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少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜  作者: みけな
第四章 人間と天使と神様と。
202/203

202話 目的と望みと決着と。

視点が3人分。

ミカエル→ソラヤ→シー→ソラヤ。こんな感じです。


 何度も何度も剣を合わせてきた。


「……。」

「何故だ?」


 どうしてこんなに差が生まれたのだ?つい先程まで私は優位に戦えていた。


「……。」

「何故だ?」


 私は今何と戦っているのだ?そもそも何故戦う事になったのか?


「……。」

「やはり神には勝てないのか?」

「???」


 天界の文献に残っていた原初の御使い、女神の補佐と言われる神の子。もしあの人間がそうなのであれば、一塊の1種族である私が太刀打ち出来るのだろうか?そもそもこの行為自体が神への反逆とみなされ、天界自体破壊されてしまうかもしれない。


「貴様は……。」

「ん?」

「何の為に戦う?」

「何の為って、自分の為。」

「自分の為……。」


 この人間は神なのであろう?それが自分の為と?世の為、人の為って言うのが神なのでは?


「では自分の為に私を殺しに来たと?」

「別に殺しに来たとかないよ。本当は話し合いに来たんだ。」

「話し合いだと?」

「戦わないならそれで良かったんだ。」

「教会に攻撃を仕掛けたのは、そなたらであろう?」

「あれは、サリエルさんが……。止められなかった僕にも責任が無いとは言わないけど。」


 いや、確かに。初めに攻撃をしたのはサリエルであって人間ではない。その後も結界内に呼び込んで攻撃したのは……。


「何故だ?」

「え?」

「何故、私らは戦っているのだ?」

「何故って……それは。」




 剣に気持ちがこもっていない!さっきから何故何故と迷いながら剣を振っている。ミカエルにどう言う心境が?前の自信満々だった時の方がまだ手応えあったよ。


「何故だ?」

「え?」


 困惑しているのか、さっきからすごく語りかけてくる。さっきから何故ってなんだ?


「何故、私らは戦っているのだ?」

「何故って……それは。」


 そこ?何故戦っているなんて決まって……何だっけ?あー思い出した。


「ミカエルが人間界と魔界攻めたから。」

「攻めたな。」

「それを止める為に来た……だったと思う。」


 そうだよな。僕はこの争いを止める為に来たんだよ。


「こんな少人数でか?」

「少人数って……まぁそうだね。」

「天界の元凶に来るのに、少な過ぎないか?」


 自分で元凶って言っちゃったし。少な過ぎるかな?でも不思議池このメンバーで何とかなるって思ったんだよな。


「何でか、僕らだけでなんとか出来る気がしてた。」

「何とかならなかったら、どうするつもりだ?」

「ならなかったらなんて考えてもみなかった。どうしようかな。」


 話している間にも剣は振り続けている僕ら。そして会話も止まらない。


「そもそもさ。ミカエルは何で攻めたの?」

「何で……何だろうな。もう覚えていない。」

「覚えていないって。それじゃこれから攻めたりはしないでくれるの?」

「それではまたいつもの日常だ。そんな生活は飽き飽きしたのだ。」


 ん?いつもの日常に飽きたから戦っているのか?それならいつもと違う日常であれば攻めないのか。


「簡単に言うと。退屈していたって事?」

「そう……なるな。」


 それって単なる暇つぶし?もしそうだとしたら……。


「暇じゃなく、いつもと違って退屈しなければ、攻め込んだりしない?」

「そうなのか?私も分からなくなってきた。」

「それなら、今この状況は退屈?」

「この状況が退屈かどうかだと?」

「うん。」


 そして剣を止めて相手の言葉に集中する。剣と剣で鍔迫り合いをする。ミカエルは……。


「今は……退屈しのぎになっている。」

「終始劣勢だけど?」

「っく。うるさい!」


―ギィン!


「ふふ。それくらい強気に打ち込んでくれないと。」

「その余裕そうな態度が頭にくる。」

「どこか上の空な剣だと、余裕で流せるからね。」

「貴様……。」


―ギィィン!ギギン!


「そうそう。少し良くなったよ。」

「くそ!その余裕……無くしてくれる!」


―ギン!


「ふふ……。」

「はは……。」

「「ふはは!!!!」」


―ギィン!ギギン!ギィィィン!


 何かに吹っ切れたか、楽しくなってきた。


「ふぅ……やめだ。つまらん侵略なんぞ。」

「お。やめてくれるの?」

「ああ。世界最強の勇者がここにいるのだ。貴様を倒す事……もはやそれしか興味が無くなったわ!!」

「別に僕は世界最強でも無いよ。勇者は流れで受け継がれたけど。いらないっちゃいらないし。」

「人の最高位である勇者の称号をいらないと?」

「うん。別に。」


 あれこそ国王の思いつき、気がついたら持っていたって称号だし。


「っふ。そんな勇者聞いた事ないな。」

「勇者って言われても何すれば良いか知らないし。」

「相場は世界を救う英雄だろう?」

「僕は世界を救う英雄は望んでいないから。」

「ほう?それでは貴様は何を望むと言うのだ?」

「僕の望み?」


 突然望みって言われても。僕はただ家族や仲間と楽しく旅をできればそれで良い。それが望みって言うのかな?


