表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜  作者: みけな
第一章 神様と友人と仲間と。
17/203

17話 旅立ちと約束に為に…。

高らかに笑う1人と1体の声に、皆んなが集まる。


『其方らが、ソラヤの仲間とな。』

「ほほ。クロイと申します。」

「ゴウです!ソラヤがお世話になりました…?」

「エイリです。空ちゃんがお世話に…ん?ありがとうございます。」

『ガハハ。其方らも中々に面白いな。我は礼をされる事も、世話もしておらんぞ?』



クロイはいつも通りだけど、若干2名が少しおかしい。

いや…もしかしてドラゴンに対して、平常心な僕とクロイの方がおかしいのか?


『とにかくだ。ソラヤの仲間であれば、友であり、即ち我とも友である。』

「無理やりだなぁ。まぁジルは、お父さんもお母さんも気軽に話して良いよ。って事を言いたいんだと思うよ。」

『うむ。そう言う事だ。よろしく頼もう。』

「「は、はい!」」



ジルは喋る事自体が久し振りらしく、こうして話すのも30年振りとの事。

30年もの間、一人でいたら喋りたくなる気持ちも分からなくない。


「ところで、ジル殿はここで何をしてるのです?」

『我か?役割としては、この森の門番だな。ここは世界にとって必要な場所らしいからな。』

「原初の森でしたか?わたくしも気になったのですが、ここはどのような森で?」

『む?クロイ達は、知らずにここにいたのか?』

「そうですな。」

『ふむ。知っている事で良ければ、話しておこう。』


何かを思い出しながら、ジルが色々教えてくれた。

原初の森。それは魔物や獣人の始まりの場所。

ここで生まれ、育ち、各地域へ旅発つ。

言わば、養成所的な場所らしい。


この世界では災いの場所と、言われる事もあるみたいで。

30年前に勇者のパーティが、この場所を見つけ、殲滅する為に来た事があった。

しかし、世界の均衡を護るジルに、敗れた勇者パーティ以降、誰一人ここに来る事が無くなったとか。


「え?30年前に来たのって、勇者だったの?」

『ん?あぁ、そう名乗っていたからな。恐らくそうなのだろう。それなりに強かったからな。』

「それなりって…ジルって一体どれだけ強いの…やっぱ言わなくていいや。」

『ん?我は別に言っても、構わんが。』

「いやいや、いずれジルとは再戦するからね。ジルの情報を本人に聞くのは、ずるいと思うんだよね。」

『ガハハ。再戦か……今から楽しみであるな。』



さらっと言ったが、俺はいずれジルに、再戦を申し込むつもりだ。

今すぐは無理としても、絶対勝ってみせる。

その為の情報収集も、外の世界でやってこそだと僕は思うから。

ここであれこれ強さとかは、聞くべきではないと思う。



『して、ソラヤはこれから、どうするのだ?』

「とりあえずは、ここに来た理由を探す為に、外の世界に行こうと思ってる。」

『ここに来た理由か。そもそもだが、どうやって森の中に入ったのだ?』



ジルが興味津々だったので、ここまでの話をした。

突然この世界の森にいた話。

女神様に会って、森でLv上げしつつ進んでいたらここに来た。


よくよく考えてみると、あんまり大した事してないんだな。

あーあと、説明が面倒だから突っ込まれる前に、僕らは親子と話を追加してみた。


『そう言えば、先程、父と母と申していたな。』

「「は、はい!」」

『ふむ。言われてみれば、似ているのぉ…そうなれば、先の戦闘で逃げないのも納得だ。』


あ、簡単に信じた。

この設定意外にいけるんだな。

と言うか、本当に親でもおかしくないし。僕自身はそれで良いとも思う。

本当の両親より、2人と過ごした時間の方が長いしね。


『家族で旅とは良いものだな。』

「ジルには家族はいないの?」

『ん?おるぞ。息子と妻が。』

「今は何してるの?」

『息子は…う〜む…確か……龍の郷で………鍛えられてる?』

「なんで疑問形?」

『最後にあったのは、30年前だからな…。人間の言う、今と聞かれると困るのだ。』

「ドラゴンってそう言うもんなんだ。奥さんは?」

『妻はその郷の統治をしている。』



奥さんは即答なんだ。頻繁に会ったりはしてるのかな?



