表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜  作者: みけな
第四章 人間と天使と神様と。
166/203

166話 慈悲なき追撃。

 楽しそうに剣を振っていた国王様も、今は真面目な顔つきで剣を持ち立っている。


「すみません。お待たせしました。」

「……あ、あぁ。問題ない。」


 なんか口調がいつもと違うな。緊張しているわけないから、あれが戦闘モードの勇者様って所かな。




 おかしいぞあの威力。ソラヤ殿はノインの妹達と一緒に旅をしてきたと聞いている。前にあった時もLv20くらいのはず。腕試しと我の凄さを見せつけ、旅の友にしてもらう作戦が。


 思わず振るった剣が止まり、思考も停止をしてしまった。大人気ないと言われようとこれは本気で行くしかない。


「我が鎧よ。力を!装備(イクイプ)!!」

「本気ですね、勇者様。」


 突然勇者様とか。ぞくっとしたぞ。


「その呼び名はやめてくれ。」

「では国王様?」


 これは最近やっと慣れてきた呼び名だが。役割であって俺の名前ではない。


「…ファングでいい。行くぞソラヤ。」

「肩を借りますよ。ファング!」


 ふっふっふ。どちらにしろ今は楽しませてもらおう。この決死の戦いを!




―ミシッ、パン!


 地面にヒビが入り、空気が割れた音がした。ここの闘技場頑丈じゃなかったか?


「危な!?」


 ギリギリで躱した僕は、後ろを振り返ると同時に銃を構える。まずは通常ので反応を見よう。


―ガチャ、ズゥゥン!

―ッス!


 あの体勢から避けるの?あんな全身鎧の割によく動くな。さて、次は…。


―ガチャ、ズゥゥン!

―ッス。


 やっぱり躱すんだね。鎧で受けたり、剣で切りつけたりはしそうにも無い。さっき試しで撃った弾丸を警戒しているんだろう。でもそれなら近づいて来そうなんだけど。


「近づかないの?」

「えぇ。今はこれでいい。」

「僕の攻撃範囲に入ってて、逃げ切れるでしょうか?」

「それはやってみなければ、分からないでしょう?」


 僕を試しているのか、それとも別の意味で何かがあるのか。とにかくこのチャンスを逃す手はない。


―ガチャ。


 込めるのは緑、風魔弾で魔力は10。威力より速さを。


―ズゥゥン!

―ッチ。


「掠っただけか。ファング速いんだね。」

「ちょっと驚いたよ。」

「まだ余裕そうだな。少し戦い方を変えよう。」


―ガチャ。

―カチャ。ズゥン!


 ハンド銃の方に氷魔弾を入れ、自分の足元に即発射。僕とファングの間に氷の壁ができた訳だ。


「ここで……。」


―ガチャ、ズゥゥン!


「隠れて不意を狙ったかな?出来るも俺には当たらない!」


 避けられるのは承知の上。僕の狙いは……。


―キラッ、ドゴォォン!


 壁に当たった聖魔弾は、目の前の氷ごと吹き飛ばす。


「あっぶな!これあってギリギリか。」


 氷魔弾の壁は目隠しでは無く、あくまでも僕を守る盾。ファングは大丈夫かな?これで少しはダメージあるといいけど。勇者だしこのままって事はないよな。


―ガチャ、カチャ。


 メインの武器に球を込め直して次に備える。爆風も収まり、煙の中から人影が見える。


「この闘技場で自分も危険な攻撃をしてくるとはな。」


 剣を振り煙を払うファング。怪我は無さそうだし、喋る余裕があれば大丈夫か。


―ズゥゥン!


「甘い!」


―ギン!


 煙の不意打ちも、弾丸を斬って回避するファング。


「甘いのはファングだよ。それ斬らない方がよかったよ。」

「ん?」


 僕が撃った弾丸はさっき貰った重魔弾。見た感じは効果無いように見えるけど、動けばバレちゃうから追撃を今のうちに。


―ダン!ダン!


「それも…!んな?体が重い!?」


―カン、カン……バリ。バリィィン!


 2発の氷魔弾は魔力を10しか溜めてないけど、効果は絶大。ファングの左腕と右足を氷漬けにした。


「な、これはさっきの氷!っく!」


―ガチャ、ズゥゥン!バリ……。


「え?」


―バリバリバリ!!


 重魔弾で速さを下げ、氷魔弾で動きをさらに制限。そこに雷魔弾を撃ち込む。これで多少痺れてくれればいいな。


「ぐぅぅぅ!!」


 この後は動けるようになった時の剣撃を気をつけないと。右で剣を持ってるから……。


―ガチャ。


 魔力は少し多めに…50くらいでいいかな。


―ズゥゥン!チュン!


「っが!?」


 右の肩口を狙った風魔弾は、鎧も貫通してくれた。予想よりうまくいったな。まぁ魔力込めたし、動きを制限された中では、回避は出来なかったんだろう。リナみたいな回復とかもありそうだな。


「次は……。」

「!!」


―ガチャ、ズゥゥン!チュン!


 あの鎧って脆いのかな?2発目の風魔弾は、ファングの左足を貫通した。逆にこの魔力で頭を狙うと危ないんだな、覚えておこう。


―ガチャ。


 動く気配がないから、ここで完全に足を止めよう。魔力は10…30…60……100!


「止めろ氷魔弾!」


―ズゥゥン!バリ、バリィィン!


 ファングを中心に闘技場の半分は氷漬けになった。


「…………。」


 静まり返る場内。


 氷漬けのまま動かないファング。


「これ、追撃か?」

「「「「「「「「「鬼か!」」」」」」」」」

「空ちゃん、もうやめた方がいいよ〜HP無くなっちゃう。」


 部隊長の全員につっこまれ、母さんが見てくれたか注意してくれる。


 人間最強?勇者との戦いがサクッと終わってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