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少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜  作者: みけな
第三章 敵と魔族と人間と。
144/203

144話 何事もなければ良いな。

 風魔弾を咄嗟に撃って、下からの攻撃を相殺…しないで貫通。その弾丸は魔王城の一部に当たる。


「あ。」

「ソラヤ、加減って知ってる?」

「しょうがないんだ!咄嗟で魔力込めたし、弱くてやられても困るしさ!」

「うそうそ。ありがとうソラヤ。」


 僕の背中にしがみついているメイクが耳元でそんな事を言ってくる。

 メイクは翼を広げて、少しでも落ちるスピードを減速してくれている。でも根本の解決にはなっていない。

 龍さん助けて!


『待タセタ!』


 空中で地面に落ちる前に僕らを背中でキャッチしてくれた。


「本当にありがとう。死ぬかと思ったよ。」

「ありがとう龍さん。」

『イヤ、此方ノ油断ダ。マサカ迎撃サレルト思ワナカッタ。』


 今は追撃も無く、地面に降りて貰った。理由は迎撃した風魔弾が城に当たったからだ。


『先ニ仕掛ケタノハ、向コウダロウ?放ッテ置ケバ良イ。』

「これでちゃんと説明しないで、魔族と龍が争ったりしないかな?」

『……待トウ。話合イハ、大切ダナ。』


 どういう理由で攻撃されたかは分からないけど、遠目から見て龍に攻撃された様に見えるはず。何も説明しないで逃げれば、後で問題になるかもしれないと僕らは地上に降りて待っている。




 すると目の前の空間が歪み始める。


『来ルゾ。一応構エテオケ。』

「うん。」

「いきなり攻撃あるかもしれないしね。」


 黒い渦の中から人が出てくる。


「おぉ!でかいトカゲじゃ!」


 一番始めに出てきたのは、筋肉もりもりな大きい剣を背負った紫色の髪の男。龍を見てトカゲ扱いは……後ろから殺気がする。まだ少し我慢しようか。


「トカゲは失礼ですよ。しっかりとした翼が見えないのですか?トカゲとは似てても違いますよ。」


 次に出てきた男の人は、背が高くキリッとした目つきに長い紫色の長髪なびかせている。フォローのつもりで似てると言っているから、失礼である事は変わらない。


「ほぅ。これは立派な龍です。遠目では分かりませんでしたが、知的で強そうです。」


 その後ろから出てきたのは、執事の服をきた白髪の眼鏡をかけた優しそうな男の人。今度のフォローはうまくいったようだ。後ろから放たれていた殺気が少し和らいだ気がする。


「ぼ、僕いる?要らないよね?帰っていい?」

「若は居て頂かないと。示しがつきませぬ。」

「私達が守ります。ご安心を。」

「そんな背中曲げんな。ビシッとしろ。」

「貴様、その口の利き方はなんだ?」

「いいんだよ。若の了承は貰ってる。」


 最後の少年が通ったら黒い渦は消えた。どうやらあの子が最後みたいだ。おどおどして、気の弱そうな少年って感じだ。若と呼ばれているし、3人の態度を見るに魔王の子って感じかね?


「あ、あの!言葉通じますか?」

「はい。」

「良かった。話せて。あの、まずは、その、えっと、なんだっけ?」

「若、日が暮れます。わたくしが話をしてもよろしいでしょうか?」

「うん。許可する。お願いね。」

「では……まずは突然の攻撃申し訳ない。まずはそれについての謝罪を。」


 おどおどした子の代わりに、執事みたいな人が話し始めた。攻撃に対して謝ってきた。


『フム。幸イ此方ハ、怪我一ツシテイナイ。大丈夫ダ。』

「寛大な御心に感謝致します。それともう一つは、お城に攻撃があった件なんですが。」

「ごめんなさい!迎撃に魔力の加減をしないで撃ってしまって……。」

「「「……!」」」


 迎撃した弾が王城に当たった話が出てきたので、正直に名乗り出た。


「なんと、この様な子供がこいつの魔法を迎撃したのか。」

「見た目は子供にしか見えんが、若みたいに力隠すタイプか。」

「ほぅ。素晴らしいお力があるようで……。」

「あの?怒ってはいないのですか?」


 向こうの3人は少し固まり、僕を見るだけで怒ったりはしてこない。


「怒る?魔界では強さこそ正義だ。どんな奴がやったか見に来ただけだ。」

「そうです。あの攻撃を爆散で迎撃したコイツは、後で罰を与えるがな。」

「な!?まじか!なんとかならんか!?」

「今日はご飯のおかわり禁止だ。」

「のぉぉぉぉぉぉ!!!」


 巨大なおじさんが崩れ落ちる。いや、罰がおかわり禁止って優しすぎるだろう。でも言われた本人は物凄く元気が無くなった。もしかするとあの人には最適なお仕置きなのかもしれない。


「大盛は出来る様にお願いするから。」

「若ぁ!!」

「やれやれ、若は甘いですよ。」

「で、でも結果的に僕を守った行動だし。」


 ご飯の大盛りの話で盛り上がっているのを待つ。結局この人達はここへ見に来ただけだ?お咎め無しで帰っていいのかな?

 僕は顔に出さない様に、内心このままなにも無いことを祈った。

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