『ソラヤが旅をしている間、暇になるな…郷にでも帰るか。』

「え?ここ離れて平気なの?」

『我の管轄だからな。誰かが来れば分かる。それにカッコよかろう。』

「カッコいいって何が?」

『このエリアに入った後、誰もいない。そして遠くから飛んでくる我。』

「何それ………めちゃくちゃ、カッコいいじゃん。」

『だろう?』


僕らが来た時、寝てたしな。

まぁあれは、あれで、迫力あったとは思うけど。

でも、何もいないと思ってからの、遠くから飛んでくるジル。

想像しただけでも、カッコいい!

如何にも、凄いの来た!感がする。



『もしもだが、旅の途中で寄る事があれば、紹介しよう。』

「龍の郷だっけ?それって人間行けるの?」

『はて?我は飛んでいくからな。陸路は知らん。』

「まぁ、調べてみるさ。」

『人間の立ち入りを、禁止にしていないはずだ。もし来たのならば、友として歓迎しよう。』


ジルに龍の郷まで来たら、歓迎すると言われた。

友人の自宅にお呼ばれみたいな?

話は聞かずとも、人間がそこに行けるか分からないけど。


僕らより1,000倍生きてるって、ジルは言っていたし。

そのいつかは、きっと来るだろう。

それが再戦の前か後かは、分からないけど。



『郷にくるのもだが、この森に突然呼ばれ、Lv1でよく生きてたものだな。』

「そこは、女神様の加護もあったし。」

『ほほぅ。どんなものか気になるが……いや、我も聞かぬ方がいいな。』

「別にこっちは、外でジルの事調べるし。言ってもいいけど?」

『いや、聞かんぞ。楽しみが減るではないか。』

「ジルがそう言うなら。じゃ、僕も調べないで、出たとこ勝負しようかな。」

『ガハハ。存外ソラヤもバトル好きなのだな。』


ジルが知りたければ、言ってもよかったんだけど。

楽しみが減るのは確かに嫌だな。

物語でもなんでも、ネタバレって僕自身も好きじゃないし。

そうなると、外でジルについて調べるのも止めよう。

出たとこ勝負だったけど。それはそれで、僕も楽しかったし。



『そうか…女神が………うむ!ソラヤ…いや、うぬら4人に、我の加護もやろう。』

「え?それって不公平じゃない?」

『そんな事はない。我はこれでも、人間の1,000倍は生きておるし、何より強いからな。』

「そりゃ、ジルに比べたら若いけど。強いって部分は今のところだよ?」

『ガハハ。言ってくれる!ならば、強さを求めよ……何事にも貪欲になれ。』

「面白い。皆んなも、それでいいよね?」

「ほほ。どこまでもついて行きましょう。」

「ソラヤを守るのは、俺の仕事だから。聞かれるまでもない。」

「勿論よ。強くなって、私も空ちゃん達の、役に立ちたいもん。」


はは。皆んな考える間もなく即答してくれる。

頼もしいパーティで…僕の大事な家族だ。

絶対強くなって、約束も皆んなも守ってみせる。




ジルが金色に光る…。




『我は原初の森…始まりと終わりを護る者。ジルフォレス・ガーラが加護…強さを求める強者の元へ。』




うぉ。女神様の時と同じで、目の前が真っ白になる。

目を開けているのか、閉じているかも分からない。

けれど、とても暖かく…力が湧いてくる感じがする。



「ほほ。何やら力が湧いてくる感じがしますな。」

「ええ。とても力強い、それでいて護られてる感じがします。」

「うまく言葉にできないけど。元気になる感じがする。」

「……うん。ありがとうジル。」

『礼には及ばん。我が楽しみたいだけだ。強くなれ人間。それまで我は、ここで待つ。』




友に見送られ。



白い門を前に、僕は一度振り返る。



「また来る!そんで…次は勝てせてもらう!」

『我も負けるつもりはない。また会おう……友よ。』




僕達は新たな地へと旅発つ。

強くなる為、友との約束を護る為に…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