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少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜  作者: みけな
第四章 人間と天使と神様と。
160/203

160話 守るべき存在①

♢部分だけ栄理視点です。

 城前は天使を兵士の人が必死に抑えている。


「援護するよ。私とナイト姉で一撃離脱で後はお願い。」

「は〜い。」


 戦いの水を指すようで悪いけど、こっちは余裕があるわけじゃ無いから。


―ゴス!

―ゴス!


「かはっ…。」

「っぐ…。」

「仮面の!?すまん!」

「次!」

「ブルーム気合い入っているわね〜」

「ナイトもピシッとしなさい。」

「戦いは冷静によローゼ。」

「ナイトのは冷静とは、ちょっと違うと思う。」


―ゴス!

―ゴス!

―シュルゥゥ…スパン!


「喋りながらもあの戦い……凄い。」

「俺らも負けてられないぞ!」

「「「うぉぉぉ!!」」」


 しばらく戦い天使もだいぶ数が減ってきた。


―ドゴォォン!


「あそこは王の間!?仮面の!ここはもう大丈夫だ。王の元に行ってくれ。」

「さっき爆発した所が王様のいる所?」

「おそらく。部隊長が警護しているので、大丈夫だと思いますが。皆様がいるとさらに安心なので。」

「分かった。」


 言われてただ真っ直ぐ道なりに走っていく。


「お城もめちゃくちゃね。」

「栄理、転ぶなよ。」

「分かってまっ…きゃ!」

「おっと。言わんこっちゃない。」

「むぅ、ありがとう。」


 エイママがつまずくくらいお城はボロボロ。


「こんなにボロボロにして何が目的なんだろう?

「目的は分かりませんが、殲滅したいんじゃないでしょうか?」

「天使が人間を?」

「王の間に行けば、多少状況は見えてくると思いますがね。」


 急いで爆発してた部屋に行くと、床に倒れこむ人とそれを守る剣を持った人。


「はぁ!てや!」

「なんなのこのおじさん!早くやられなさい!」

「クロイ!敵を離して!」

「ほほ。お安いご用です。風よ…渦巻け。」


 剣で応戦していた人を中心に風が捲き上る。


「今度は何よ!」


 文句を言いつつ距離を取る天使達。そして風が止む。


「離しましたぞ。」

「もっとやり方が〜。もういいや。エイママ!」

「豪、クロイ来て。」

「任せろ。」

「誰も近づけさせませんよ。」


 何も言わなくてもエイママはゴウパパとクロイを連れて、倒れた人の回復と支援に行く。


「私達はあの天使達ね。」

「4人いるけどどうする〜?」

「1人は我が相手をしよう。」

「さっき戦ってた……。

「「え?」」


 声をかけてきた男の人に固まる私とローゼ。


「2人とも固まってどうしたの〜?」

「ってナイトも会ってるでしょう!?」

「ん〜?素敵なおじ様。どこかで見たような?」

「はっは。おじ様で十分です。」

「「国王様だよ!」」

「あ〜王様か……おじ様、戦えるのね。」

「あぁ。これでも若い頃は一騎当千とも言われておったぞ。」

「あら。素敵ね。それじゃ相手も待っているみたいだし、ちゃっちゃと戦いましょうか。」

「そうだな。」


 国王様をおじ様ってナイト姉が後で何か言われないか心配。今はそれどころでは無いけど。


「先手は貰うわよ!」

「っぐ!?」


 ナイト姉が1人を殴り飛ばし、回復するエイママ達から離す。


「む。おじ様も1人貰い受ける!」

「っく!」


 剣で斬りはらい、同じく距離を取る国王様。本当に国王なのか疑問になる。


「私達も行くぞ。相手は強者だ、油断はするなよ。」

「ローゼもね。」

「神のミサである私達を舐めすぎよ!光よ!」

「目にもの見せてあげるわ!光よ!」


 2人が同時に魔法を詠唱し始める。しかしそれを待つ様な油断はしてあげない。


―シュルゥゥ、スパン!


「っぎ!?」


 ローゼの鞭が相手の顔面を捉える。


―ゴス!


「かはっ!?」

「余所見してると舌噛むよ?」


 魔法は発動される前に相手の懐に潜り込んで一撃を入れた。魔法を貯めていたと思われる光は飛散して蹲る天使。ローゼは鞭で相手を放り投げ、距離を取ってくれている。なら私は自分の相手に集中するだけ。


―ゴス!ガス!ズガ!


