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転生勇者は異世界で少女たちと戯れたい。  作者: 上城ダンケ
第一章 天空要塞のフレイア
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どうだ、フレイア、すごいだろう

 壁に開いた大穴から外に出た。

「ロファール!」

 フレイアの声が聞こえた。その目はまっすぐ俺の右手のフレイムソードに注がれている。


「何があったの?」

 フレイアが聞く。

「ああ、魔法力の回復を確かめたくて、軽くフレイムソードを出してみたら、手元が滑ってね、うっかり扉を破壊したってわけさ」


 俺はフレイムソードに消えろ、と念じた。すると火の粉が散るように一瞬で粉々になって消えた。

「……なるほどね」

 フレイアが深く頷いた。

「どうだ、フレイア、すごいだろう。魔法の鍵はこの通りちゃんと壊したぞ」

 俺は自慢げに言った。

 フレイアが感心した顔で俺を見た。

「驚いたわね。こんな短期間で組成魔法をマスターするなんて」

「まあ、身体はロファール様だからな。身体が覚えているんだろう」

「確かにそうね。とりあえず、貴方の部屋に戻りましょ」

 フレイアと俺は大きな壁の穴から部屋に入った。


 フレイアはベッドの方へ歩いて行き、ベッドの上に置いてある『魔法全書』を手に取った。

「これ、わかりやすかったでしょ?」

「ああ、それはね。他のは難しすぎて、全然駄目だったけどね。その本があって助かったよ」

「ごめん、まず『魔法全書』から読んでねって言うの、忘れてた」

 フレイアが悪戯っぽく笑った。

 わざとだろ、忘れてたの。


「他の本も読んでおいてね。ヴァルヒルダと戦うのに役に立つと思うわ。ヴァルヒルダは千年ぶりに新しい魔法を開発したという噂もある。万全の備えが必要なの」

「そんなにすごい魔法使いなのか」

「ええ。あなたと同じ超魔道士よ」

「ほほう。でも、マルムスティル王国じゃあ二番目って感じだな?」


 俺なりにニヒルに笑ってみた。


「なんで?」

 フレイアが首をかしげた。

「だって、俺、すなわち、ロファール様が王国一の超魔道士なんだろ? ヴァルヒルダがどんなにすごくても、俺よりは下なのは自明だ」


 フレイアが大きくため息をついた。


「悔しいけど、違うわ」

「え?」

 俺の目をじっと見つめながらフレイアはゆっくりと言った。

「ヴァルヒルダはこの世界一の超魔道士なの」

 え?

「だから、ロファール様といえど、そんなに簡単には勝利できないのよ。というわけで、今後も勉強して、もっと強力な魔法を身につけてね」

 フレイアがニコッと笑った。

「ね、ロファール様のパチモンさん」

「パ、パチモン?」

「そう、パチモン、ニセモノ、まがいもの。他にどんな言い方があったかしらね?」


 ……ったく。


 まあ、それはともかく、しばらく俺はロファール様として戦う必要があるわけで、魔法についてはさらなる訓練が必要なのは首肯できるところだ。


 当面は『魔法全書』片手に、魔法の訓練をし、時期が来たらヴォルーガの書いた本も読むとしよう。


 ということで、俺はそろそろルラルちゃんのとこに行きたいのだが……。


「でさ、フレイア、俺、散歩がてら、ルラルだっけ? 俺に治癒魔法してくれた魔法使いにお礼言いたいんだけど。いいかな?」

 フレイアの顔が一瞬イラッとした。

「……いいわよ」


 ルラルに嫉妬しているって顔だ。

「ルラルってどこにいるの?」

「さっきまで医務室にいたけど、今は自室にいるわ。ルラルの部屋は廊下を出て右の方に行ったところ。扉に名札が出ているからすぐわかると思う」

「ありがとう。ルラルにお礼言ったあと、適当にぶらぶらするよ」

「わかった。私は作戦本部にいるわ」


 俺は部屋を出て、廊下を右に曲がった。

 ルラルちゃんの部屋……。あ、あった、ここだ。


 コンコン。


 俺はノックした。中から声がした。

「……はい。どなたですか?」

 俺は深呼吸し、可能な限りの「ええ声」で、

「ロファールだ。ちょっとだけいいか? さっきのお礼が言いたくてな」

 と言った。


 扉が開いた。

「あの……ロファール様自らおいで頂き……真に……光栄です。狭い部屋ですが……お入りください……」


 ルラルはドレスと言うよりはワンピースのような服を着ていた。

 部屋着だろうか。膝が丸見えで、そこから綺麗な生足がすらっと伸びて、見たこともないかわいい動物柄の部屋履きを履いている。


 身長は百五十センチくらい。肩くらいまでの長さの髪は、細くてさらさらの銀髪だ。

 眼は青く、ちょっと垂れ眼である。


 肩の線が細く、思わず抱きしめたくなる系の美少女だ。何歳くらいかな。十五、六歳にしか見えないな。こんな少女と≪契り≫なんかやったら、もとの世界だと犯罪になるかもだ。


 ああ、死んで良かった。はやく挿れたい。


 ルラルは部屋の中央にあるテーブルセットに俺を通した。

 木で出来たかわいい丸テーブルと椅子が二脚。


「……あの、お座りください。今ハーブティー持ってきます」

 ルラルがぱたぱたと、お茶の用意を始めた。


「記憶喪失に良いんですよ……このハーブティー。……お気に召すと良いのですが」

 お湯を沸かしながら、ルラルが言った。

 俺が記憶喪失という設定、すでにフレイアがみんなに通達しているんだ。これなら話が早いね。


 さあ、次はいよいよ、ルラルちゃんにアタックだ! レッツ≪契り≫!

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