「旅をする事?」

「旅?そんなの今までして来ただろう。」

「そう。だから、僕は戦うんだよ。」

「何と?」

「仲間を守る為。世界を壊させない為。」

「それが結果として世界を救うって事じゃないのか?」

「あれ?そうなるの?」


 なんか僕まで目的が分からなくなってきた。


「難しい事は考えるのはやめやめ。」

「そうだな。今は……」


「「こに戦いを楽しむ!」」


―ギィィィン!


 ミカエルと僕の剣が重なり大きな音を出す。




 ミカエルと喋りながらも戦い続けるソラヤ。剣の動きはもう私には見えない。


「空ちゃん楽しそうだね。」

「そうだな。あんなに喋る空様も珍しい。」

「ほっほ。ソラヤも大きくなりましたな。」


 なんだか3人がいつもの感じと違う?エイママはお母さんって言うより、お姉さんって感じがするし。ゴウパパに至っては、空様?私の聞き間違いかな?そしてクロイはいつも以上におじいちゃんぽい。


「むぅ……。」

「あら?マレット嫉妬?」

「フリージュ姉さん……別にそんなんじゃないですよ〜」

「膨れちゃって。可愛い弟だわ。」

「頬を突くのやめて下さい。」


 この弟姉は仲良いのかな……私のお姉ちゃんなのに。それに気づいたナイトはちょいちょいって手招きする。近づくと頭を撫でられた。


「別に何も思ってないんだから。」

「これがソラヤの言うツンデレか。分かりやすいなブルームは。」

「ローゼ。変な事言わないで。」

「はいはい。ふふ、すまんな。」


 ローゼも私の頭を撫でてくる。なんで2人で私の頭を取り合うの?


「しかし、彼は面白いですね。」

『うむ。ソラヤといればどんな日々も退屈はせぬ。』

「古龍種の貴女が彼といる理由も分かる気がします。」

『であろう?お主も誘われたのだ。一緒に来れば良いだろう。』

「……そうなれば、面白いでしょうね。」

『……。』


 サリエルさんとリナは、先頭で2人の戦いを見続けている。こっちに何か来ても2人なら対処できると言う理由で。私も見えなくてもリナ達の横にいるようにしている。


「この際だから聞くけど。サリエルさんはソラヤの事をどう思います?」

「え?聞くのブルームちゃん。」

「え?どうって、面白い人間だと。」

「そうじゃなくて。1人の男の子として。」

「殿方として?可愛い子かしら。」

「ふ、ふーん。」

「……ほ。」

『「…………。」』


 リナとサリエルさんの間に座っている私は。2人に頭を撫でられる。流れか何か知らないけど、メイクちゃんも私の頭を撫でる。


 何これ?今流行っているの?




「はぁーーー!!」

「てりゃぁー!!」


―ギン!バキン!


「これでその剣は使えなくなったね。僕の勝ちだ。」

「剣なんぞ……ホーリーセイバー!」

「うわ!魔法で剣作るとかずるい!」

「ふん。これは勝負だ。何でもありだろう?別に貴様も剣を作っても良いんだぞ?」

「ぐ。出来ない事知ってて言ってない?」

「どうだろうな。」


 絶対そうだ。ミカエルは少し僕をからかってきている。なんで有りなら出るとこ出てやるからね!


 ―ヒュン、ヒュン、ヒュン。


 光る剣を全て回避してみせる。


「出鱈目なスピードを。」

「これは僕の能力だし。何ならもっと早くても良いんだよ?」

「っく!ならば!デュアル!」


 片手に持っていた光の剣がもう一本現れる。二刀流?


 ―ヒュヒュン!ヒュヒュン!ヒュヒュン!


「増えたところで僕には通じない…よ!」


 ―ガキーン!


「あ。」

「ふはは!ただの光る剣だと思ったか?鉄の剣くらいは斬れるんだぞ?」


 魔法ずっこい!せっかくメイクに作ってもらったのに。今度は魔法でも壊れない物を作ってもらおう。


「これで私の勝ち……ん?」


 ―スチャ。


「何でもありなんでしょ?しかも僕はメインはこっちだからね。」

「剣士に遠隔攻撃とか!」

「僕は剣士でもないし、この銃今0距離だし。」

「待て!あれは寒いんだぞ!」

「そうなんだ。でも、僕負けるの嫌いだから!」


 ―ズゥン!バリ…バリィィィィィィン!


「決着!」

「……。」


 僕はミカエルに勝利した。

仲良きことは……。


次回は4月22日(月)12時を予定しています。

よろしくお願いします。

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