表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生勇者は異世界で少女たちと戯れたい。  作者: 上城ダンケ
第二章 ヴァルヒルダとの邂逅
11/38

魔法回復ポーション

 無数にいたと思われる魔人を排除できて、俺はホッと一息ついた。まだ幻影ドラゴンとかいうボスキャラが残っているが、組成魔法を使えばどうにでもなりそうだ。普通に○ンダムとかも出せそうじゃね? 


 杖で身体を支えつつ、フレイアが俺の方へやって来た。

「……すごい武器ね。初めて見たわ……。なんていう武器なの?」

 他の人には聞こえないように、俺の耳元で囁いた。

「これか? 俺がいた世界ではガトリング砲という名前だったよ」

 俺も他の魔法使いちゃんに聞かれないよう、小声で答えた。


 正式名称は「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」だけどね。

「が、がとりん……ぐほう?」

「そう、ガトリング砲。『とっても強い魔法弾を一度にたくさん打てる不思議な魔法の筒』といったところかな?」

「すごいのね。そんなものがあなたの世界にはあるのね。ということは、あなたの世界にも魔法使いがいたの?」

 フレイアが聞いた。

「いや、そういうわけではないんだが……」


 説明難しいな。


「ま、とにかく、あなたのおかげで、魔人は一掃できたわね」


 俺は周囲を見渡した。多くの魔法使いちゃんが倒れていたが、幸い、みんなかすり傷のようだ。

 大半は魔法力を使い果たして動けなくなっているだけのようだった。


 フレイアが空を見上げた。ドラゴンの姿が見える。ドラゴンはどんどん接近しているようだ。ドラゴンに積んである魔法大砲から、何発も火球が飛んできている。要塞は巧みにかわしているが、魔法障壁に当たる火球もある。


「時間が無いわね……あと数分で、ドラゴンと接触するわ」

 フレイアは背筋を伸ばし、皆の方へ向き直った。


「だれか、医療班のルラルに伝えて。私とロファール様にポーションを持って来るようにって」

 何人かの魔法使いが、ハッチの奥へ走って行った。

「ロファール様もかなり魔法力を使ったようね」

「そうかな?」

「ええ。そのガ……ガトなんとかという武器、もう魔法で構造を維持できなくなってるわ」

 フレイアが俺の足元を指差した。


 なにかあるのかなと、足元を見てみると、ネジやボルト、その他いろいろ細かい部品が落ちていた。

 見ている間にも、またひとつ、またひとつ、部品が落ちてくる。そして、真夏の地面に落としたアイスクリームのごとく、あっという間に消えていく。


 もしかして、と、俺は「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」を見た。

 ガトリング砲はすでに原形をとどめてはいなかった。崩壊しかけている。


 数秒後、「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」は消えてしまった。

「……まだ消えろと念じてないのに、どうしてだ?」

 フレイアがその答えを教えてくれた。

「複雑な構造を組成すると、その構造維持だけでかなりの魔法力を使うのよ」


 え、そういうものなの? じゃあ○ンダムとかも無理っぽい?


「おまけに、あれだけの魔法弾。ロファール様といえど、魔法力の限界よ。多分、もうすぐ急速に激しい疲労が襲ってくるはず」


 うーむ! そうなのか! 困った。

 強すぎるのも困りものだな。「ゴスロリ様専用ハイパーガトリング砲・改」ですら、たった数分で魔法力使い切るのか! ○ンダムだったら数秒かもしれん。

 元の世界の知識を活用すれば組成魔法でチート放題と思っていたが、そこまで簡単ではないということだね。魔法力と威力のバランスが大事だな。


 ……って、おい、いきなり来たよ、激しい疲労! なんじゃこりゃー!

 ソシャゲイベント期間中、サーバートラブルとバグと急な仕様変更がコンボで来襲、連日徹夜だった時並みにしんどい!


「フ、フレイア、頭痛いし、吐き気するし、首が凝ってるし、腕が重いし、フラフラするしで、あの、どうしよう、すごい、しんどい……」

 俺はその場でうずくまってしまった。

「あ、ルラル、待っていたわ。私とロファール様に、ポーション持って来て」

「はい」

 フレイアが言った。ルラルがうずくまっている俺に何かを差し出した。


「あの……ロファール様……、ポ、ポーションをどうぞ……」

 ルラルが医務室から甲板にポーションを持ってやって来てくれたのだ。

「それで……あの……これ、魔力回復ポーションです」

「魔力回復ポーション?」

「はい……何種類かのハーブと、魔力を持つ植物の樹液から作ったものなんです。……お母さまのレシピなんです」


 ルラルによれば、このポーションは速やかに魔力を回復させる代わりに、ちょっとした副作用があるという。

 少量だと身体が熱くなったり、少しだけ気分が高揚する程度らしいが、大量に服用すると、異常に気分が良くなって、ろれつが回らなくなったり、いきなり泣き出したり、逆に笑い出したり、さらに飲み過ぎると翌日ひどい頭痛に悩まされたりするそうだ。まるでアルコールだな。


 俺はポーションを一つ分けてもらった。隣でフレイアも同じポーションを何本か飲んでいるようだ。


 あれ? ルラルの目が赤く光っている。

「あ……これ……魔眼なんです」

 俺がびっくりしているのに気がついて、ルラルが説明してくれた。

「魔眼? ああ、フレイアも魔眼持ってたな」

「はい、私たちの家系は、魔眼持ち……なんです。わ……私の魔眼は、魔法力の量とか、そもそものキャパシティとか、得意な魔法属性とか、そういうのがわかります」

 ルラルが赤い眼で俺のヘソのあたり? もっと下? というか股間? を見ている。

「魔法力の状態を見て……ポーションの本数決めますね……」

 ほほう。

「……魔法力はおヘソのあたりに、あるんですよ……あれ、うまく見えないな……」

 ルラルはそう言って、俺のヘソのあたりに顔を近づけた。

「……うーん、よく、見えない……」


 説明しよう。


 今、ルラルの顔は俺のボディから約5センチ離れたところにある。

 目がヘソのところということは、口は俺の暴れん坊将軍(ただし二十八年間暴れたことはない)のあたりにある。


 ルラルの口は半開きだ。


 ほら、人間て、何かを探す時、じっくり見る時、口が開くだろ?


