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転生勇者は異世界で少女たちと戯れたい。  作者: 上城ダンケ
第二章 ヴァルヒルダとの邂逅
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モテモテだな、ロファール、敵にまで求婚されて

 しかしモテモテだな、ロファール。敵にまで求婚されてさ。全くもって羨ましいぜ。


 ん?


 ……ちょっとまて。ヴァルヒルダって。


 女なのか!


 世界一の超魔道士ってフレイアが言ってたから、てっきり男だと思い込んでいた。

 そうか、「女王の杖」とかなんちゃらで、女なのに超魔道士になったということか。


 しかし、ほんと、めんどくさい。ロファールじゃなく、一般人男性だったらよかったのになあ。この世界だったら「誰でもハーレム」じゃないか。それでよかったよ。


 やはり、隙を見てここから脱出しよう。そして、一般人の男性として、町娘や村娘とハーレム作ろう。三百六十五日、毎日とっかえひっかえ子作りをやろう。俺の下半身がうれしい悲鳴を上げるぜ!


 この後のフレイアやルラルのことを考えるとこころが痛むけどね。仕方ない。俺のことなんか忘れて、もっといい男、探せよ。


 さて、逃げるとなれば、逃亡資金がいるよな。なにか換金できる金目のものを持ち出した方がいいだろう。ロファール様の魔法で何でもできるだろうけど、やはりお金は大事だもんね。


 何か金目のものがないかなーと、俺は机の引き出しを開けてみた。

 書類や筆記具、本。まあ、そんなもんだな。ロファールの私室のほうが何かあるかもしれないな。


 と、俺が机をごそごそしていると、酔いが覚めたらしいフレイアが執務室にやってきた。俺は慌てて机の引き出しを元に戻す。


 フレイアは目を赤く泣きはらしていた。


「……ここで何をしていたの?」

 脱出に備えて金目のものを物色していました、とは言えないので、

「あ、えーと、その、……司令官日誌読んでたんだ」

 と答えた。


「ああ、日誌ね。読んだんだ」

 フレイアが机上の日誌を見つめる。

「日誌の続き、どうしようかな……」

「続き?」

「司令官日誌の続き。ロファール様が元気になったんだから、ロファール様が書かないと。でも、あなた、本当のロファール様じゃない。どうしたらいいのかな」

「それなら、フレイアが書けばいいんじゃないか? ほら、俺、『記憶喪失』だから。しばらくは司令官の仕事できないってことにしてさ」

「そうね。それが一番ね」

 フレイアが言った。

「じゃ、席を替わってくれるかしら? ロファール様のパチモンさん?」

「はいはい」


 俺は席を立った。フレイアが座って司令官日誌を開いた。

「あ、じゃあ、俺は部屋に戻るよ。邪魔だろ。……また明日な」

「……また明日ね。今日は本当に助かったわ、パチモンさん」

 フレイアが俺に向かって笑う。

 おいおい、ここに来て優しくしないでくれよ。逃げ出しにくくなるじゃないかよ。

 だが、俺は断固として、この要塞から逃げるからな。バイバイ、フレイア。

「あ、忘れてた」

 フレイアが机の引き出しを開けて、中から一冊の本を出した。

「これ、読んでおいて」

 フレイアが緑色の表紙の、薄い本を俺に渡した。


 タイトルは『マルムスティル王国の真実』。著者はヴァルヒルダ。

「さっき私が話した『女王の杖』のことが書いてあるわ。彼女と戦う参考になるから、読んでおいてね。後半はマルムスティル王の悪口だから、そこは読み飛ばしていいわよ」

「こんな本があるんだな」

「ええ。ヴァルヒルダが戦争を仕掛ける少し前に、書いた本よ。もう発禁処分になったけどね。でも、闇取引されているわ。王都にもヴァルヒルダの支持者は少なからずいるからね。その本、闇市場では結構高いのよ」


 なんですと? 「結構高い」ですと?


