね。ふと疑問に思ったんだけどユウナさんもセンヤさんのように強いんだよね? それなのにそのユウナさんをおんぶする人がなぜ必要なの?」
当然の疑問だな。特に俺と戦った後でユウナも身体能力がバカ高いのかと思ってるんだなきっと。それは大きな間違いだ。しょうがない、ここは俺が教えてやるとするか。ユウナも自分で言いたくはないだろうし。
「あのな、ユウナは身体能力のすべてのステータスが五歳児以下なんだ。だから、クエストなんかに行くときでも移動だけでばてて使い物にならないんだよ。だからこいつをクエストの場所まで送り届ける奴が必要なんだ」
「え、では何? ユウナさんは本当は全然強くないの? あの自信はどこから出てたのかな?」
「そんなわけないでしょ、ほんとにルリくらいなら一瞬で倒せるわ。確かに私は身体能力は低いけど、魔法能力は高いんだから。ほら、カード見てみなさいよ」
そう言うとユウナはルリに自分の冒険者カードを見せた。
「はい? これほんとに冒険者カード? 自作のカードとかじゃないよね?」
「私がそんなことするわけないでしょ。それは正真正銘私の冒険者カードよ」
やべぇな、ユウナのステータスを見て二十三位があんなに取り乱してるよ。これかなり高いとかもうそういうレベルじゃないのではないか?
「こんなのありえないよ。どのステータスも私が見てきた人たちの中で最も高かった人の五倍以上ある。ユウナさんもう人間やめてるレベルだね。ちょっと待ってもらっていいかな、と言うことはセンヤさんも似たようなステータスなんじゃないの? カード見せてもらってもいい?」
「俺はそこまでじゃないぞ、普通に人間だしな。ほれ」
俺までルリも好感度は下げたくないので素直にカードを見せた。
「うん……全然普通じゃないね。ユウナさんもそうだけどセンヤさんも大概かな。なんなの、このステータス。私が自強化魔法使って身体能力あげてるときの十倍以上軽くあるよ。もうなんなの……。こんなの勝てるわけない。これは夢なの? きっとそうに違いない」
ルリが現実逃避を始めてしまった。てか俺のステータスもそんなにやばかったのね。ユウナのあほがマジでなんも考えずに上げやがったんだろうな。ちらっとユウナのほうを見てみると全く吹けてない口笛を吹きながら目を合わせないようにしていた。後で殴ろう。でも俺が殴ったら命にかかわりそうだな。くそ、こういう時に役に立たないな。この身体能力は…………。
「もうこれはおんぶ係でもなんでもします。ていうかさせてください。そしてパーティのランキングを一位にしてください。Sランク冒険者にも引けを取らないんじゃないかな? このステータスだと。でも両極端な二人だね」
「やっとわかったようね。私のすごさが。ルリもおんぶ係としてこのパーティに貢献しなさいよ。それじゃあさっそくクエストに行くわ。私たちの強さもわかったことだし、キングコボルトでも倒しに行きましょう」
キングコボルトって最初にテリアが持ってきた報酬百万Rのクエストじゃん。でもよく考えたら個人ランキング二十三位のルリを簡単に倒せるほどの強さならこいつだって倒せるんじゃないのか? いや流石に倒せるだろ。
「そうだな、俺たちのほんとの力を見せる時が来たな。いいじゃないか。キングコボルト倒しに行こうぜ」
「ですね。サクッと百万R稼ぎに行っちゃいましょう」
みんな賛成のようで後はルリだけだなと思いルリのほうを見るとなんだか気まずそうに眼をそらしていた。
「どうした、怖いのか? お前二十三位なんだろ。キングコボルトくらいでビビるなよ」
「いえ、怖いとかそういうのではなくてですね……大変言いづらいのですが……えーと……」
「どうしたんだよ、早く言えよ」
「はい、それでは言わせてもらいます……そのキングコボルトなら私がこの街に来る途中に倒しちゃいました」
は? 何それ、俺たちだけ百万ゲットしようとか盛り上がちゃって馬鹿みたいだったじゃないですか。そういうことはすぐ言えよ。テリアとユウナも死んだ目でルリを見ている。
「三人ともそんな目で見ないでよ。仕方ないの。みんなが盛り上がってて言いづらかったから………それにこのチームならもっと強いモンスターでも余裕で倒せるよ、もっと報酬の高いモンスターとか」
「はあーなんか今日はクエストに行く気がなくなったわ。でもルリってキングコボルト倒したってことは、百万Rもらってるってことね。それじゃあ今日はルリのおごりでルリの歓迎パーティしましょうか」
ルリは反対したものの話にのっかてきたテリアにも言い出され、結局自腹でパーティをさせられることになった。俺の時と似たような感じだな。もしかしておんぶだけじゃなくてそういうことも変わってくれるのか? ありがたや。そのあとパーティで十万ほど使わされて、涙目になっていた。それと三人はすごい仲良くなっていた。見ててすごい可愛かったな。見る分には最高なんだけど関わるのはちょっとあれだわ。