 あくまで、ルラルは魔眼で俺のヘソのあたりにある魔法力を見ているだけなんだが……。

 たまたま口が半開きなんだが……。

 その……。


 現在のルラルの姿勢、頭の場所、口の状態は、俺の妄想力・想像力をいろんな方面で刺激することがおわかりいただけるだろうか?


 ていうか、このままルラルちゃんの頭を両手で持って、その、かわいいお口に……お口に、お口にだね……!


 入れたい。突っ込みたい。そしてお口に出したい。


 だめだ! こんな非常時に何を考えているんだ俺は!


 もちろんナニです!


「す、すごい……こんなに大きいの、初めて。……いっぱい入れちゃったら……壊れちゃう……」

 ちょっとルラルちゃん、なにそのエロいセリフ……。

 もしかして俺の魔法力でなく、俺の将軍様の方を見ているの?

「ロファール様……あの、ロファール様の魔法力、前見たときよりも、すごく、すごく、大きくなっています。こんなに大きくなるなんて……。私、こんなの初めてかも……」


 何言ってもえろいんですけど。


「前のロファール様だったら……ポーション十本くらいで、魔法力がいっぱいになったんです……でも、今は五十本くらい必要……かも」

「そうなんだ、じゃあ、五十本くれ。もうそんなに時間がない。ほらドラゴンが来る」

「でも、いっぱいになるまで……五十本も飲んだら……ロファール様が壊れるかも……知れないんです」

「なんで?」

「そんなに大量のポーションを、一気に飲むと……普通は副作用で呼吸困難とか……意識不明とか……最悪……死にます。でも、魔法キャパシティ内だから大丈夫なのかな……。どうしよう、わからない……」


 そんな会話をしている俺たちのことろへ、フレイアが真っ赤な顔をしてやって来た。

「ちょっとぉ、そこのロファール様のパチモーン! ルラルの顔に股間押し付けて、何やってんのよぉ! もう、本当に品性下劣なんらからぁ! 」


 ニヤニヤ笑いながら、フレイアが俺をどつく。ろれつが回ってないぞ?

「お、お姉さま、何本ポーション飲まれたのですか?」

「おや、ルラル、分身魔法覚えたの?」

「違います! あ、お姉さま、またポーション飲みすぎましたね!」

 ああ、これがポーションの副作用ってやつか。酒臭くないところ以外、完全にアルコールと一致だな。

「だってぇ、ドラゴンと戦うのよ。魔法キャパシティ以上に飲んどかないと、魔法力尽きたら死ぬんらからぁ」


 フレイアはそういうと、ルラルからポーションを奪い取り、栓を開け、俺の口に突っ込んだ。

「つーことで、パチモン、あんたも飲みなさいよ。はい、ぐいっとぐいっと。男でしょ、ポーションの十本や百本、なんてころないおー」

「お姉さま、そんなに一気に飲ませたら」

「時間がないのぉ。ほらぁ、ドラゴンがぁ、もお、そこまでぇ、見えてる、でしょ? あれ、ドラゴン増えてる? あははは」


 フレイアが酒癖、もといポーショングセが悪いとは知らなかった。「あはははーおもしろーい何本でもポーションが入るー」と言いながら、無理やり俺の口にポーションを突っ込む。


 あっという間に○ンケル五十本くらいのポーションが俺の胃袋に入った。


 俺はもともと酒には強い方だったからだろうか、いわゆる副作用はほとんど出てない。そうだな、生ビール中ジョッキ二杯程度かな? ちょうど気持ちいい感じだ。


「ロファール様、もっと飲んでよー。キャパ以上に飲むとね、ストックされて、魔法力に余裕が出るのよー。それ一気一気」

「ダメです、お姉さま! その飲み方は、体に負担が大きいんです! それに、そんな飲み方していると、そのうちポーション依存症になって、周りの人たちを不幸にするんです。だから……やめて……」

「……ふん、ルラルは真面目ねぇ、大丈夫、私、戦いの時以外、ポーション飲まないもーん。普段から飲んだりしないもーん。だから依存症になんかなんないもーん。さて、ドラゴン倒してくるー」


 フレイアはそう言って、甲板先頭まで走っていった。おりゃードラゴン、かかってこーいとか叫んでる。あいつ、あんなに酒癖が悪いのか。ここではポーション癖とでもいうのかな。


「ロファール様……大丈夫ですか、姉が、フレイア様が、その、あんなに一気に飲ませて……、ごめんなさい」

「ああ、俺なら大丈夫だ。魔法力は回復したよ。ちょっとだけ陽気になった程度だ」

「……本当だ。顔、全然赤くないですね。よかった。ロファール様まで、その……お姉さまみたいになったら、どうしようかと」

「俺は体質的に、ポーションの副作用出にくいみたいだな」

「……わたし、お姉さまのこと好きだし、尊敬しています。でも…」

「でも?」

「ポーション飲みすぎでおかしくなったお姉さまは、大嫌いなんです!」

 珍しく、ルラルが大きな声ではっきりと言った。……姉の悪酔いで苦労してんだろうなあ。


 さて、魔法力も回復したことだし、ドラゴンと戦いますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