 はい、持ち出し決定。


 表紙をめくってみた。


 いきなり、すんごい美人のドアップ写真がある。

 銀と言うよりはスノーホワイトの、透明な髪の毛だ。大きな瞳と長い睫毛はとても上品だが、瞳の奥にはちょっと意地悪そうな虹色の光がある。唇はきれいな桃色で、見ていると吸い込まれそうだ。


 とにかく超・美人、美少女だ。

「これ、誰?」

 俺はフレイアに聞いた。

「ヴァルヒルダよ。決まってるじゃない。ヴァルヒルダの本なんだから」

 

 まーじーかー!

 超美少女じゃねーかよー!


 次のページも、ヴァルヒルダの写真だった。

 両手で包めそうな、ちょうど良い大きさの美乳。小さく形のいいヒップ。すらりと長い脚。そして、俺のハートをわしづかみにする華奢な肩。


 やりたい。挿れたい。


 めちゃめちゃタイプだ。

 こんな娘との子作り、すなわち種付けをなぜ断ったロファール。いっぺん死んでこい。


 ほんと理解不能だ。ここはフレイアに聞いてみよう。

 俺は、例の和平条件について、聞いてみた。

「そういえば、フレイア。ヴァルヒルダは和平条件にロファールとの≪契り≫を申し出ていたけど、あれは何でなんだ?」

 フレイアの顔が曇った。

「ああ、あれね。私との婚約を解消して、ヴァルヒルダと正妻の≪契り≫を結べ、というやつね」

「そう。それ」

 フレイアはじっと俺の顔を見た。

「……さあね。わからないわね」

 だった。


 何か知ってるな。俺の第六感がささやいた。

 ま、いいだろう、言いたくないんだろう。彼女にとっては不愉快な話だし。話題変えよう。


 そういえば、気になっていることがあったんだ。聞いておこう。

「ところでさ、フレイア。俺って、何・ロファールなんだ?」

「何・ロファール?」

「そう、名字。名字を知りたいんだ」

「名字? ロファールの? あるわけないじゃない」

「え? ないの?」

「あなたたちの世界では、男性に名字があったの?」

 どうやら、名前のシステムは大きく違うみたいだ。

「もちろん、あったよ。ここでは無いのか?」


 フレイアの説明によれば、男性は極端に数が少ないこともあって、名字は無い。基本的に父親と同じ名前を名乗る。ロファールの場合、父親もロファール。爺ちゃんもロファール。曾祖父ちゃんもロファール。俺はロファール家の二十八世とのことだ。

 なので、俺と父親とを区別する場合は、俺のことをロファール二十八世と呼んだり、ロファールジュニアと呼ぶんだそうだ。


 女性の場合は、名字がある。父の名前が名字になる。例えば、俺とフレイアの間に子供ができて、その子供の名前が花子だったら、花子・ロファールになるそうだ。

 フレイアの父親はジュカジという人なので、フレイア・ジュカジとなる。ルラルも同じ父親の子なので、ルラル・ジュカジとなる。


「へー、変わってんな。でも、誰が父親かすぐにわかって、一夫多妻制の世界では都合がいいのかもな」

「イップタサイ星?」

「ああ、こっちの話」

 なるほどね。

「ところで、ヴァルヒルダの名字って何?」

 フレイアは返事しない。


「おい、フレイア、教えてくれよ」

「……教えたくない」

 え? なんで?

「なんでだよ。言うと呪われたりするのか?」

「そうじゃないけど……」

 フレイアがため息をついた。

「ま、どうせすぐわかることか……」

 フレイアはゆっくりと、しかし、重い口調で語り出した。


「……ヴァルヒルダはね、名字を剥奪されたの。国王命令で」

「へー、そうなんだ。で、なんていう名字だったの? まさかロファールとかじゃないよな? 俺の妹とかだったりしないよな?」

「そんなわけないでしょ。……ヴァルヒルダの名字はね」

「うん」

「マルムスティルよ」

「おーそうなんだ、国王の名前と一緒じゃん」

「ええ。だって国王の娘だもん」

 

 ……国王の娘?

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