135話 噂の2人組。
いつもは賑やかな食事時、ここ最近この時間帯は静かである。その理由は…。
―カラン。
ドアに付けているベルが扉を開いた事で鳴る。始めに入ってきた人が扉を抑えて、その後ろからもう1人入って…。
「し、失礼します。」
恐る恐る入ってくる。そんな格好しているのに、何を怖がるのか?もっと堂々としていてもいいと思う。こんな格好と言うのは、茶色のマントにフードを被る。もっとも印象的なのは、額にXと書かれた仮面を付けている事。
―ツカツカ。
―トトトトト。
扉を開けていた少年が堂々と歩きながら、その後ろからを周りを気にしながらくっついて歩く少女。マントと仮面で顔も見えないのにどうして、少年か少女か分かるのかって?
なぜ知っているかと言うと…。
「ソラヤ様。奥へどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「あ、あ、ありがとうございますぅ…。」
ただ単に仮面をつけ始める前から見た事があるから。ただそれだけなのです。ソラヤ様の後ろに着いてくる少女は忌子と呼ばれていた、メイクと言う名前の子供みたい。
忌子って言うのは、昔からの言い伝えで。天使族にごく稀に片翼の子供が産まれる。大いなる災いを呼ぶと言われていて、昔から接触を禁じられている。何でかは分からない?
しかしそんな子供が1人で生きて行けるはずもない。そんな彼女が生きて行けるのも誰かの助けがあるからである。決して公にしていないが、うちのギルドマスターは彼女にそっと支援をしている。本人は知らんぷりをしているが誰もが知っている。
「わ!ぶふっ。」
「大丈夫メイク?」
「うん、ごめん。躓いた。」
最近一緒にいるソラヤと言う少年だけど、背丈は彼女の方が大きい。なのに、今みたいに転んでも余裕そうに支えている。男は身長じゃないな、最近ミステリアスな感じが少しカッコいいと思ってしまう。
ダメダメ、これは仕事よ。私は受付嬢!皆んなに平等で居なければいけない。
「ソラヤ様かわいいな〜…。」
「「「(おいおい、声に出てるぞ。)」」」」
今日も仕事頑張ろっと。
♢
妙な噂を聞いた。村の周辺から魔物が消えたと。
「おいおい、そんな訳ないだろ。ここは魔界だぞ?」
「いや、それがどうやら本当らしく。お前見た事ないのか?仮面の2人組に。」
「なんか最近ギルドを行き来してるってあの?」
「そうだ。ほら見ろ!」
言われ方を見るとギルドから出てくる2人組。なんであんなマントに仮面なんて、怪しさ満点でいるんだろうか?分からない。
「な?見ただろ。」
「見たけど遠目でよく分からないけど。」
「そしたら見に行こうぜ。」
「は?」
言われるがままに着いてきてしまった。門番に挨拶をして少し距離を開けて見守る。
「こんな堂々と後をつけて良いのかよ。」
「ん?距離を開けてもバレるからな。ならいっそ近くで見てやろうと。」
「開き直ったと。」
「そんなとこだ。ほら上を見てみろ、魔物を見つけたらしいぞ。」
上を見ると微かに見える。あれは鳥か?そう言えば最近鳥肉が安く手に入るな。下を見ると少年の方が背中から武器を取り出す。自分の身長と変わらないくらい大きい武器を。
―ズゥゥン………ドサ。
「やっぱ!いつ見てもすげー腕前だぜ!」
「今何したの?」
「あれさ、ソラヤ様は銃を使うんだよ。」
「銃って?いや、それよりソラヤ様って…。」
「銃っていうのはな!……。」
銃がどんなものか説明をされた。この辺では見ない武器だな。てか魔法使えば良くないか?そしてなぜ様付けで呼んでいることはスルーされました。
その後1時間くらい見回った後、再び村に戻る。僕らもそれに続き村に帰る。
「な?凄いだろ?」
「ソラヤって人は基本的に全て一撃。魔物を回収している連れの人も凄いよな。」
「メイクちゃんな。」
「名前ね…。」
でもあの人達のお陰で、最近平和だって感じはする。主には…。
「さて、明日はなにが起こるかな。」
「お前の頭の中は平和そうだな…いや、何でもない。」
♢
「ソラヤ、後ろからまた着いてきているよ。」
「遠くも近くもない距離だね。」
「ほっといて良いの?」
「いいんじゃない?危なくなったら自分で帰るでしょう。」
僕等の戦闘見て何が楽しいんだろうか?目的は分からないけど、そう言えば最近村でもちらほら噂を耳にするんだよね。それと彼が関係あるんだろうか。
「じゃ、いつも通り行くよ、メイク。」
「今日もバンバン行こう!」
そしていつも通り魔物を殲滅して今日は過ぎて行く。