「っぐ、が!?がは!」

「寝ている暇はないよ。まだまだこれからなんだから……。」

「ひぃ!!」




「私も助太刀に。っぐ!」

「ほら、まだ動かないの。治るものも治らないよ。」

「……すいません。」


 先に治した騎士の人が、すぐに立ち上がろうとしてまた膝をつく。


「ここは……は!国王様!っぐ。」

「2人して同じ事しないの。今は見ていなさい。」


 全く男の子はじっとしていられないんだから。クロイと豪を見習って欲しいものね。


「いつもはサポートのローゼもいい動きですね。」

「ほほ。彼女はもともと一人で戦ってきた人。視野も広いですし。あのくらいの相手には引けを取りませんよ。」

「2人は冷静よね。」

「慌てる事もないだろう。」

「援護は出来るようにしていますが。必要無さそうですね。」


 2人がいてくれるから、私も回復に専念出来るんだけどね。本当に頼もしい家族だわ。


「我々が不甲斐ないばかりに申し訳ありません。」

「助け合いは必要だし。結果的に国王様も楽しそうでいいんじゃないかな?」


 遠くで天使と戦う国王様は…。


「ふははは!足りんぞ!神の使いはこんなものか!!」

「「こ、国王様……。」」


 声を上げ剣をブンブン振るう国王様。こっから見ていても分かるくらい楽しそう?無邪気って感じがする。


「ナイトとブルームはもう終わったみたいだな。」

「「え?」」




「「ただいま。」」

「おかえり。2人とも早いわね。」

「私はそんな長期戦するタイプじゃないし。相手魔法主体で接近戦苦手ぽかったし。」

「ブルームも?私のもそうだったの。脆かったわ。」

「「……。」」


 言葉の出ない2人の兵士さん。いや、相性の問題だよ?そんな化け物を見る目で見るのは失礼だぞ。


「おや。2人も終わっていたか。」


 ローゼも無事に倒してこちらに向かってくる。


「どうだった?」

「どう?普通に締め上げ意識を奪っただけだが。」

「「……。」」

「な、なんだその目は。別に私は普通だろう?」

「私はって何?それじゃ私やナイト姉が、普通じゃないみたいじゃん。」

「別に私はどっちでもいいけど〜」


 わいわいしていると国王様が戻ってきた。


「いやー久し振りに体を動かしたから、錆び付いていたようだな。時間かかってしまったよ。」

「「国王様!ご無事で!」」

「お前達も無事で何よりだ。天井落ちてきた時は危なかったぞ。はっはっは。」


 国王様から話を聞けば、突然爆発して天井が落ちて来たのを2人が助けたとか。え?この人達、天井落ちて来てこの怪我だったの?


「騎士って硬いんだね。」

「まぁ鎧もあるからな。今は瓦礫の下にあるが。」

「2人がいてくれなければ、我は潰れていたぞ。ん?」


 国王様が何かに気がつき立ち上がり遠くを見る。同時にローゼも立ち上がり遠くを見つめる。


「ローゼ何かある?」

「……危険察知!前方!高魔力の反応。来る!」

「全員俺の後ろに!風土の盾!皆を守れ!」


―ブォン………ズガァァァ!!


 ゴウパパが前で盾を展開して、すぐに眩しい光がぶつかり凄い音がする。


「豪!?」

「一撃は大丈夫だ!しかしこれは……っく、耐えられるか?」


 ゴウパパが使うのは新しく覚えたスキル『風土の盾』MP使って強度上げて、SPで効果時間って書いてあるのをそのまま説明してくれた。


 光が止み、煙が晴れる。


「豪、平気?」

「あぁ。俺は問題ないがMPもSPもない。」

「困りましたね。あの距離だと魔法が届きません。」

「クロイが届かないのでは、ここからの反撃は無理か。む!また来るぞ!」

「ローゼ、クロイ、ブルーム。次はなんとかする。その後の事を考えてくれ……女神の加護を使う。」


 前に立つゴウパパは、金色に光り出し攻撃を受ける。


―キラッ………ズガァァァ!!


『女神の加護』は1番初めに女神様に貰ったスキル。どんな攻撃も耐える事が出来る。ただ連続での使用は出来ないので、攻撃を耐えるのもこの一回のみ。


「どうするブルーム、クロイ。」

「ここを逃げても、今度は街が危なくなる。なんとかするには近づくしか。」

「遠距離、移動が速くってなるとナイトとわたくしですかね。」

「そうれならば、ナイトがクロイを連れて飛んでもらうしかないか。」

「飛ぶ?いいけど〜」

「ほっほ。またあれですか……。」


 クロイが若干だけど顔が引きつる。クロイはどうやら空が苦手みたい。


「晴れるぞ!」

「ふふ。じゃ行くわ…「ナイトストップ!」…もう何よローゼ。」

「一体何発撃つ気だ……。」

「えぇ〜さっきのに突っ込むのは流石に無理だよ。豪でやっと耐える攻撃だよ?」

「困りましたね。一応氷で壁は作りましょう。」


 国王様の前に立つ2人の兵士さん。焦る2人を宥める国王様。


 ゴウパパが前で盾を構えて背後にはエイママ。焦ったゴウパパ始めて見た気がする。


 クロイが魔法を唱える。いつもより慎重に魔力を集めて、凄く必死なのが分かる。


 ローゼとナイト姉が私に被さる。嫌だよ、皆んなと別れるなんて……。



 周りがゆっくり進む様に見える。



 そして遠くの空が光った……。

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