189話 ラスボスって?
「あの人がミカエル……。」
見た目は金髪パーマのイケメン。椅子に座っている様子が気怠そうにしている。
「ここまで来たって事は、上の者共は倒されたか?」
「ええ。相手にもなりませんでしたよ。」
「だろうな。貴女に勝てるとは、僕も思っていないからね。」
「私は何もしていません。倒したのは彼らです。」
「ほう。人間に魔族か。ん?龍族に天使族?」
気怠そうに座っていたミカエルが、僕らに興味を示したか見る目つきが変わった。
「多種族の混合パーティか?中々に面白い組み合わせだ。」
「でしょう?」
「この天界に来るくらいだ。さぞ強いのだろう?」
「それをはもう!」
サリエルさんが胸を張り満足げに自慢をする。僕らってそこまで長い付き合いじゃ無いはずだが。まるで自分の事の様に喜んでいる。
「ふむ。強いのであれば僕も興味が出てきましたね。」
「渡しませんよ。」
「ふん。今の貴女では僕に勝てないぞ?」
「この状況でも引けは取るつもりはありません。」
―ヒュン。
目の前にいたミカエルが突然消えた。椅子に座っていたミカエルは、サリエルさんの後ろに現れる。
咄嗟にサリエルさんを抱き寄せる。
―ビュン!
「ほう。我の動きを見切るか。面白い人間もいたものだ。」
「でしょう?」
「サリエルさん。そんな余裕でいると危ないから。」
「大丈夫です。守ってくれるのでしょう?」
「そうですけど。」
実際に戦って無いけど、あのくらいの攻撃なら避けられるはず。動きも少し遅く感じる。
「もしかして、力を封じられてたりする?」
「気づきました?ここに入ってから、少し違和感があります。」
「それは我のテリトリーだからな。天使は力の半分しか出せなくなる。」
それでさっきからずっと余裕そうなんだな。
「まぁ小細工なしでやれば勝てなくもないだろうが。僕の計画を邪魔されても嫌なんでね。」
「計画とは人間界と魔界を襲った事ですね?」
「やはりその事ですか。100年も音沙汰無しでここに来るなら、要件はそれしか無いですね。」
「率直に言います。止めなさい。」
ストーレートだな。まぁ僕も結局それを言いに来たんだし。どうなるか見守ろうか。
「……そちらの人もそうか?」
「ん?そうだよ。話し合いに来た。」
「話し合いか……。」
―ツカツカ。
始めに座っていた椅子までゆっくり歩くミカエル。
「思ったより早くて助かりました。不安要素は消しておきたいですから。」
「交渉決裂ですね。では。」
―カツン。
「身体強化、魔法障壁……これが限界ですか。」
「はは。僕を退屈させないで下さいね。サリエル!」
また消えたミカエル。そう何度も同じ技を使う事は……
―ズゥゥン!
「っふ。」
「……目が慣れちゃうよ。」
「人間風情が。僕と戦うか?」
「話し合いは出来そうもないから。止める方法は戦って倒す!でしょ?」
「ええ。」
天使って種族は短気なのだろうか。話し合いもすぐ諦め、説得も何もなし。いきなり特大の魔法を撃ったり、戦闘も合図もなしに突然始まる。
「全く皆んな血の気が多いな。」
「会う前から弾丸込めてるソラヤに言われたくないよ。はい、弾丸。」
「そんな事ないと思うけどな。風と氷と重か。」
「聖魔弾はダメ。マレットくんの協力があれば別だけど。渡してはおけない。」
「いや、これで大丈夫だよ。メイクは下がってて、ちょっと戦ってくるから。」
銃に弾を込めてミカエルを見る。
「もう良いか?僕は戦いたくてうずうずしているんだ。」
「わざわざ待っててくれるんですか?それはすいません。」
「では参りましょう。ソラヤと…仲間達よ。」
サリエルさんがそう言うと、僕に横にはメイクが。
「戦わないとは言ってないよ。」
「でも天使族は力の半分は制限されているって。」
「私は別になんともない。もしかしたら片翼だからかも。」
「天使の基準は羽根だけなのか?いっそ自分以外を制限すれば良かったのに。」
この制限された空間は、サリエルさんには効果がありメイクにはない。2枚の羽根で判断しているのか?それならそもそも自分以外を制限すればいいはず。何を考えているんだろう……。
「…………その手があったか。サリエルの事しか頭になかった。」
「……皆んなラスボスだよ。気を引き締めていこうか!」
いきなり戦う事になったけど。よくよく考えればこの争いの原因が目の前にいる。普通もっと色々あって辿り着くものだと思うけど。これも幸運の一つなのか?
「指示は……ローゼに任せる!僕は前で戦うよ。」
「任せろ。サリエルさんはどうしますか?」
「ソラヤの援護します。前線での戦闘はあまり得意ではないので。」
「分かりました。マレットくん、大変だとは思うが皆のフォローを。」
「はい!」
「リナさん、フォローはブルームとナイト。」
『我に遅れをとるでないぞ?』
「大丈夫!どんと来いだよ。」
「ふふ。気合い十分ね。」
「エイリはゴウの後ろを離れるな。」
「はーい。」
「私とクロイでソラヤのフォローをする。」
「ほほ。畏まりました。」
ローゼは皆んなにちゃんと指示を出してくれていた。僕はと言うと…。
―ギン!
「シンプルではあるが良い剣だな。筋も中々に良い。」
「まだまだ余裕がありそうですね。」
待ちきれないミカエルの相手をしていた。
少し短めになった。書き続けたらキリが悪いかなって。
読んでくれた皆様、ありがとうございます(*´ω`*)
次回は3月26日(火)12時予定です。




